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第4章-1
しおりを挟む「おう、沢渡。調子はどうだ?」
「我聞さん、こんな拘束させられて気分いいと思います?最悪ですよ、もう」
我聞は今、警察署の資料室に来ている。そこには手足を縛られた沢渡がいた。
「その提案出したのは俺じゃないぞ」
「分かってますよ。思い付きとはいえこればっかりは自分でやるしかないですからね」
この、手足を縛る方法を思いついたのは沢渡自身だ。彼の名誉の為に言うが、彼はそういう性癖ではない。これは沢渡が考え付いた、現状最善の『対策』なのである。
時は1時間前に遡る――――――
「何!?分かっただって!?」
佐恵との一度目の電話を終えてすぐに沢渡から電話がかかってきた。古くからの愛車ミラXリミテッドの車内でこれから陣矢少年の家に行こうとした矢先である。
『はい、これはサイバーテロです』
「あ?さいばーてろ?」
『あーそうですよね。我聞さん、そういうの苦手ですもんね』
電話越しに沢渡が頭を抱えるのが見えてぶん殴ってやろうかと思ったが、息を吐いて聞きの態勢に入る。
「で、そのサイバーテロがどうした?」
『まずそれを話す前に我聞さんは【サブリミナル効果】、【ブルーライト】、【フラッシュバック】を全て知っていますか?』
「あ?」
我聞はそれを聞いて、頭の中からうろ覚えの情報を引っ張ってくる。どれもどこかで聞きかじった情報ばかりだが、事件性に関連があるものが多いので一通りは言えるようにしている、はずだ。
「【サブリミナル効果】は確か映画のワンシーンにコカ・コーラの絵を差し込んで買わせるようにする催眠みたいなやつで、【ブルーライト】はパソコンから出る光、【フラッシュバック】はPTSDのやつが別の出来事と実際に出来たことを思い出してPTSDが再発するみたいなやつ、だったか?」
『概ね合ってます。我聞さんはこれらに何か関連性があると思いますか?』
「うーん・・・・」
我聞は沢渡が言おうとしていることがイマイチまとまらないことに気付く。
「少し待て」
メモを取り出し、紙に今言ったことをまとめる。
(【サブリミナル効果】はあるものを見して潜在意識(?)に働きかける催眠、【ブルーライト】は確か人が起きる為に必要な光とかなんとかっていう情報があったな、でもって【フラッシュバック】?何故だ?光つながりで洒落て使っているのか?いや、そういう意図ならもっと別の言葉を使っているはずだ・・・そうなると)
連想されるのはこれらの言葉は全てに繋がりがあり、これまで起きた事件の原因を探る糸になるということだ。そしてこれらを繋げるのは・・・
「そうか!スマホか!!」
『当たりです』
「待て、もう少しで何か閃く。何も言うなよ」
『分かっています』
我聞はこれまで、いやここ数日起きたことを考える。
沢渡と資料の整理をしていたこと、妻とボケの話をしたこと、テレビで休戦協定が結ばれたこと、佐恵の周りが危ないと聞いて調査をしに行ったこと、被害者の少年がまるで繰り返すかのように車に轢かれたフリ(実際に吹き飛んだ)を見たこと、そして先程の佐恵に電話を掛けて病院を調べさせることにしたこと。
いや、待て。その前に自分で出したものがあるじゃないか。集団催眠、今回の事件に関わるのはそれを利用した何かだ。しかもこれには時間が必要ない。この催眠のトリガーはスマホを見て発生する何か・・・・。
情報はかなりあったが、沢渡の出したワードに合ったものを見つける。どれが一番合うか、光に関係すること?当たりではあるが。被害者のこと?半分当たっている。ならボケか?いやこれは一番遠い気がする。そうなると・・・・
「沢渡」
『はい』
「確認だが、今のSNSは世界どこでも繋がって情報を発信できる、合ってるか」
『・・・・はい』
「・・・・そうか」
なんとなく、これの全貌が見えてきた。思わず震える手を誤魔化すように溜息を吐いた。それでも背中から流れ出る冷や汗が止まらない。
「俺はね、素直にこれを作った奴を褒めると思うよ。こんな無駄な使い方をしなければな」
『ですよね』
「これは今、どれくらいの奴らが知っている」
『流石に調べきれてはいないですが、まだどこも、ですかね』
クソッ!と我聞は愛車のハンドルを殴った。これは予想以上に深刻なものになると本能が言っていた。
「一度そっちに戻る。これからこの事件についてまとめるぞ」
『分かりました。お待ちしております』
我聞は愛車のエンジンをかけ、急いで駐車場から出る。これを作った奴の目的、そして原理がなんとなく分かってしまったのだ。
(スマホを使った集団催眠・・・・はん、歴史は繰り返すってことか・・・!!)
我聞は出来るだけ信号を守りながら、沢渡のいる警察署に急いだ。
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