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第4章-3
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「その通りです」
沢渡はデスクライトの明かりを人形に向けて照らす。
「太陽光から来るブルーライトの量は流石に知らないですけど、こんなちっぽけな量ではないことは確かです」
「それは、そうだな」
ん?とそこで我聞の頭の上に疑問符が浮かび上がる。
「そういえば、フラッシュバックがどうのこうの言っていなかったか?ここまで聞くとそれが関係ないように聞こえるが」
「はい、ちゃんと関係あります。これでやっと本題に入れます」
本題?と我聞が言う前に沢渡は残った一枚の紙を手に取る。
「ブルーライトはあくまでも着火剤なんです。ヤバいのはここに【サブリミナル効果】と【フラッシュバック】を重ね合わせて【過去の再現】をしているということです」
「・・・・・・???どういうことだ?」
過去の再現と聞いてもイマイチぴんと来ない。普段から映画を見ない我聞にとってはそう言ったSFは完全に蚊帳の外の話である。
「単純です。【サブリミナル効果】で特定の時間に特定の動画を見させるようにして、【フラッシュバック】によって無理矢理記憶に刻みこむ。そして最後に見させられた動画の【サブリミナル効果】に・・・そう、例えば『今日したことを明日繰り返せ』っていうものを植え付けるんです。すると昨日のことがリセットされてあたかも今日が昨日と同じ日だと思わされてしまう。それが考え付いた結論になりますかね」
「・・・・・・待て待て。そうなると色々疑問が浮かぶんだが」
額をつまんでもみほぐしながら我聞は沢渡が喋りながら書いた紙を見る。
(・・・・・・・・・・・つまりは【サブリミナル効果】を使って【ブルーライト】で【フラッシュバック】出来るようにし、そして朝起きて太陽光を浴びれば多量に含まれる【ブルーライト】によって【サブリミナル効果】で作った昨日の記憶をそのまま【フラッシュバック】させる、ということか)
なんというか一種の妄言でも聞いているみたいだ。我聞は頭がズキズキと痛み始めるのを感じながら、ゆでかかった頭で思考を巡らせる。原理は分かったが、これを何故ネットに流失させるのか。
「新手の愉快犯にしてはちと大規模すぎないか?」
「ですよね」
お互い考えていることは大体同じらしい。
「この時に起きているものとして何か特徴的な事件ってあったか?」
「事件、ですか・・・・」
そこで我聞はハッとなった。部屋の中にはいくつも空いた珈琲缶が転がっている。本来ならありえないが、沢渡は恐らく徹夜でこれまで我聞が捜査したファイルを調べていたのだ。そんな状態ではニュースを調べるなんてことは出来るはずがない。
(まったく、熱心にもほどがあるじゃないか)
そこでふと我聞はあることを思い出した。チラリと見ただけで別に気にすることではないのだが、何故か記憶から引っ張り出された。
「そういえばあっちの紛争で休戦協定が結ばれたらしい」
「え?ああ、なんかそんな話ありましたね」
「対岸の火事とは言うが戦争が終わるっていうのはいいことだからな」
戦争が起きればある種の人間は儲かるが、その他には甚大な影響を及ぼす。対岸の戦争の影響によって苦境を強いられたことのある我聞は苦々しくそれを思い出す。
(ああ、そうか)
それは未来がある沢渡たちにも言えた。彼らは似たようなものを経験して同じく苦境を見てきた。それ以前に危険なものも彼らは見てきた。昔に生きた我聞たちの世代よりもこれからを生きる沢渡や佐恵の世代はもっと辛い時代を生きるのかもしれない。どうにかして彼らの将来を明るく出来はしないか、我聞はそこで消えかけていた初心が沸々と湧き上がるのを感じた。折れかけた柱が少しずつ元の位置に戻っていく。
(職業病かねぇ)
何もかも諦めかけていた時に最後の最後に来たデカいヤマが自分を奮い立たせのだ。周りに誰もいなくてもどこからか鬨の声が聞こえてくると反応してしまう、のだろう。変な気分になり、思わず口の端が歪む。
「我聞さん、笑ってる場合じゃないですよ」
沢渡が呆れたようにツッコミを入れる。恐らくお手上げで諦めてしまったように捉えられたのだろう。
「ああ、そうだな」
我聞は歪みを直し、思考を切り替える。何か、引っかかる。
「沢渡」
「はい、なんですか」
「SNSっていうのはどこでも、世界中に繋がれるのか」
「え?そりゃあまあ・・・ネットさえ繋がっていればですけど・・・」
「・・・・・・・・・・・・・世界中か」
「はい、世界中ですね。ヨーロッパの僻地だろうが、アフリカの端だろうが、紛争している地域だろうが繋がりますね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・なるほ――――いや、待て」
「どうしました?」
「紛争している地域にまで広がるのか?SNSってのは」
「そりゃあそうですよ。ネットさえあればって言いましたよね?今はもう―――」
「クソッ!忘れていた!!」
我聞は思いっきり机を叩く。そこにあった人形が倒され、沢渡が驚きの声を漏らす。
「ど、どうしたんですか、いきなり!」
「ボケってのはこんな大事な情報ですら飛ばすのか!?忙しくてメモをしてないだけでこんな重大な情報を飛ばすとか訳が分からん!!」
「落ち着いてください、我聞さん!何がどうしたんですか!?」
我聞は急いで近くにあるペンを手に取り、そこに忘れないように文字を書き殴った。
「世界中に繋がる、SNS、紛争地帯における休戦。もしお前がテロリストで休戦国がいつもSNSを使っているとしたらどういう思考をする」
「そりゃあ相手が何らかの理由で休戦を破るように―――――あっ!?」
我聞はその答えを紙に記し、沢渡に見せつけた。
「『SNSに昨日の行動を再現する情報をバラまいて再び休戦前の状態に戻せばその国を正当な理由で国際的に潰すことが出来る』!これがこの情報ウイルスがSNSに巻かれた真の理由なんだろう」
沢渡はデスクライトの明かりを人形に向けて照らす。
「太陽光から来るブルーライトの量は流石に知らないですけど、こんなちっぽけな量ではないことは確かです」
「それは、そうだな」
ん?とそこで我聞の頭の上に疑問符が浮かび上がる。
「そういえば、フラッシュバックがどうのこうの言っていなかったか?ここまで聞くとそれが関係ないように聞こえるが」
「はい、ちゃんと関係あります。これでやっと本題に入れます」
本題?と我聞が言う前に沢渡は残った一枚の紙を手に取る。
「ブルーライトはあくまでも着火剤なんです。ヤバいのはここに【サブリミナル効果】と【フラッシュバック】を重ね合わせて【過去の再現】をしているということです」
「・・・・・・???どういうことだ?」
過去の再現と聞いてもイマイチぴんと来ない。普段から映画を見ない我聞にとってはそう言ったSFは完全に蚊帳の外の話である。
「単純です。【サブリミナル効果】で特定の時間に特定の動画を見させるようにして、【フラッシュバック】によって無理矢理記憶に刻みこむ。そして最後に見させられた動画の【サブリミナル効果】に・・・そう、例えば『今日したことを明日繰り返せ』っていうものを植え付けるんです。すると昨日のことがリセットされてあたかも今日が昨日と同じ日だと思わされてしまう。それが考え付いた結論になりますかね」
「・・・・・・待て待て。そうなると色々疑問が浮かぶんだが」
額をつまんでもみほぐしながら我聞は沢渡が喋りながら書いた紙を見る。
(・・・・・・・・・・・つまりは【サブリミナル効果】を使って【ブルーライト】で【フラッシュバック】出来るようにし、そして朝起きて太陽光を浴びれば多量に含まれる【ブルーライト】によって【サブリミナル効果】で作った昨日の記憶をそのまま【フラッシュバック】させる、ということか)
なんというか一種の妄言でも聞いているみたいだ。我聞は頭がズキズキと痛み始めるのを感じながら、ゆでかかった頭で思考を巡らせる。原理は分かったが、これを何故ネットに流失させるのか。
「新手の愉快犯にしてはちと大規模すぎないか?」
「ですよね」
お互い考えていることは大体同じらしい。
「この時に起きているものとして何か特徴的な事件ってあったか?」
「事件、ですか・・・・」
そこで我聞はハッとなった。部屋の中にはいくつも空いた珈琲缶が転がっている。本来ならありえないが、沢渡は恐らく徹夜でこれまで我聞が捜査したファイルを調べていたのだ。そんな状態ではニュースを調べるなんてことは出来るはずがない。
(まったく、熱心にもほどがあるじゃないか)
そこでふと我聞はあることを思い出した。チラリと見ただけで別に気にすることではないのだが、何故か記憶から引っ張り出された。
「そういえばあっちの紛争で休戦協定が結ばれたらしい」
「え?ああ、なんかそんな話ありましたね」
「対岸の火事とは言うが戦争が終わるっていうのはいいことだからな」
戦争が起きればある種の人間は儲かるが、その他には甚大な影響を及ぼす。対岸の戦争の影響によって苦境を強いられたことのある我聞は苦々しくそれを思い出す。
(ああ、そうか)
それは未来がある沢渡たちにも言えた。彼らは似たようなものを経験して同じく苦境を見てきた。それ以前に危険なものも彼らは見てきた。昔に生きた我聞たちの世代よりもこれからを生きる沢渡や佐恵の世代はもっと辛い時代を生きるのかもしれない。どうにかして彼らの将来を明るく出来はしないか、我聞はそこで消えかけていた初心が沸々と湧き上がるのを感じた。折れかけた柱が少しずつ元の位置に戻っていく。
(職業病かねぇ)
何もかも諦めかけていた時に最後の最後に来たデカいヤマが自分を奮い立たせのだ。周りに誰もいなくてもどこからか鬨の声が聞こえてくると反応してしまう、のだろう。変な気分になり、思わず口の端が歪む。
「我聞さん、笑ってる場合じゃないですよ」
沢渡が呆れたようにツッコミを入れる。恐らくお手上げで諦めてしまったように捉えられたのだろう。
「ああ、そうだな」
我聞は歪みを直し、思考を切り替える。何か、引っかかる。
「沢渡」
「はい、なんですか」
「SNSっていうのはどこでも、世界中に繋がれるのか」
「え?そりゃあまあ・・・ネットさえ繋がっていればですけど・・・」
「・・・・・・・・・・・・・世界中か」
「はい、世界中ですね。ヨーロッパの僻地だろうが、アフリカの端だろうが、紛争している地域だろうが繋がりますね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・なるほ――――いや、待て」
「どうしました?」
「紛争している地域にまで広がるのか?SNSってのは」
「そりゃあそうですよ。ネットさえあればって言いましたよね?今はもう―――」
「クソッ!忘れていた!!」
我聞は思いっきり机を叩く。そこにあった人形が倒され、沢渡が驚きの声を漏らす。
「ど、どうしたんですか、いきなり!」
「ボケってのはこんな大事な情報ですら飛ばすのか!?忙しくてメモをしてないだけでこんな重大な情報を飛ばすとか訳が分からん!!」
「落ち着いてください、我聞さん!何がどうしたんですか!?」
我聞は急いで近くにあるペンを手に取り、そこに忘れないように文字を書き殴った。
「世界中に繋がる、SNS、紛争地帯における休戦。もしお前がテロリストで休戦国がいつもSNSを使っているとしたらどういう思考をする」
「そりゃあ相手が何らかの理由で休戦を破るように―――――あっ!?」
我聞はその答えを紙に記し、沢渡に見せつけた。
「『SNSに昨日の行動を再現する情報をバラまいて再び休戦前の状態に戻せばその国を正当な理由で国際的に潰すことが出来る』!これがこの情報ウイルスがSNSに巻かれた真の理由なんだろう」
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