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第4章-4
しおりを挟む我聞は舌打ちをして再度机を叩いた。背中から大量の冷や汗が滝のように流れるのを感じる。もはや手遅れに近いことを我聞はテレビで確認していた。休戦協定は破られ、再び紛争が始まってしまったからだ。
「すみません、我聞さん。原理を考えるあまり本質を見ていませんでした」
沢渡が肩を落としているが、そんなことよりもまずすることがあった。
「ガッカリするな。原理を知れたってことはそれに対抗する手段がまだあるってことだ」
「・・・と言いますと?」
我聞は再び口の端を上げて、昔から自分がしていることを自分に言い聞かすように口に出した。
「【再現】するぞ、沢渡。それがこの事件の突破口になるかもしれない」
言い終わると同時に我聞の携帯が震えた。忙しすぎて電源を切り忘れていたが、佐恵からの電話だった。出ると佐恵の怒鳴り声が資料室の中に響き渡った。
『ちょっとおじい!あれ、どうゆうことなの!?』
「我聞さん、今までありがとうございました」
佐恵との電話を切ると沢渡は決意をした目でそんなことを言い放った。
「どうした、急に」
「その【再現】、絶対に戻れる確証はないですよね。だから先に言わせてください、今まで様々なことを教えていただきありがとうございました」
手が震えているのが見えた。【再現】は確実に昨日のことを再現する、それを目の当たりにした我聞は沢渡の覚悟がどれほどのものか想像がついた。
「・・・・・・・・・ああ」
「それに」
「それに?」
「これが上手くいけば日本で広まることは無いですもんね。警察の人間が実験して成功しました!って言えば確実に大手柄ですし。名前も売れるかな、ナハハハハハハ」
「・・・・・・・・・ああ、そうだな」
「と言うわけできつく椅子に縛って身動きを取れなくしておいてください。そうすれば明後日ぐらいに目を覚ますはずですので」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
確証が、我聞の中に生まれない。これは賭けだった。例えこれが成功しても失敗しても現行で起きていることは止められない。
「沢渡」
「はい」
「明日は昨日にならない、絶対にだ」
「・・・・・・・知ってますよ、当たり前じゃないですか」
我聞は苦笑いをして沢渡を軽くどつく。沢渡は椅子に座り、我聞がその両手足を縛った。
「調子はどうだ」
「うっ血はしてません。多分跡は残りますけどどうにかなると思います」
「一応PCとスマホは没収しておくぞ」
「もちろんです。それがあったら元も子もありませんから」
PCと沢渡のスマホを持った我聞は資料室の扉に手をかけ振り返る。そこには縛られている沢渡がいた。まるで自分が犯行グループの一員になって人質を縛ったような気分がして、我聞はついに空気も読めなくなったかと心の内で自嘲する。資料室から出て我聞は小さくため息を漏らした。
(資料室の鍵は閉めておこう。大丈夫、明後日には会える。心配するな)
ボケで忘れないように手帳にメモし、我聞は資料室を後にした。
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