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11話
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ベッドに上がった千明さんは、端で膝を抱えている俺に近づく。
膝を抱く俺の腕を優しく解くと、そのまま千明さんは首元に顔を埋めた。俺はそのくすぐったさと恥ずかしさにビクッと肩を跳ねさせる。
「……いい匂いするし」
「首で喋らないでください……!」
「なんの香り?これ」
俺の言葉を無視して千明さんは首元で喋り続ける。
「バ、バラです。ボディソープ変えたんで」
「へぇ~いいねこれ」
やっと顔上げた千明さんは俺から離れることはなく、そのまま顔を近づけて唇を塞いだ。緊張していた体がだんだんとほぐれていくのがわかる。
されるがまま、口内を千明さんに蹂躙されている俺の脳内に、ランドンさんとの会話がフラッシュバックする。
積極的。そうだ、積極的にならないと。
「ん……」
俺が自分から舌を絡ませに行くと、一瞬千明さんは動きを止めたがすぐに俺の後頭部を押さえ更に深く口付けてくる。少し荒々しいその刺激に、俺はすっかり高まってしまっていた。このまま行けば、きっと。千明さんだってキス以上のことをしてくれるはず。そう思ってシャツを掴む。
すると、千明さんは突然キスを止めた。
「ごめん、ちょっとやり過ぎた」
眉尻を下げた千明さんは、そう言って俺から離れようとする。
俺は何が『ごめん』なのか全く分からなかった。咄嗟に千明さんの腕を掴んでしまっていた。
「ま、待ってください!なんで……」
想像以上に情けない声が出たが、気にしている余裕はなかった。
「千明さん、やっぱ俺じゃダメなんすか……?」
やはり千明さんにとって俺は一線を越えられない存在なのかもしれない。
盛り上がっているのは俺だけなのかもしれない。思考がフリーズして、ついさっきまでは怖くて聞けないと思っていたことがどんどん口から出て行った。
「千明さんモテるから、俺じゃなくても相手いるんですか?」
「え?なに?」
「俺みたいな男より、やっぱり女性の方がいいんですか?」
「巡、ちょっと待って」
「でも、俺は千明さんしか、千明さんにしか…」
興奮しないんです。
最後の言葉は本当に小さくて、自分の口の中でつぶやいただけだった。爪が白くなるくらいの強さで千明さんの腕を掴んだまま、俺は深く息を吐いた。
言ってしまった。
あぁ、言わなくてもいいことを言ってしまった。
何してんだ俺は。馬鹿なのか。
もう千明さんの顔を見ることが出来ず、頭を垂れた体勢で動けなかった。何も言わない千明さんが怖かった。
「……巡」
しばらく経って、いや、実際には数秒かもしれないのだが、とにかく先に沈黙を破ったのは千明さんだった。千明さんは腕にしがみつく俺の手をそっと掴んで離させる。
「巡、あのさ」
「いえ、大丈夫です。変なこと言ってすみませんでした」
千明さんが何か言い始めれば、それはそれで何を言われるのか恐ろしく、俺は早口で謝ってベッドから下りようとした。しかし、それは目の前にいる千明さんに制される。
「待った。俺にも言いたいことがある」
その声音が低くて、俺はびくっと止まった。浮きかけた腰を再びベッドに沈めると、千明さんは俺の顎に手を添えて顔を上げさせた。
「あのさ、俺巡以外に男も女もいないよ。それから、巡のことを女性と比べたりもしてない。俺は巡のことが好きだから、付き合ってるんだよ。俺ってそんなに信用ない?」
千明さんは怒っているような悲しんでいるような、感情を読み取れない目をしていた。俺は、ぶんぶんと勢いよく頭を横に振る。
「信用ないなんてそんな……!そういうことではないんですホントに!さっき言ったことは忘れてください!」
「俺のこと、好きじゃなくなった?」
振り回していた顔を両手で挟まれて、俺はぴたりと動きを止めた。
千明さんの綺麗な顔が至近近距離にあった。その表情にははっきりとした憂いが見え、胸がぎゅっと締まる。
「俺は、千明さん、すきです」
片言のような返答しか出来ない自分を殴りたくなりながら俺が見返すと、「よかった。俺も好きだよ」と顔を緩ませた千明さんは、またすぐに真剣な顔に戻った。
「不安にさせた原因が俺にあるなら謝るから、何が原因なのか教えて」
「そ、それは……その」
本人を目の前にして、『もっとエロいことがしたい』なんて言うのも恥ずかしいが「俺には言えないこと?」と瞳を揺らされて俺の罪悪感はピークに達した。
千明さんを不安にさせる訳にはいかない、その気持ちだけで俺は口を開いた。
「あの……引かずに聞いてほしいんすけど……」
「うん。平気だから、言ってみて」
真剣に見つめてくる千明さんの目を、見たりそらしたり見たりを繰り返してから、俺は自分の手元に視線を落とした。
「……そのですね、キス以上の……ことがしたくて……」
「え?」
膝を抱く俺の腕を優しく解くと、そのまま千明さんは首元に顔を埋めた。俺はそのくすぐったさと恥ずかしさにビクッと肩を跳ねさせる。
「……いい匂いするし」
「首で喋らないでください……!」
「なんの香り?これ」
俺の言葉を無視して千明さんは首元で喋り続ける。
「バ、バラです。ボディソープ変えたんで」
「へぇ~いいねこれ」
やっと顔上げた千明さんは俺から離れることはなく、そのまま顔を近づけて唇を塞いだ。緊張していた体がだんだんとほぐれていくのがわかる。
されるがまま、口内を千明さんに蹂躙されている俺の脳内に、ランドンさんとの会話がフラッシュバックする。
積極的。そうだ、積極的にならないと。
「ん……」
俺が自分から舌を絡ませに行くと、一瞬千明さんは動きを止めたがすぐに俺の後頭部を押さえ更に深く口付けてくる。少し荒々しいその刺激に、俺はすっかり高まってしまっていた。このまま行けば、きっと。千明さんだってキス以上のことをしてくれるはず。そう思ってシャツを掴む。
すると、千明さんは突然キスを止めた。
「ごめん、ちょっとやり過ぎた」
眉尻を下げた千明さんは、そう言って俺から離れようとする。
俺は何が『ごめん』なのか全く分からなかった。咄嗟に千明さんの腕を掴んでしまっていた。
「ま、待ってください!なんで……」
想像以上に情けない声が出たが、気にしている余裕はなかった。
「千明さん、やっぱ俺じゃダメなんすか……?」
やはり千明さんにとって俺は一線を越えられない存在なのかもしれない。
盛り上がっているのは俺だけなのかもしれない。思考がフリーズして、ついさっきまでは怖くて聞けないと思っていたことがどんどん口から出て行った。
「千明さんモテるから、俺じゃなくても相手いるんですか?」
「え?なに?」
「俺みたいな男より、やっぱり女性の方がいいんですか?」
「巡、ちょっと待って」
「でも、俺は千明さんしか、千明さんにしか…」
興奮しないんです。
最後の言葉は本当に小さくて、自分の口の中でつぶやいただけだった。爪が白くなるくらいの強さで千明さんの腕を掴んだまま、俺は深く息を吐いた。
言ってしまった。
あぁ、言わなくてもいいことを言ってしまった。
何してんだ俺は。馬鹿なのか。
もう千明さんの顔を見ることが出来ず、頭を垂れた体勢で動けなかった。何も言わない千明さんが怖かった。
「……巡」
しばらく経って、いや、実際には数秒かもしれないのだが、とにかく先に沈黙を破ったのは千明さんだった。千明さんは腕にしがみつく俺の手をそっと掴んで離させる。
「巡、あのさ」
「いえ、大丈夫です。変なこと言ってすみませんでした」
千明さんが何か言い始めれば、それはそれで何を言われるのか恐ろしく、俺は早口で謝ってベッドから下りようとした。しかし、それは目の前にいる千明さんに制される。
「待った。俺にも言いたいことがある」
その声音が低くて、俺はびくっと止まった。浮きかけた腰を再びベッドに沈めると、千明さんは俺の顎に手を添えて顔を上げさせた。
「あのさ、俺巡以外に男も女もいないよ。それから、巡のことを女性と比べたりもしてない。俺は巡のことが好きだから、付き合ってるんだよ。俺ってそんなに信用ない?」
千明さんは怒っているような悲しんでいるような、感情を読み取れない目をしていた。俺は、ぶんぶんと勢いよく頭を横に振る。
「信用ないなんてそんな……!そういうことではないんですホントに!さっき言ったことは忘れてください!」
「俺のこと、好きじゃなくなった?」
振り回していた顔を両手で挟まれて、俺はぴたりと動きを止めた。
千明さんの綺麗な顔が至近近距離にあった。その表情にははっきりとした憂いが見え、胸がぎゅっと締まる。
「俺は、千明さん、すきです」
片言のような返答しか出来ない自分を殴りたくなりながら俺が見返すと、「よかった。俺も好きだよ」と顔を緩ませた千明さんは、またすぐに真剣な顔に戻った。
「不安にさせた原因が俺にあるなら謝るから、何が原因なのか教えて」
「そ、それは……その」
本人を目の前にして、『もっとエロいことがしたい』なんて言うのも恥ずかしいが「俺には言えないこと?」と瞳を揺らされて俺の罪悪感はピークに達した。
千明さんを不安にさせる訳にはいかない、その気持ちだけで俺は口を開いた。
「あの……引かずに聞いてほしいんすけど……」
「うん。平気だから、言ってみて」
真剣に見つめてくる千明さんの目を、見たりそらしたり見たりを繰り返してから、俺は自分の手元に視線を落とした。
「……そのですね、キス以上の……ことがしたくて……」
「え?」
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