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ラブコール
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電話口から初瀬の声が聞こえて、皆木は身体から力が抜けるのを感じた。自分で思っていた以上にこの空間が恐ろしかったらしい。
会沢が近づいてくるかと思ったが、ケータイを奪うこともなくベッドで胡坐をかいて伸びをしている。腹は減っていないが暇を持て余しているライオンの前にいるような感覚になりながら、一度唾を飲み込んだ。
「今は、その。アイザワさんのとこにいます」
『なんでだよ』
「ええっと~……ハセさんいないし、ヒマだったんで。そしたら3Pしようって誘われてたとこです」
まさか初瀬の怪我の原因、ひいては沈鬱な過去を教えてもらってましたとは言えない。それをカットして現状だけ告げたら、会沢が「それは正直に言うんだ」と笑って初瀬は黙った。その沈黙に、今の報告では『初瀬に告白したくせに性欲を我慢できなくて危ない男とセックスしようとしてるバカ』になってるのではと焦り、皆木は大きい声を出した。
「あっ、違いますよ!?まだなんにもしてない!オレはやりに来てるわけじゃなくて!」
『……急にデケエ声出すな。なんでもいいが、晩飯は作ったのか』
「まだです。アイザワさんちから帰ったら作ろうと──」
『もう戻るから俺が家着くまでに用意しておけ。命令だ、いいな』
「え、ホントに!?用事終わったんですか!そしたらすぐ作ります!一緒に食いましょ!」
『ああ。それから会沢さんに電話代われ。ケータイ渡したらお前はそのまま部屋出てうちに帰れ。ケータイはあとで新しいの買ってやる。そこに長居するな』
会沢と薬中の不幸な男の3人で不本意な3Pをするより、初瀬のために夕飯を作って初瀬の帰りを待つ方が何百倍も有意義だ。比べるまでもない。ケータイなど会沢にいくらでもくれてやっていい。
皆木は思わぬ幸運に、嬉々としてケータイを会沢に手渡した。
「アイザワさん、すんません。オレ、ハセさんに飯作らないとで。あとはお偉い2人でどうぞ」
「ええ~帰っちゃうの。あ、もしもし?ハセくんが僕と話したいなんて珍しいねえ。暇だから何時間でもお喋りできるよ」
会沢はケータイを耳に当てると、肩をすくめてニヤける。本命からのコールに、もうすっかり皆木への興味は失われたようだ。
「ペット置いてお出かけなんて可哀想じゃない?ああ、僕はヘマした売り子くんと仕事してたんだよ。あ、そうそう。新薬の。そこにトーマくんが来たわけ。まったく過保護だね、初瀬くんは。3Pくらいイイじゃん。別にトーマくんを取って食おうってわけじゃなし。え?なに。もしかして怒って──」
皆木は初瀬との会話を楽しむ会沢を見つつ、刺激しないようにドアに向かう。会沢と初瀬の会話が気になったが、いつまた襲われるかわからないライオンの檻にこれ以上いられない。
(……でも、また2人で会わないと。アイザワさん本気なのかわかんねーけど)
会沢に聞かされた話については、また会沢と2人きりで話し合わなければならない。それまでにきちんと危機管理をできるようにならなければと思いながら、皆木は小さく会釈をして初瀬の帰りを待つために部屋を後にした。
会沢が近づいてくるかと思ったが、ケータイを奪うこともなくベッドで胡坐をかいて伸びをしている。腹は減っていないが暇を持て余しているライオンの前にいるような感覚になりながら、一度唾を飲み込んだ。
「今は、その。アイザワさんのとこにいます」
『なんでだよ』
「ええっと~……ハセさんいないし、ヒマだったんで。そしたら3Pしようって誘われてたとこです」
まさか初瀬の怪我の原因、ひいては沈鬱な過去を教えてもらってましたとは言えない。それをカットして現状だけ告げたら、会沢が「それは正直に言うんだ」と笑って初瀬は黙った。その沈黙に、今の報告では『初瀬に告白したくせに性欲を我慢できなくて危ない男とセックスしようとしてるバカ』になってるのではと焦り、皆木は大きい声を出した。
「あっ、違いますよ!?まだなんにもしてない!オレはやりに来てるわけじゃなくて!」
『……急にデケエ声出すな。なんでもいいが、晩飯は作ったのか』
「まだです。アイザワさんちから帰ったら作ろうと──」
『もう戻るから俺が家着くまでに用意しておけ。命令だ、いいな』
「え、ホントに!?用事終わったんですか!そしたらすぐ作ります!一緒に食いましょ!」
『ああ。それから会沢さんに電話代われ。ケータイ渡したらお前はそのまま部屋出てうちに帰れ。ケータイはあとで新しいの買ってやる。そこに長居するな』
会沢と薬中の不幸な男の3人で不本意な3Pをするより、初瀬のために夕飯を作って初瀬の帰りを待つ方が何百倍も有意義だ。比べるまでもない。ケータイなど会沢にいくらでもくれてやっていい。
皆木は思わぬ幸運に、嬉々としてケータイを会沢に手渡した。
「アイザワさん、すんません。オレ、ハセさんに飯作らないとで。あとはお偉い2人でどうぞ」
「ええ~帰っちゃうの。あ、もしもし?ハセくんが僕と話したいなんて珍しいねえ。暇だから何時間でもお喋りできるよ」
会沢はケータイを耳に当てると、肩をすくめてニヤける。本命からのコールに、もうすっかり皆木への興味は失われたようだ。
「ペット置いてお出かけなんて可哀想じゃない?ああ、僕はヘマした売り子くんと仕事してたんだよ。あ、そうそう。新薬の。そこにトーマくんが来たわけ。まったく過保護だね、初瀬くんは。3Pくらいイイじゃん。別にトーマくんを取って食おうってわけじゃなし。え?なに。もしかして怒って──」
皆木は初瀬との会話を楽しむ会沢を見つつ、刺激しないようにドアに向かう。会沢と初瀬の会話が気になったが、いつまた襲われるかわからないライオンの檻にこれ以上いられない。
(……でも、また2人で会わないと。アイザワさん本気なのかわかんねーけど)
会沢に聞かされた話については、また会沢と2人きりで話し合わなければならない。それまでにきちんと危機管理をできるようにならなければと思いながら、皆木は小さく会釈をして初瀬の帰りを待つために部屋を後にした。
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