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二週目
28話 あやかしのクラウドストレージ
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土曜日の夜は薄雪とふたりで晩酌をして、日曜日はゆっくりだらだらと過ごした。
昼すぎに宅配便が来て、ネットで購入してた商品が届いた。大きな段ボールを持ってリビングに戻って来た私に綾目は興味津々だった。
「花雫!それなにー!?」
「えへへー!二人にプレゼントだよ!」
「なんでしょうか」
段ボールを開けると、箱の大きさと見合っていない小さな商品がコロンと入っていた。私はそれを取り出し彼らに笑いかける。
「花の香りがする入浴剤!ちょっといいやつ~!!」
「おーー!!」
「それは嬉しいですね。また風呂に入りたいと思っていたんです」
「今日はゆっくり入ってください!」
「やったー!!!僕、お湯ためてくるー!!」
上機嫌になった綾目が浴室へ駆け込んだ。こんなに喜んでもらえたらプレゼントしがいがある。
「花雫。ここまでしていただかなくてもいいですのに」
「いえいえお気になさらず!お二人にはお世話になってますからね!」
「世話になっているのはこちらの方ですよ」
「そんなことないです。薄雪が来てからちょっと楽しいんです。生きるの」
はにかみながらそう言った私に、薄雪は少し驚いていた。すぐにいつもの微笑を浮かべて日本酒を口に運ぶ。
「そうですか。よかった」
「えへへ」
私の言ったことは本心だ。相変わらず仕事はしんどいし生きるのはめんどくさいけど、薄雪が来てから毎日が少しだけ色づいた。
今までとほとんど生活は変わらない。平日は仕事して帰ってごはん食べて寝るだけだし、休日もほぼ寝てるしパソコンやスマホをいじってるだけだけど。
でも、彼が来てから毎日夜にお風呂に入るようになった。朝食を食べるようになった。時々料理をするようになった。変わったのはそれくらいだけなのに、どうしてこんなに色づいたんだろう。
それはきっと、家に薄雪と綾目がいてくれるからだ。あと、カスミソウも。
仕事から帰ると部屋に明かりがついていたり、生活音が聞こえたり。一緒にごはんを食べてくれたり、お酒を飲んでくれたり。寝るときだって、一人じゃない。
素の私を受け入れてくれる二人がいてくれる。それがどれほど気楽で心地いいか。きっとあやかしたちには分からないんだろうな。
「…花雫」
「ん?」
呼びかけられて薄雪を見ると、扇子で顔を隠していた。
「考えるのはそのへんにしませんか?」
「はっ…!また心読んでたなあああ!!!」
「こんなに近ければ聞きたくなくても聞こえてきます。まさか花雫が私のことをそんなふうに思ってくれていたなんて…」
「ぎゃーーーー!!やめろぉぉっ!!忘れてっ!忘れてえええええ!!!」
「残念ですが、私が忘れることなどありえません。...そうだ、念のために眷属たちと共有しておきましょう。万が一私の記憶を誰かに消去されたとしても思い出せるように…」
「ちょ、バックアップ取らないでください!!」
「あ、すみません。もう共有してしまいました。綾目と、蕣と…」
「クラウドストレージいくつ持ってるんですかあなたああ!!」
「…蓮華(レンゲ)の三人です。これで安心ですね」
「なんにも安心じゃないぃぃぃっ」
「いざとなれば蓮華が喜代春(キヨハル)に共有することもできますので、最大四人ですね」
「キヨハル誰だよ!!!」
「風のあやかしです。蓮華は喜代春の眷属ですので」
「風のあやかし、キヨハルっていうんだ…。そうですか…」
恥ずかしすぎてうなだれていると、浴室からニヤニヤしている綾目が戻って来た。
「えへへ。花雫、僕たちのことそんな風に思ってたんだね。えへへー」
「やめろぉぉぉぉっ!!!」
「これからも僕が花雫の面倒みてあげるからね」
「えっ…それは嬉しい…。じゃなくて、ちょっと恥ずかしすぎるんで早くお風呂入ってくれませんか!?」
「そうですね。私もこのことについて風呂に浸かりながらゆっくり綾目と話し合いたいです。いきましょう綾目」
「はい!!今日はラベンダーの入浴剤にしてみました!」
「いいね」
薄雪と綾目がリビングを出た瞬間、私は布団に潜りこんだ。恥ずかしすぎる。もうやだ。二人ともすごくニヤニヤしてた。もしかしたらアチラ側の蕣と蓮華もニヤニヤしてるのかもしれない。なんで私の恥ずかしいことを情報共有するんだよぉぉぉ。薄雪のあほぉぉぉぉ…。
そんなことを考えている間にいつの間にか寝てしまっていたみたい。目が覚めると、両隣で小さい薄雪と猫の綾目が眠っていた。二人からラベンダーの良い香りがする。
時計を見るともう夜になってしまってた。ああ、また平日が始まる。現実逃避に二度寝を試みた。その時は眠れたけど、起きたときには寝すぎて頭が痛かった。
昼すぎに宅配便が来て、ネットで購入してた商品が届いた。大きな段ボールを持ってリビングに戻って来た私に綾目は興味津々だった。
「花雫!それなにー!?」
「えへへー!二人にプレゼントだよ!」
「なんでしょうか」
段ボールを開けると、箱の大きさと見合っていない小さな商品がコロンと入っていた。私はそれを取り出し彼らに笑いかける。
「花の香りがする入浴剤!ちょっといいやつ~!!」
「おーー!!」
「それは嬉しいですね。また風呂に入りたいと思っていたんです」
「今日はゆっくり入ってください!」
「やったー!!!僕、お湯ためてくるー!!」
上機嫌になった綾目が浴室へ駆け込んだ。こんなに喜んでもらえたらプレゼントしがいがある。
「花雫。ここまでしていただかなくてもいいですのに」
「いえいえお気になさらず!お二人にはお世話になってますからね!」
「世話になっているのはこちらの方ですよ」
「そんなことないです。薄雪が来てからちょっと楽しいんです。生きるの」
はにかみながらそう言った私に、薄雪は少し驚いていた。すぐにいつもの微笑を浮かべて日本酒を口に運ぶ。
「そうですか。よかった」
「えへへ」
私の言ったことは本心だ。相変わらず仕事はしんどいし生きるのはめんどくさいけど、薄雪が来てから毎日が少しだけ色づいた。
今までとほとんど生活は変わらない。平日は仕事して帰ってごはん食べて寝るだけだし、休日もほぼ寝てるしパソコンやスマホをいじってるだけだけど。
でも、彼が来てから毎日夜にお風呂に入るようになった。朝食を食べるようになった。時々料理をするようになった。変わったのはそれくらいだけなのに、どうしてこんなに色づいたんだろう。
それはきっと、家に薄雪と綾目がいてくれるからだ。あと、カスミソウも。
仕事から帰ると部屋に明かりがついていたり、生活音が聞こえたり。一緒にごはんを食べてくれたり、お酒を飲んでくれたり。寝るときだって、一人じゃない。
素の私を受け入れてくれる二人がいてくれる。それがどれほど気楽で心地いいか。きっとあやかしたちには分からないんだろうな。
「…花雫」
「ん?」
呼びかけられて薄雪を見ると、扇子で顔を隠していた。
「考えるのはそのへんにしませんか?」
「はっ…!また心読んでたなあああ!!!」
「こんなに近ければ聞きたくなくても聞こえてきます。まさか花雫が私のことをそんなふうに思ってくれていたなんて…」
「ぎゃーーーー!!やめろぉぉっ!!忘れてっ!忘れてえええええ!!!」
「残念ですが、私が忘れることなどありえません。...そうだ、念のために眷属たちと共有しておきましょう。万が一私の記憶を誰かに消去されたとしても思い出せるように…」
「ちょ、バックアップ取らないでください!!」
「あ、すみません。もう共有してしまいました。綾目と、蕣と…」
「クラウドストレージいくつ持ってるんですかあなたああ!!」
「…蓮華(レンゲ)の三人です。これで安心ですね」
「なんにも安心じゃないぃぃぃっ」
「いざとなれば蓮華が喜代春(キヨハル)に共有することもできますので、最大四人ですね」
「キヨハル誰だよ!!!」
「風のあやかしです。蓮華は喜代春の眷属ですので」
「風のあやかし、キヨハルっていうんだ…。そうですか…」
恥ずかしすぎてうなだれていると、浴室からニヤニヤしている綾目が戻って来た。
「えへへ。花雫、僕たちのことそんな風に思ってたんだね。えへへー」
「やめろぉぉぉぉっ!!!」
「これからも僕が花雫の面倒みてあげるからね」
「えっ…それは嬉しい…。じゃなくて、ちょっと恥ずかしすぎるんで早くお風呂入ってくれませんか!?」
「そうですね。私もこのことについて風呂に浸かりながらゆっくり綾目と話し合いたいです。いきましょう綾目」
「はい!!今日はラベンダーの入浴剤にしてみました!」
「いいね」
薄雪と綾目がリビングを出た瞬間、私は布団に潜りこんだ。恥ずかしすぎる。もうやだ。二人ともすごくニヤニヤしてた。もしかしたらアチラ側の蕣と蓮華もニヤニヤしてるのかもしれない。なんで私の恥ずかしいことを情報共有するんだよぉぉぉ。薄雪のあほぉぉぉぉ…。
そんなことを考えている間にいつの間にか寝てしまっていたみたい。目が覚めると、両隣で小さい薄雪と猫の綾目が眠っていた。二人からラベンダーの良い香りがする。
時計を見るともう夜になってしまってた。ああ、また平日が始まる。現実逃避に二度寝を試みた。その時は眠れたけど、起きたときには寝すぎて頭が痛かった。
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