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二週目
29話 薄雪ヒモ説
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「なんか最近花雫さんウキウキしてません!?」
「ふぁっ!?」
「あー!私も思ってました~!なんかお肌がツルツルしてるっていうか~」
「今日だって手作りお弁当じゃないですか!いつもコンビニ弁当なのに~!」
月曜日の昼休憩。タッパーに残り物をぶちこんだ、私の悲惨な昼食を指さして職場仲間が楽し気に話している。いやこれのどこがウキウキやねん。米に野菜炒めの汁が沁み込んで涙がでるほど不味いんだぞ。
「その料理し慣れてない感じのお弁当!もしかして、彼氏ですかあ~?」
「しかも年下の~?」
「残念ですがこれは私の手料理です。すごく不味いです」
「あはは!!そうなんですか~?」
悪かったな、料理し慣れてなくて。
「でも今までお弁当なんて作ってきたことなかったじゃないですか!環境の変化があったのでは!?」
「うっ」
うう。女子は勘が鋭い。っていうか他人のことによくそんな興味持てるなあ。
「わ!あたりだ!!えー!!彼氏ですか!?」
「彼氏ではないです」
「ではない!?」
「なに!?セフレ!?」
「ちがいます!!」
「じゃあなに…?」
そういえば薄雪と私っていったいどんな関係なんだろう。彼氏ではないでしょ。セフレでももちろんない。毎日一緒に寝てるけど、あの人性欲ないからそんな流れになんかなるわけないし。
実際は私が使役してるあやかしなんだろうけど、お互いそんな感じでは全くないし。ていうか使役してるってなんだ?私がご主人様で薄雪がペット的な?いやそんなこと言ったら絶対誤解される。ここはシンプルに…。
「同居人…?」
「同居!?!?」
「同棲!?!?」
「男の人ですか!?!?」
同居人発言に休憩室がざわめいた。うわあー…。なんだこれ、めんどくさ…。
まずいな。他人の色恋沙汰に興味津々のハイエナに囲まれてしまった。どうにか誤解を解かなくちゃ。
「男の人だけど、ほんとそういうのじゃないから。男の子もいるし、あなたたちが期待してるような話には…」
「え”!?子連れ!?」
「子連れ…っちゃあ子連れなのかな…?」
眷属って子どもみたいなものだよね?じゃあ子連れなのか、薄雪は。
「ええええ!?どういう流れでそんな!?」
「えー…なんか急に住みついたんですよ…」
「な、なにそれ!?いつからですか!?」
「二週間くらい前…?」
「最近じゃないですか!!!」
「付き合ってないんですか!?」
「だからそういうのじゃないですって」
うーん、なんかややこしくなってきたぞ。
「お仕事何されてる方なんですか!?」
「年収は!?」
その質問に私は固まった。仕事…とかしてるわけない。あやかしなんだから…。私が黙っていると、察した人たちがヒソヒソと隣の人に耳打ちしている。
「え…まさか無職…?」
「そんなわけないでしょー。子持ちで無職はやばいでしょ」
「ぐぅ…っ」
「……」
ダメージを食らっている私を見て全員がかたまった。
「え…嘘ですよね花雫さん…。無職の子連れなわけないですよね…」
「……」
「え…うそ、うそぉ…」
無職どころか存在してるかどうかもあやうい存在なんですけど…。
「…いいんです。そんなの気にしないから、私」
「いやいや!!花雫さん!?そ、そんなのと同棲しなくたって、花雫さんにはもっと良い人いるでしょ!?」
「そうですよ!!ほら、北窪さんとか!!絶対彼、花雫さんのこと好きですよ!!」
「うんうん!!北窪さんのほうが絶対いいって!!」
う、うるせぇぇ…。ほっとけぇ…。
ってイライラした半面、薄雪がヒモだということに気付き衝撃を受けた。そうだ…あのあやかし、ヒモだ…。
◇◇◇
その日から、私が子持ちのヒモ男と同棲しているという噂が職場に広がってしまった(きっと篠崎さんのせい)。支社長がお見合いをすすめて来たり、女性社員から合コンに誘われる頻度が増えたりしてとても面倒だった。全部断ったけど。
後ろ指を指されてヒソヒソされたりとかもこの頃は日常茶飯事だ。
(花雫さん、綺麗なのにどうしてヒモ男となんかと…)
(ねー。しかも子連れですよ。子連れ)
(確かに男見る目なさそう…)
(アレよね。しっかりしてる分ダメな男に引っかかるタイプ…)
(ダメ男の前で母性が爆発しちゃうタイプ…)
「外回り行ってきます!!!」
居心地が悪すぎて私は会社を飛び出した。なんだこれ!!なんだこれええええ!!
会社を出て車に飛び乗り、私はさっきからずっと後ろに立ってたあやかしを睨みつけた。
「…あなたのせいですよ。薄雪ぃぃ…」
「はて。ヒモとはなんでしょうか」
「花雫!セフレってなにー!?」
「綾目!!よりにもよってそのワードを聞かないで!!」
「ふぁっ!?」
「あー!私も思ってました~!なんかお肌がツルツルしてるっていうか~」
「今日だって手作りお弁当じゃないですか!いつもコンビニ弁当なのに~!」
月曜日の昼休憩。タッパーに残り物をぶちこんだ、私の悲惨な昼食を指さして職場仲間が楽し気に話している。いやこれのどこがウキウキやねん。米に野菜炒めの汁が沁み込んで涙がでるほど不味いんだぞ。
「その料理し慣れてない感じのお弁当!もしかして、彼氏ですかあ~?」
「しかも年下の~?」
「残念ですがこれは私の手料理です。すごく不味いです」
「あはは!!そうなんですか~?」
悪かったな、料理し慣れてなくて。
「でも今までお弁当なんて作ってきたことなかったじゃないですか!環境の変化があったのでは!?」
「うっ」
うう。女子は勘が鋭い。っていうか他人のことによくそんな興味持てるなあ。
「わ!あたりだ!!えー!!彼氏ですか!?」
「彼氏ではないです」
「ではない!?」
「なに!?セフレ!?」
「ちがいます!!」
「じゃあなに…?」
そういえば薄雪と私っていったいどんな関係なんだろう。彼氏ではないでしょ。セフレでももちろんない。毎日一緒に寝てるけど、あの人性欲ないからそんな流れになんかなるわけないし。
実際は私が使役してるあやかしなんだろうけど、お互いそんな感じでは全くないし。ていうか使役してるってなんだ?私がご主人様で薄雪がペット的な?いやそんなこと言ったら絶対誤解される。ここはシンプルに…。
「同居人…?」
「同居!?!?」
「同棲!?!?」
「男の人ですか!?!?」
同居人発言に休憩室がざわめいた。うわあー…。なんだこれ、めんどくさ…。
まずいな。他人の色恋沙汰に興味津々のハイエナに囲まれてしまった。どうにか誤解を解かなくちゃ。
「男の人だけど、ほんとそういうのじゃないから。男の子もいるし、あなたたちが期待してるような話には…」
「え”!?子連れ!?」
「子連れ…っちゃあ子連れなのかな…?」
眷属って子どもみたいなものだよね?じゃあ子連れなのか、薄雪は。
「ええええ!?どういう流れでそんな!?」
「えー…なんか急に住みついたんですよ…」
「な、なにそれ!?いつからですか!?」
「二週間くらい前…?」
「最近じゃないですか!!!」
「付き合ってないんですか!?」
「だからそういうのじゃないですって」
うーん、なんかややこしくなってきたぞ。
「お仕事何されてる方なんですか!?」
「年収は!?」
その質問に私は固まった。仕事…とかしてるわけない。あやかしなんだから…。私が黙っていると、察した人たちがヒソヒソと隣の人に耳打ちしている。
「え…まさか無職…?」
「そんなわけないでしょー。子持ちで無職はやばいでしょ」
「ぐぅ…っ」
「……」
ダメージを食らっている私を見て全員がかたまった。
「え…嘘ですよね花雫さん…。無職の子連れなわけないですよね…」
「……」
「え…うそ、うそぉ…」
無職どころか存在してるかどうかもあやうい存在なんですけど…。
「…いいんです。そんなの気にしないから、私」
「いやいや!!花雫さん!?そ、そんなのと同棲しなくたって、花雫さんにはもっと良い人いるでしょ!?」
「そうですよ!!ほら、北窪さんとか!!絶対彼、花雫さんのこと好きですよ!!」
「うんうん!!北窪さんのほうが絶対いいって!!」
う、うるせぇぇ…。ほっとけぇ…。
ってイライラした半面、薄雪がヒモだということに気付き衝撃を受けた。そうだ…あのあやかし、ヒモだ…。
◇◇◇
その日から、私が子持ちのヒモ男と同棲しているという噂が職場に広がってしまった(きっと篠崎さんのせい)。支社長がお見合いをすすめて来たり、女性社員から合コンに誘われる頻度が増えたりしてとても面倒だった。全部断ったけど。
後ろ指を指されてヒソヒソされたりとかもこの頃は日常茶飯事だ。
(花雫さん、綺麗なのにどうしてヒモ男となんかと…)
(ねー。しかも子連れですよ。子連れ)
(確かに男見る目なさそう…)
(アレよね。しっかりしてる分ダメな男に引っかかるタイプ…)
(ダメ男の前で母性が爆発しちゃうタイプ…)
「外回り行ってきます!!!」
居心地が悪すぎて私は会社を飛び出した。なんだこれ!!なんだこれええええ!!
会社を出て車に飛び乗り、私はさっきからずっと後ろに立ってたあやかしを睨みつけた。
「…あなたのせいですよ。薄雪ぃぃ…」
「はて。ヒモとはなんでしょうか」
「花雫!セフレってなにー!?」
「綾目!!よりにもよってそのワードを聞かないで!!」
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