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二週目
27話 スーパーへ買い物
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起きたら夕方だった。お昼寝は最高だけど、意識を失ってる間に休日の数時間が消えるのは虚しい。薄暗くなっている外を見て私は絶望に打ちひしがれていた。
「ああ…土曜が終わる…無理…なんで…」
「大丈夫!あと7時間残ってるよ。だから今日のうちに買い物に行こう、花雫!」
「残されたたった7時間を外出で潰せと!?」
「じゃあ明日行く?」
「いや!日曜日は絶対に外に出ない」
「でしょ?じゃあ今日だよ」
「…コンビニで…」
「だめだよ!スーパーに行くの!」
「うぅぅぅ…」
いつのまにか元の姿に戻っていた綾目が私を布団から引きずり出す。外出が億劫すぎて、無駄に煙草を3本くらい吸う。吸ってる間に見てた実況動画が面白くなってきて、それが終わってから買い物に行こうと思ってたけど、一本見終わったら続きが気になりやめられない。我慢強く待ってくれてた綾目も最終的にはスマホを取り上げて、私を着替えさせて玄関まで引きずっていった。
「い”や”ぁ”ぁ”ぁ”…」
「買い物行ってからまた観たらいいから!」
「う”ぁ”ぁ”ぁ”…」
「観念なさい花雫。私もついていきますから」
「うぅぅ…」
薄雪と綾目に手を引かれ、なんとか玄関を出た。外へ出た途端冷たい風が私の頬を殴りつける。
「さっむ!!!むり!!」
「むりじゃないの!!」
「早く行きましょう」
風が寒すぎて、薄雪を風よけにして歩く。背中にへばりつかれて壁として扱われてるのに、なぜか薄雪はどことなく嬉しそうだった。
スーパーに到着するとちょっとテンションが上がる。外出はきらいだけど買い物はけっこう好き。今回も適当に食材をかごに放り込んだ。お菓子もつまみもばっちりだ。ビールも一箱買ったし、日本酒も10本買った。これだとさすがの薄雪でも一週間もつでしょ。
私が猫用のおやつ売り場で立ち止まっていると綾目に叱られた。
「もう!それは猫用にしてはおいしいけど、花雫と同じもの食べたいから!花雫、僕アレ食べたい!ポテトチップス!!」
「ああ。ミルちゃんのとき、私がポテトチップス食べてたらやたらと鳴いてたもんね。前なんて袋の中に頭突っ込んでたし」
「だってすっごく良い匂いするんだもん!なのに花雫、一口も食べさせてくれなかった!」
「猫だと思ってたんだもん」
「今日は買ってくれる!?」
「いいよ」
「僕だけが食べていいやつ!?」
「いいよいいよ。じゃあ、1000円分好きなお菓子買っていいよ。一週間分ね」
「やったぁーー!!」
綾目が大声で叫びながら店内を走り出したからヒヤヒヤしたけど、他の人にはやっぱり綾目の姿は見えていない。不思議だなあ…。
「花雫」
「はい」
夢中でお菓子を選んでいる綾目を眺めていると、うしろから薄雪の声がした。
「食パンを買ってください」
「あっ、そうですね。3人だとすぐなくなっちゃいますね。一日3枚で、7日分…21枚?6枚切りを4袋買いましょうか」
「あと、マーガリンとジャムも」
「買いましょう」
パン売り場に行き、薄雪とどの食パンにしようか選んだ。どれもおいしそうだったから全部違う種類のものにした。ひとつはちょっと高いやつ。今まで一番安いものだったり、半額になってる食パンを買ってただけだったから、こうしていろんな種類の食パンを買うことが新鮮で楽しかった。
今日もカゴふたつ分の買い物をした。買ったものは、ひとけがなくなったところまで行くと薄雪と綾目が持ってくれた。薄雪は早く食パンの食べ比べをしたいようで、晩食は食パンがいいなんて言い出したから却下した。今晩は久しぶりに、レシピサイトを見ながら私ががんばってつくるんだから。
「ああ…土曜が終わる…無理…なんで…」
「大丈夫!あと7時間残ってるよ。だから今日のうちに買い物に行こう、花雫!」
「残されたたった7時間を外出で潰せと!?」
「じゃあ明日行く?」
「いや!日曜日は絶対に外に出ない」
「でしょ?じゃあ今日だよ」
「…コンビニで…」
「だめだよ!スーパーに行くの!」
「うぅぅぅ…」
いつのまにか元の姿に戻っていた綾目が私を布団から引きずり出す。外出が億劫すぎて、無駄に煙草を3本くらい吸う。吸ってる間に見てた実況動画が面白くなってきて、それが終わってから買い物に行こうと思ってたけど、一本見終わったら続きが気になりやめられない。我慢強く待ってくれてた綾目も最終的にはスマホを取り上げて、私を着替えさせて玄関まで引きずっていった。
「い”や”ぁ”ぁ”ぁ”…」
「買い物行ってからまた観たらいいから!」
「う”ぁ”ぁ”ぁ”…」
「観念なさい花雫。私もついていきますから」
「うぅぅ…」
薄雪と綾目に手を引かれ、なんとか玄関を出た。外へ出た途端冷たい風が私の頬を殴りつける。
「さっむ!!!むり!!」
「むりじゃないの!!」
「早く行きましょう」
風が寒すぎて、薄雪を風よけにして歩く。背中にへばりつかれて壁として扱われてるのに、なぜか薄雪はどことなく嬉しそうだった。
スーパーに到着するとちょっとテンションが上がる。外出はきらいだけど買い物はけっこう好き。今回も適当に食材をかごに放り込んだ。お菓子もつまみもばっちりだ。ビールも一箱買ったし、日本酒も10本買った。これだとさすがの薄雪でも一週間もつでしょ。
私が猫用のおやつ売り場で立ち止まっていると綾目に叱られた。
「もう!それは猫用にしてはおいしいけど、花雫と同じもの食べたいから!花雫、僕アレ食べたい!ポテトチップス!!」
「ああ。ミルちゃんのとき、私がポテトチップス食べてたらやたらと鳴いてたもんね。前なんて袋の中に頭突っ込んでたし」
「だってすっごく良い匂いするんだもん!なのに花雫、一口も食べさせてくれなかった!」
「猫だと思ってたんだもん」
「今日は買ってくれる!?」
「いいよ」
「僕だけが食べていいやつ!?」
「いいよいいよ。じゃあ、1000円分好きなお菓子買っていいよ。一週間分ね」
「やったぁーー!!」
綾目が大声で叫びながら店内を走り出したからヒヤヒヤしたけど、他の人にはやっぱり綾目の姿は見えていない。不思議だなあ…。
「花雫」
「はい」
夢中でお菓子を選んでいる綾目を眺めていると、うしろから薄雪の声がした。
「食パンを買ってください」
「あっ、そうですね。3人だとすぐなくなっちゃいますね。一日3枚で、7日分…21枚?6枚切りを4袋買いましょうか」
「あと、マーガリンとジャムも」
「買いましょう」
パン売り場に行き、薄雪とどの食パンにしようか選んだ。どれもおいしそうだったから全部違う種類のものにした。ひとつはちょっと高いやつ。今まで一番安いものだったり、半額になってる食パンを買ってただけだったから、こうしていろんな種類の食パンを買うことが新鮮で楽しかった。
今日もカゴふたつ分の買い物をした。買ったものは、ひとけがなくなったところまで行くと薄雪と綾目が持ってくれた。薄雪は早く食パンの食べ比べをしたいようで、晩食は食パンがいいなんて言い出したから却下した。今晩は久しぶりに、レシピサイトを見ながら私ががんばってつくるんだから。
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