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5章
第46話 キラキラグループ
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◇◇◇
「ミッチー!」
放課後、茜が部活に行こうとする海茅と優紀を呼び止めた。
「明日から夏休みだね! 学校で会えなくなる分、いっぱい遊ぼうねー!」
そう言って二人に抱きついた茜の肩に、創が手を乗せる。
「残念でした。喜田さんと彼方さんは、コンクールがあるから夏休みは忙しいでーす」
「あ、そっかー……。いや、でもコンクール終わってからは遊べるよねぇ!?」
「普通にそのあとも部活あるんじゃね?」
「えぇぇ!? 休みないのぉ!?」
海茅と優紀は目を見合わせたあと、子犬のように目をうるませている茜に応える。
「実は、コンクールのあとのことは私たちでも分からないんだぁ」
「お盆くらいは休みなんじゃないかな?」
茜は「そんなあ~……」とがっくり項垂れた。
「お盆は家族で旅行だよぉ……。また五人で遊びたかったよ~……」
「なあ、コンクールって何日なんだ?」
創の質問には、海茅と優紀が声を揃えて即答する。
「「八月十日だよ」」
「それって誰でも聴きに行ける感じ?」
「たぶん?」
自信のなさそうな返事だったが、創にとってはそれで充分のようだった。彼はニッと口角を上げ、茜に声をかけた。
「一緒に聴きに行こうぜ、コンクール」
「行くぅ~!! 絶対行くー!!」
「匡史も誘ったら来るだろ」
「絶対来ると思うー!!」
「じゃあ決まりだな!」
盛り上がっている二人に、海茅と優紀は照れくさそうに笑う。
「そ、そんなに期待しないでね?」
「うわー、見つけたら手振っちゃいそうだから、見つけないようにしないと」
そろそろ部活の時間が始まる。手を振ってから背を向けた海茅と優紀に、茜が念を押した。
「でも、それとは別に遊べたら遊んでねー!」
音楽室に向かっているとき、海茅はふと気になったことを口に出した。
「どうして茜ちゃんと黒間君って、私と仲良くしてくれるんだろう?」
「えっ? 今さらそんなこと言うの!?」
「ううん、どうして地味な私なんかとって意味じゃなくて」
茜たちには、キラキラした六人グループがある。今でも茜たちが主に仲良くしているのはそのグループなのだが、ちょくちょくそのグループを抜けて海茅たちのところに来るのだ。時には昼ごはんを一緒に食べることもある。
優紀はそんなに興味がなさそうな様子だが、事情を知っていたようで教えてくれた。
「別に仲が悪いわけじゃないけど、ちょっと息が詰まる時があるんだって。茜ちゃんが言ってた」
「そうなの? そんな風には見えなかった」
「茜ちゃん、黒間君、多田君の三人って幼馴染だから気心知れてるでしょ? でも他の三人は中学から仲良くなった子たちだから、ちょっと気を遣うみたい」
それを言ったら、海茅も茜たちと中学からの付き合いだ。
首を傾げる海茅に、優紀が肩をすくめる。
「多分だけど、三人の見た目はキラキラグループにぴったりだけど、性格と考え方は私たちとの方が合うんじゃない?」
「そっかあ。キラキラした人たちの中にも色々いるんだね」
「当然。みんな十人十色の人間なんだから」
海茅は、優紀と仲良くなれてよかったと思った。彼女の考え方は海茅の中にはないものばかりだ。それに、周りが気になりビクビクしている海茅と違い、しっかり揺るがない自分を持っている。
海茅にとって、優紀は今まで出会ってきた人の誰よりもかっこいい存在だった。
「ミッチー!」
放課後、茜が部活に行こうとする海茅と優紀を呼び止めた。
「明日から夏休みだね! 学校で会えなくなる分、いっぱい遊ぼうねー!」
そう言って二人に抱きついた茜の肩に、創が手を乗せる。
「残念でした。喜田さんと彼方さんは、コンクールがあるから夏休みは忙しいでーす」
「あ、そっかー……。いや、でもコンクール終わってからは遊べるよねぇ!?」
「普通にそのあとも部活あるんじゃね?」
「えぇぇ!? 休みないのぉ!?」
海茅と優紀は目を見合わせたあと、子犬のように目をうるませている茜に応える。
「実は、コンクールのあとのことは私たちでも分からないんだぁ」
「お盆くらいは休みなんじゃないかな?」
茜は「そんなあ~……」とがっくり項垂れた。
「お盆は家族で旅行だよぉ……。また五人で遊びたかったよ~……」
「なあ、コンクールって何日なんだ?」
創の質問には、海茅と優紀が声を揃えて即答する。
「「八月十日だよ」」
「それって誰でも聴きに行ける感じ?」
「たぶん?」
自信のなさそうな返事だったが、創にとってはそれで充分のようだった。彼はニッと口角を上げ、茜に声をかけた。
「一緒に聴きに行こうぜ、コンクール」
「行くぅ~!! 絶対行くー!!」
「匡史も誘ったら来るだろ」
「絶対来ると思うー!!」
「じゃあ決まりだな!」
盛り上がっている二人に、海茅と優紀は照れくさそうに笑う。
「そ、そんなに期待しないでね?」
「うわー、見つけたら手振っちゃいそうだから、見つけないようにしないと」
そろそろ部活の時間が始まる。手を振ってから背を向けた海茅と優紀に、茜が念を押した。
「でも、それとは別に遊べたら遊んでねー!」
音楽室に向かっているとき、海茅はふと気になったことを口に出した。
「どうして茜ちゃんと黒間君って、私と仲良くしてくれるんだろう?」
「えっ? 今さらそんなこと言うの!?」
「ううん、どうして地味な私なんかとって意味じゃなくて」
茜たちには、キラキラした六人グループがある。今でも茜たちが主に仲良くしているのはそのグループなのだが、ちょくちょくそのグループを抜けて海茅たちのところに来るのだ。時には昼ごはんを一緒に食べることもある。
優紀はそんなに興味がなさそうな様子だが、事情を知っていたようで教えてくれた。
「別に仲が悪いわけじゃないけど、ちょっと息が詰まる時があるんだって。茜ちゃんが言ってた」
「そうなの? そんな風には見えなかった」
「茜ちゃん、黒間君、多田君の三人って幼馴染だから気心知れてるでしょ? でも他の三人は中学から仲良くなった子たちだから、ちょっと気を遣うみたい」
それを言ったら、海茅も茜たちと中学からの付き合いだ。
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「当然。みんな十人十色の人間なんだから」
海茅は、優紀と仲良くなれてよかったと思った。彼女の考え方は海茅の中にはないものばかりだ。それに、周りが気になりビクビクしている海茅と違い、しっかり揺るがない自分を持っている。
海茅にとって、優紀は今まで出会ってきた人の誰よりもかっこいい存在だった。
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