出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに

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最終章

116※

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 しばらく休憩していると、瞑想していたリーフィアの目が開いた。

「もういけそう?」
「はい。全部ではないですけど、ある程度は回復したので」
「じゃあ行くわよ」

 ナターシャさんを先頭にまた森の中を突き進む。けれど、どういう訳か魔獣に一切遭遇しない。

「変ね……いるはずなのに、わたし達の方へ来ようとしない」

 ナターシャさんがそう呟く。わたしも探ってみる。すると魔獣の反応は確認できたけれど、確かにこちらへ近付く気配はない。

「……みんな、注意して」
「え?」
「魔獣が意図的に避けるってことは、わたし達の近くに強い魔獣がいる可能性が高いわ」

 魔獣は基本本能に従う。だからこそ、敵わない程強い相手は本能的に避けようとする。でも、それならなんでその魔獣が《索敵》に引っかからない?

「隠密が得意な魔獣かもしれないわ。慎重にいくわよ」

 最大限に警戒しながら、慎重に進んでいく。それに伴い、周りの魔獣はさらに離れていく。

「……っ! そこっ!」

 突然、ナターシャさんが森の中へ魔法を放つ。すると、何かがガサッと動く音が聞こえた。
 
「ちっ。すばしっこいわね」
「次はわたしが!」

 リーフィアが音がした方目掛けて魔法を放つ。すると今度はバチンッ! と何かに当たったような音が響いた。

「今のは……まさか、結界?」
「え!? 魔法を使う魔獣なんて聞いたことないですよっ!?」
「わたしもよ。でも、さっきの音は明らかに結界系の魔法に当たった音よ」

(魔の氾濫という異常事態において、魔法を使う異常な魔物が産まれてきた可能性も否定できないわね……)

 そうなると不味い。魔獣は物理だけで脅威の塊だというのに、魔法まで使うようになれば、人間側の勝ち目が薄くなる。さらに、先程のように結界で防がれてしまえば、最早勝ち目は無い。

「ならっ!」

 今ここで倒すしかない。魔法を使える魔獣がこの一体とは限らないが、そう多くもないはずだ。せめて数を減らせれば……

 わたしは音のする方へ魔導銃の引き金を引く。すると今度はパリンッ! とガラスが割れたような音が響いた。魔法が失敗した音……つまり、結界が割れた音だ。

「今度こそっ! 《暴風》!」

 リーフィアがその名の通りの魔法を放つ。すると、何かが木に叩きつけられるような音がした。
 わたしはすかさず照明弾を魔力を込めて投げつける。
 魔導弾は起動のための魔力を流すと、魔導銃が無くても、威力は劣るが一応使うことが出来る。なので魔導銃というのは、魔導弾を発射する為だけの装置とも言えたりする。

 投げつけた照明弾が炸裂し、薄暗い森を煌々と照らす。
 ………しかし次の瞬間、浮かび上がった姿は凶悪な魔獣の姿ではなく、小柄な体。………そして、蒼銀の髪だった。

 

 
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