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第三百八十一話 幸運をあなたに
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2人のおかげで正気に戻ったわしは、引き続きスイーツパーティーを楽しむことにした。
「もう平気なのか?」
「ノエルのことが平気になった訳ではないが、何とか喋れるくらいには回復できた」
「普段を100としたとき、今はどのくらいだ?」
「3じゃな」
「瀕死じゃねぇか」
正直、今ノエルに強い言葉を言われたら心が持たん。思わず太陽に身を投げるじゃろう。
「こうやって話を出来るくらいには立ち直れたからのう」
「それは良かったです」
「そういえば、なんでラビがおるんじゃ?お主はオダリムの防衛戦には参加してないじゃろ?」
「ホウリさんがオダリムに行った際に、王都の犯罪率が上がったんです。その解決に私が奔走していたので、労いの意味を込めて呼んだらしいです」
「お主も大変なんじゃな」
「ラビってそんな成りなのに、優秀な検察官なんだな」
「どういう意味ですか?」
ヌカレが感心したように頷くが、ラビは気分を害したのか眉を顰める。
「言っておくが、ラビは見た目以上に優秀じゃ。それに強いぞ?」
「強い?」
「王都の中でわしを除いて2番目に強い。お主程度なら1秒も掛からずグシャグシャじゃ」
「……マジで?」
「ラビ」
わしはコインを10枚ほど投げる。ラビはコインを受取ると首を傾げた。
「なんですか?」
「それを思い切り握りつぶしてみい。腕輪は両方とも外してな」
「腕輪外して良いんですか?」
「うむ。全力でやるがよい」
「?、良く分かりませんが分かりました」
ラビは両手に嵌めている腕輪を外して、コインを思い切り握りつぶした。メキメキという音と共にコインを握りつぶすと、手を開いた。
そこには球状に圧着されたコインの姿があった。
「腕輪を元に戻して良いぞ」
「な、なんだこれは?」
顔を引きつらせながらコインの塊を摘まむ。
「……何をどうしたらこんなのが出来るんだよ」
「強い力で握っただけじゃよ。これがお主の頭蓋骨じゃったらどうなるかのう?」
「ラビさん、舐めた口を利いて大変申し訳ございませんでした」
ヌカレが凄まじい速度で土下座を繰り出す。ラビは急の土下座に驚いた表情になる。そして、わしの方へ困ったような顔を向けて来た。
「どうすれば良いんでしょうか?」
「頭でも踏めば良いのではないか?」
「良い訳ないだろ!?」
ヌカレが光の速さで立ち上がり、わしに詰め寄ってくる。相変わらず手のひら返しが激しい奴じゃな。
「なんで相手役を踏むように頼むんだよ!?」
「お主がノエルのことを告げ口したからじゃが?」
「まだ根に持っているのかよ」
「だいぶ許しておるぞ。許していないと今すぐにでも八つ裂きにしておるからな?」
「バレるのが嫌なら、普段の行いを改めろよ」
「正論か?暴力で対抗するぞ?」
「何かあると暴に訴えるのやめてくれ」
ヌカレは我儘じゃな。しょうがない、わしが大人の対応をしてやるか。
わしは渋々ながら拳を下ろす。
「それにしても、ラビとヌカレが一緒におるのは珍しいのう?知り合いじゃったのか?」
「初対面ですよ」
「お前を元に戻すために協力して貰いたくてな」
「わしに何かしたのか?」
「覚えてないなら別にいいだろ」
「そういうものかのう?」
これは聞いても話してくれそうにないのう。ならば、聞くのは諦めるか。
そういう話をしておると、店の奥の方でホウリが台を持っているのが見えた。
「ホウリ?」
「脚本家いたか?」
「どこです?」
わしがホウリの方を指さすと、2人もそこへ視線を向ける。ホウリは台を床に置くと、台の上に立つ。そこで、他の皆もホウリの存在に気が付き、賑やかさも徐々に収まっていく。
「何をする気じゃ?」
ホウリの事じゃし、スイーツパーティーに水を差すことはせんじゃろう。じゃが今まで姿を見せておらんかったのに、急に姿を出したのは気になる。何かを企んでいるのか?
ラビもそう思っているのか、ホウリの一挙手一投足を見逃さんと集中しておる。
「何か催し物でもするのか?」
ヌカレはあまり警戒しておらんのか、そんな呑気なことを呟く。よし、何かあればこやつを盾にするか。
店がある程度の静けさを取り戻すと、ホウリは笑顔で口を開いた。
「皆、このパーティーに良く来てくれた。ここの代金は俺が全て持つから、好きなだけ楽しんでくれ」
「脚本家のやつ太っ腹だな?」
「ホウリさんはスイーツに関しては太っ腹ですよ」
「じゃが、それだけを言うためだけにあんな所に立っておる訳ではあるまい?」
わしの予想通り、ホウリはそこから更に話を続けた。
「さて、ただスイーツを食うだけでも楽しいと思うが、ここで一つイベントを開催する」
「イベント?」
ホウリが手を叩くと、ティムが厨房から大きな皿を持って来て、長テーブルの上に置いた。皿の上には茶色いホールケーキが乗っており、いくつかのピースに別れておる。そして、それぞれのケーキには数字が振られているピックが刺さっておる。
「これはガレット・デ・ロワ。幸運を占うお菓子だ」
「幸運を占うお菓子?」
「どれか一切れにコインが入っていて、コイン入りのケーキを食った奴が幸運っていうお菓子だ」
「コインが入っているケーキを食ったら危なくないか?」
ヌカレの呟きが聞こえていたのか、ホウリも笑顔で頷く。
「確かにコイン入りのケーキを食べたら歯が欠けたりする可能性がある。だから、今回はコインじゃなくてピックで代用している」
「数字が入っている奴ですね」
「俺がビンゴマシーンで数字を選ぶ。その数字と同じピックのケーキを食った奴が幸運って訳だ」
「なるほど、それなら危なくないのう」
ホウリの事じゃから、何か突拍子もないことを企画しているのかと思ったわい。少し身構えすぎたのう。
肩の力を抜くと、ホウリは更に話を続けた。
「けど、ただ幸運を試すだけじゃ面白くないだろ?だから商品を用意した」
「む?まだ何かあるのか?」
ホウリはニヤリと笑うと、天井に指を突き上げて叫ぶ。
「ビンゴマシーンと同じピックを持っていた奴は、俺とフランで願い事を何でも叶えてやる!」
『ちょっと待たんかい!』
わしは思わずホウリに念話を飛ばす。
『なんだ?』
『わしは何も聞いておらんぞ!なんでわしまで巻き込む!?』
『別に良いじゃねぇか。大抵は俺の力でなんとかなるし、基本的にはフランの力を借りるつもりはない』
『じゃあわしの名前を出す必要はないじゃろ!?』
『保険だな。まあ、そこまで無茶なことをさせるつもりはないから安心してくれ』
『安心できるかい』
はぁ、この調子のホウリは言っても聞かん。ここは様子見するしかないかのう。
「万が一の時は、幸運の者の命を奪ってでも……」
「不穏なことを呟くな」
「海に沈める?いや、山で動物に食わせた方が良いか?」
「もう死体の処理の方法まで考えてます?」
そもそもわしが幸運をつかむ可能性だってある。他の者もそこまで無茶な要求はしてこんじゃろう。
「とりあえずケーキを取りますか?」
「そうじゃな」
「2人は何を願うつもりだ?」
「私は思いつかないですね。当たったら考えてみます」
「わしはノエルとの仲直りじゃ」
「フランさんはブレませんね」
そんなことを話しつつ、ケーキを取りわける。わしは5番、ラビは8番、ヌカレは10番じゃった。
「ガレット・デ・ロワは甘さを抑えて作ってある。甘みが足りないと思ったら用意しているハチミツやチョコレートソースを使ってくれ」
いつの間にかソースが入っているポットがガレット・デ・ロワ皿の傍に置かれておった。わしはケーキにチョコレートソースをたっぷりと掛ける。
「うわ、そんなに掛けるのかよ」
「スイーツは甘くてなんぼじゃろ」
「太るぞ?」
「今日のわしは無敵じゃからな。いくら食ってもノーダメージじゃ」
チョコレートソースたっぷりのケーキを口に入れる。濃厚なチョコレートの甘みが口いっぱいに広がる。
「美味い」
「ベリーソースも美味しいですよ」
「ハチミツとも合うな」
そんな感じでケーキを楽しんでおると、ホウリがビンゴマシーンを手に再び台に上がった。
「皆ケーキを取ったな?それじゃ、抽選を始める。幸運の数字は……」
ビンゴマシーンの取っ手をガラガラと回し、白い玉が出てくる。
皆が固唾を飲んで見守る中、ホウリは玉に書かれている数字を確認する。
「16番!」
「わしらは全員ハズレか」
「誰が当たったんでしょうか」
皆で店の中から当選者を探しておると、不意に手を上げる者がいた。
「あれは……ミエル?」
ミエルが上げている手には16番のピックがあった。
「お、ミエルか。じゃあ、台の上に立って願いを宣言してくれ」
ミエルは皆が見守る中で台の上に上る。
「私は……」
ミエルは一呼吸を置いた後、店に響き渡るほどの声で叫んだ。
「休みが欲しいいいいいいいいいいいいい!」
……それはそうか。ここ最近は休みも無く働いておるんじゃしな。
他の皆からも生暖かい視線がミエルに注がれる。
「私も忙しいと思ってたんですけど、ミエルさんも忙しいんですかね」
「ミエルは防衛戦に参加して毎日戦っておったしのう。帰ってきて防衛戦の後始末で忙しいみたいじゃしな」
「ミエルさんって騎士団長でしたよね。それは忙しいですよね」
悲痛な叫びにホウリも苦笑する。
「分かったよ。1週間ほど休みが取れるように調整しよう。休んでいる時に仕事が溜まらない様にしておくから、心ゆくまで休んでくれ」
「助かる」
本当に疲れ切った様子でミエルが頭を下げる。本当に疲れているのが分かる。これはミエルが幸運を掴んで良かったかもしれんのう。
その後もわしらはスイーツを楽しみまくったのじゃった。とりあえず、ノエルとどうやって仲直りをするかを考えるとするか。
「もう平気なのか?」
「ノエルのことが平気になった訳ではないが、何とか喋れるくらいには回復できた」
「普段を100としたとき、今はどのくらいだ?」
「3じゃな」
「瀕死じゃねぇか」
正直、今ノエルに強い言葉を言われたら心が持たん。思わず太陽に身を投げるじゃろう。
「こうやって話を出来るくらいには立ち直れたからのう」
「それは良かったです」
「そういえば、なんでラビがおるんじゃ?お主はオダリムの防衛戦には参加してないじゃろ?」
「ホウリさんがオダリムに行った際に、王都の犯罪率が上がったんです。その解決に私が奔走していたので、労いの意味を込めて呼んだらしいです」
「お主も大変なんじゃな」
「ラビってそんな成りなのに、優秀な検察官なんだな」
「どういう意味ですか?」
ヌカレが感心したように頷くが、ラビは気分を害したのか眉を顰める。
「言っておくが、ラビは見た目以上に優秀じゃ。それに強いぞ?」
「強い?」
「王都の中でわしを除いて2番目に強い。お主程度なら1秒も掛からずグシャグシャじゃ」
「……マジで?」
「ラビ」
わしはコインを10枚ほど投げる。ラビはコインを受取ると首を傾げた。
「なんですか?」
「それを思い切り握りつぶしてみい。腕輪は両方とも外してな」
「腕輪外して良いんですか?」
「うむ。全力でやるがよい」
「?、良く分かりませんが分かりました」
ラビは両手に嵌めている腕輪を外して、コインを思い切り握りつぶした。メキメキという音と共にコインを握りつぶすと、手を開いた。
そこには球状に圧着されたコインの姿があった。
「腕輪を元に戻して良いぞ」
「な、なんだこれは?」
顔を引きつらせながらコインの塊を摘まむ。
「……何をどうしたらこんなのが出来るんだよ」
「強い力で握っただけじゃよ。これがお主の頭蓋骨じゃったらどうなるかのう?」
「ラビさん、舐めた口を利いて大変申し訳ございませんでした」
ヌカレが凄まじい速度で土下座を繰り出す。ラビは急の土下座に驚いた表情になる。そして、わしの方へ困ったような顔を向けて来た。
「どうすれば良いんでしょうか?」
「頭でも踏めば良いのではないか?」
「良い訳ないだろ!?」
ヌカレが光の速さで立ち上がり、わしに詰め寄ってくる。相変わらず手のひら返しが激しい奴じゃな。
「なんで相手役を踏むように頼むんだよ!?」
「お主がノエルのことを告げ口したからじゃが?」
「まだ根に持っているのかよ」
「だいぶ許しておるぞ。許していないと今すぐにでも八つ裂きにしておるからな?」
「バレるのが嫌なら、普段の行いを改めろよ」
「正論か?暴力で対抗するぞ?」
「何かあると暴に訴えるのやめてくれ」
ヌカレは我儘じゃな。しょうがない、わしが大人の対応をしてやるか。
わしは渋々ながら拳を下ろす。
「それにしても、ラビとヌカレが一緒におるのは珍しいのう?知り合いじゃったのか?」
「初対面ですよ」
「お前を元に戻すために協力して貰いたくてな」
「わしに何かしたのか?」
「覚えてないなら別にいいだろ」
「そういうものかのう?」
これは聞いても話してくれそうにないのう。ならば、聞くのは諦めるか。
そういう話をしておると、店の奥の方でホウリが台を持っているのが見えた。
「ホウリ?」
「脚本家いたか?」
「どこです?」
わしがホウリの方を指さすと、2人もそこへ視線を向ける。ホウリは台を床に置くと、台の上に立つ。そこで、他の皆もホウリの存在に気が付き、賑やかさも徐々に収まっていく。
「何をする気じゃ?」
ホウリの事じゃし、スイーツパーティーに水を差すことはせんじゃろう。じゃが今まで姿を見せておらんかったのに、急に姿を出したのは気になる。何かを企んでいるのか?
ラビもそう思っているのか、ホウリの一挙手一投足を見逃さんと集中しておる。
「何か催し物でもするのか?」
ヌカレはあまり警戒しておらんのか、そんな呑気なことを呟く。よし、何かあればこやつを盾にするか。
店がある程度の静けさを取り戻すと、ホウリは笑顔で口を開いた。
「皆、このパーティーに良く来てくれた。ここの代金は俺が全て持つから、好きなだけ楽しんでくれ」
「脚本家のやつ太っ腹だな?」
「ホウリさんはスイーツに関しては太っ腹ですよ」
「じゃが、それだけを言うためだけにあんな所に立っておる訳ではあるまい?」
わしの予想通り、ホウリはそこから更に話を続けた。
「さて、ただスイーツを食うだけでも楽しいと思うが、ここで一つイベントを開催する」
「イベント?」
ホウリが手を叩くと、ティムが厨房から大きな皿を持って来て、長テーブルの上に置いた。皿の上には茶色いホールケーキが乗っており、いくつかのピースに別れておる。そして、それぞれのケーキには数字が振られているピックが刺さっておる。
「これはガレット・デ・ロワ。幸運を占うお菓子だ」
「幸運を占うお菓子?」
「どれか一切れにコインが入っていて、コイン入りのケーキを食った奴が幸運っていうお菓子だ」
「コインが入っているケーキを食ったら危なくないか?」
ヌカレの呟きが聞こえていたのか、ホウリも笑顔で頷く。
「確かにコイン入りのケーキを食べたら歯が欠けたりする可能性がある。だから、今回はコインじゃなくてピックで代用している」
「数字が入っている奴ですね」
「俺がビンゴマシーンで数字を選ぶ。その数字と同じピックのケーキを食った奴が幸運って訳だ」
「なるほど、それなら危なくないのう」
ホウリの事じゃから、何か突拍子もないことを企画しているのかと思ったわい。少し身構えすぎたのう。
肩の力を抜くと、ホウリは更に話を続けた。
「けど、ただ幸運を試すだけじゃ面白くないだろ?だから商品を用意した」
「む?まだ何かあるのか?」
ホウリはニヤリと笑うと、天井に指を突き上げて叫ぶ。
「ビンゴマシーンと同じピックを持っていた奴は、俺とフランで願い事を何でも叶えてやる!」
『ちょっと待たんかい!』
わしは思わずホウリに念話を飛ばす。
『なんだ?』
『わしは何も聞いておらんぞ!なんでわしまで巻き込む!?』
『別に良いじゃねぇか。大抵は俺の力でなんとかなるし、基本的にはフランの力を借りるつもりはない』
『じゃあわしの名前を出す必要はないじゃろ!?』
『保険だな。まあ、そこまで無茶なことをさせるつもりはないから安心してくれ』
『安心できるかい』
はぁ、この調子のホウリは言っても聞かん。ここは様子見するしかないかのう。
「万が一の時は、幸運の者の命を奪ってでも……」
「不穏なことを呟くな」
「海に沈める?いや、山で動物に食わせた方が良いか?」
「もう死体の処理の方法まで考えてます?」
そもそもわしが幸運をつかむ可能性だってある。他の者もそこまで無茶な要求はしてこんじゃろう。
「とりあえずケーキを取りますか?」
「そうじゃな」
「2人は何を願うつもりだ?」
「私は思いつかないですね。当たったら考えてみます」
「わしはノエルとの仲直りじゃ」
「フランさんはブレませんね」
そんなことを話しつつ、ケーキを取りわける。わしは5番、ラビは8番、ヌカレは10番じゃった。
「ガレット・デ・ロワは甘さを抑えて作ってある。甘みが足りないと思ったら用意しているハチミツやチョコレートソースを使ってくれ」
いつの間にかソースが入っているポットがガレット・デ・ロワ皿の傍に置かれておった。わしはケーキにチョコレートソースをたっぷりと掛ける。
「うわ、そんなに掛けるのかよ」
「スイーツは甘くてなんぼじゃろ」
「太るぞ?」
「今日のわしは無敵じゃからな。いくら食ってもノーダメージじゃ」
チョコレートソースたっぷりのケーキを口に入れる。濃厚なチョコレートの甘みが口いっぱいに広がる。
「美味い」
「ベリーソースも美味しいですよ」
「ハチミツとも合うな」
そんな感じでケーキを楽しんでおると、ホウリがビンゴマシーンを手に再び台に上がった。
「皆ケーキを取ったな?それじゃ、抽選を始める。幸運の数字は……」
ビンゴマシーンの取っ手をガラガラと回し、白い玉が出てくる。
皆が固唾を飲んで見守る中、ホウリは玉に書かれている数字を確認する。
「16番!」
「わしらは全員ハズレか」
「誰が当たったんでしょうか」
皆で店の中から当選者を探しておると、不意に手を上げる者がいた。
「あれは……ミエル?」
ミエルが上げている手には16番のピックがあった。
「お、ミエルか。じゃあ、台の上に立って願いを宣言してくれ」
ミエルは皆が見守る中で台の上に上る。
「私は……」
ミエルは一呼吸を置いた後、店に響き渡るほどの声で叫んだ。
「休みが欲しいいいいいいいいいいいいい!」
……それはそうか。ここ最近は休みも無く働いておるんじゃしな。
他の皆からも生暖かい視線がミエルに注がれる。
「私も忙しいと思ってたんですけど、ミエルさんも忙しいんですかね」
「ミエルは防衛戦に参加して毎日戦っておったしのう。帰ってきて防衛戦の後始末で忙しいみたいじゃしな」
「ミエルさんって騎士団長でしたよね。それは忙しいですよね」
悲痛な叫びにホウリも苦笑する。
「分かったよ。1週間ほど休みが取れるように調整しよう。休んでいる時に仕事が溜まらない様にしておくから、心ゆくまで休んでくれ」
「助かる」
本当に疲れ切った様子でミエルが頭を下げる。本当に疲れているのが分かる。これはミエルが幸運を掴んで良かったかもしれんのう。
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