153 / 472
外伝 来年の事を言うと鬼が笑う
しおりを挟む
※今回は倫太郎が去った後の話になります。
大晦日の11時、俺達5人はリビングでトランプをしていた。種目は大富豪、大貧民とも呼ばれているゲームだ。
簡単に言えば手札から強いカードを出していって手札が先に無くなった奴が勝ちだ。地域によって色々とローカルルールがあるみたいだが、長くなるのでそこは割愛する。
今は俺とフランが残っている状況だ。
「はっはっは!2を2枚じゃ!これでわしの勝ちじゃ!」
「はいジョーカー」
「な!?」
勝ち誇ったようにカードを出したフランにジョーカーで対抗する。
俺はそのまま残りのカードを出して上がる。
「わあああ、わしの負けかあああ」
「中々良い勝負だったな」
「お主、イカサマしておらぬか?」
「こんな所でイカサマなんてする訳ないだろ」
「……嘘はついておらぬみたいじゃな」
スキルまで使って嘘を見破って来るのか。どんだけ負けを認めたくないんだ。
「あと数分か」
ミエルが壁に掛かっている時計を見て呟く。後数分で年が明けるのか。なんだか感慨深いな。
「今年も色々とありましたね」
「ここにいる全員にとって転機になった年だったな」
「俺はこの世界に来て、フランは俺と共に旅を始め、ノエルはサンドから解放され、ロワは神級スキルを手に入れて、ミエルはロワに出会った」
「これが1年以内に起きたのか。濃いな」
「忙しかったよね」
「危ない橋も何回も渡ったな」
「サンドに追われていた時は生きた心地がしませんでしたよ」
ロワが話しながら体を震わせる。思い出して怖くなったんだろう。確かに結構危ない状況ではあったな。
「じゃが、なんとかなったんじゃし別に良いじゃろ」
「そういう問題じゃないんですよ」
「あんな目は二度と御免だ」
「後悔してるか?」
「してませんけど……」
「ノエルの事を考えると公開はしていない。だが、国から追われるのはもう御免だ」
「……今年も似たような事があるけどな」(ボソッ)
「ホウリさん、何か言いましたか?」
「何でも無い。でもよ、あの経験があったおかげで強くなれただろ?」
「そうですけど……」
ノエルを守るという口実の下、特訓をかなり厳しくしていた。何回か死ぬ思いもさせたと思うから申し訳なく思っている。
まあ、来年も同じような事になるんだがな。
「フランは今年の出来事で何か心に残っている事はあるか?」
「そんなの決まっておろう。ノエルに会えた事じゃ」
「俺と会った事じゃないのかよ」
「あー、それもあるぞ?」
「明らかに忘れてただろ?」
「そんなこと無い……多分」
「もっと自信を持ってくれ」
フランのノエル好きには困ったものだ。いつか痛い目に会いそうだな。
「ノエルは今年一年で心に残った出来事はあるか?わしと出会った事か?」
「勿論、ホウリお兄ちゃんとフランお姉ちゃんに会った事だよ!」
「わしと同じじゃな」
「えへへ」
フランが満面な笑みのノエルを抱きしめる。本当の姉妹のように仲が良いな。
「そう言えば、ノエルちゃんはゴールドウルフに襲われていた所をお二人に助けられたんですよね?」
「そうだな。フランがノエルを庇って、俺がゴールドウルフを仕留めた」
「へー、この世界に来たばかりだって聞きましたけど、どうやって倒したんですか?」
「泉に叩き落してMPを枯らした後に爆弾を投げまくって倒した」
「貴様らしい姑息な戦い方だ」
「誉め言葉として受け取っておこう」
その後はノエルを連れてグランガンに行ってロワと知り合ったんだったな。
「そう言えば、なんで僕に声をかけてくれたんですか?」
「別にロワだけ目を付けてた訳じゃない。目を付けてた奴らで一番有望だったのがロワだっただけだ」
「それは嬉しいですね」
「調子に乗る癖さえ無ければな~」
「き、気を付けます」
ユミリンピックでロワの伸びしろを見た俺はロワを仲間にした。
その後、とある村に優秀な騎士がいると聞いた俺は向かってみることにした。
「それがミエルだった訳だ」
「いきなり家に入り込んできて仲間になれと言われた時の私の気持ちが分かるか?」
「その後に戦って、だまし討ちのような形で負けたしのう」
「あれしか勝つ手段は無かったからな」
「だが悪いとは思っていないだろう?」
「まあな」
「お主な……」
その後に発明品を回収し、王都でノエルを救うための準備を進める事になった。
「本当に厳しい戦いだったな」
「そうか?結構余裕そうに見えたが?」
「瞬殺の試合もあったしな」
「苦戦=敗北のパターンが多いからな。余裕をもって倒す事がマストなんだよ。対戦相手全員と戦う事を想定して、持ち物を全部身に着けて戦うんだぞ?大変じゃない訳ないだろ?」
「そう考えると良く勝てましたね?」
「裁判も含めて危ない橋を渡りまくってたな」
優勝後は裁判の準備をして確実にサンドを追い詰めた。だが、想定外の事が起こってしまった。
「ホウリさんが死んだ時は本当にびっくりしましたよ」
「あれは本当に想定外だった。皆がいなければ本当に危なかった」
「役に立てて良かったよー」
まさか親父に会うとは思わなかったが、結果オーライだったな。
「今年も色々とありましたね」
「むしろ、色々とあり過ぎただろう。こんなに濃い一年は早々に無いぞ?」
「それはどうかのう?そう言えば、お主らは来年の目標はあるか?」
「僕はもっと強くなりたいです」
「お主はいつもそれじゃな。なぜそこまで強さにこだわる?」
フランの質問にロワは頭を掻く。
「大した理由ではないですよ。父さんを超えたい、それだけです」
「今のままではダメなのか?ロワはかなり強くなったと思うが?」
「まだ父さんにはかなわないでしょうね」
「ロワお兄ちゃんのお父さんってそんなに強いの?」
「一人でデーモンを倒せるくらいには強いみたいです」
「強力なスキルでも持っているのか?」
「いえ、スキルを使わずに倒したみたいです」
「眉唾だな」
ロワの話を聞いた皆の視線が俺に向く。デーモンは最低でもA級のパーティを10組は用意しないといけない程に強い。それを一人で倒したと聞いたら疑うのも無理はないだろう。
「俺が調べた限りだと事実だ。ロワの父親は弓と矢だけでデーモンを倒している」
「ロワの父親は化け物か?」
「それに近いな。スキルが強いだけの奴はなんとでもなるが、技術や判断力が強い奴はかなり厄介だ」
ロワがあこがれるのも無理はない。それほどにロワの父親は弓使いとして一流だ。
「ロワの目標は当分変わらなそうじゃな」
「そうだな」
「悔しいですがおっしゃる通りです。それで、ノエルちゃんの抱負は何かな?」
「ノエルの抱負?うーんと……」
ノエルがストローを咥えながら考え込む。
ノエルは何か目標を持って生きていた訳じゃなく、サンドに追われながら必死に生きてた。一年が終わる時に抱負を考えるのはいい機会かもしれない。
「抱負ってどうやって考えたらいいの?」
「自分が今年に頑張れなかった事を目標にするのが普通じゃな」
「何か頑張りたいと思った事でも良いぞ。そう言った事は無いのか?」
「そうだなぁ……」
皆の言葉を聞いたノエルが首を傾げる。急に決めるのは難しかったか?
唸っていたノエルだったが、急に立ち上がると手を叩いた。
「そうだ!ノエルも抱負あったよ!」
「なんじゃ?」
「ノエルも強くなる!」
「ほう?以外な抱負だな?」
「具体的な目標はあるのか?」
「うん!」
ノエルは満面の笑みで口を開いた。
「フランお姉ちゃんを倒せる位には強くなりたい!」
理由を聞いて俺は納得する。なるほど、そう言う事ならある意味ノエルらしいとも言えるのか。
「……は?」
ノエルの言葉にフランが固まる。溺愛していた妹分に倒す宣言されたんだ。かなりショックだろうよ。
フランは顔を引きつらせながらノエルの方へ顔を向ける。その動きは油が切れたロボットみたいにぎこちない。
「あ、あれじゃな?あくまで目標じゃよな?壁は大きい方が越えがいがあるしな?」
「違うよ?いつかフランお姉ちゃんを倒す事がノエルの目標なんだ」
「……ホウリぃ」
今まで聞いたことが無いような弱々しい声ですり寄って来る。
「わしはノエルに何かしたか?ノエルはわしの事嫌いなのか?写真を撮りまくっていたのが嫌じゃったのか?」
「そんなに気になるんなら本人に聞けよ」
「無理じゃ、ノエルの口から嫌いと言われたらもう立ち直れん……」
「そうか。ちなみに、フランの抱負は?」
「ノエルに嫌われんようにする事じゃ」
「だろうな」
頭を抱えながら顔を青くするフラン。この世の終わりみたいな顔してやがるな。まあ、どうせ時間が解決するだろうからほっとくか。
「ミエルは来年の抱負はあるか?」
「やはり家事をもっと上手くなりたい。特に料理はもっと上達したいな」
「その向上心が美徳だが、ミエルの場合は失敗した時の被害がでかすぎる。俺がいない時には絶対に料理はするなよ?」
「思ったのだが、そろそろサラダ位は一人で料理しても良いのではないか?」
「絶対にダメだ。破ったら紙の内容を公開するからな?」
「……分かった」
不満そうではあるが、素直に頷くミエル。
ミエルの料理の腕は確かに上達はしてきたが、それでもまだ危険だ。サラダみたいな簡単な料理でも一人で作らせる訳にはいかない。
「そう言うホウリは何か抱負はあるのか?」
「俺か?俺の抱負は年がら年中同じだ。『出来る事を一つずつやっていく』」
「お主らしいのう」
「近道しようとすると痛い目にあうからな。確実に出来る事をやっていくのが一番の近道だ」
「そうですね、僕も出来ることを確実にやっていきたいです」
「出来る事を増やしていく事も重要だからな?」
「はい、来年もご指導お願いします」
ロワが俺に向かって頭を下げる。ロワにも強くなって貰わないとな。
俺がそこまで話した瞬間、壁に掛かった時計が鳴り響く。新年を告げる合図だ。
「あけましておめでとうございまーす」
「あけましておめでとう」
「おめでとうございます」
「おめでとうじゃ」
「おめでとさん」
皆と新年のあいさつを交わす。今年もいい年になると良いが、順風満帆とはいかないだろう。だが、俺達は進み続ける。どんな困難が待っていようともな!
「良い事言ってる風じゃが、困難を持ってくるのはお主じゃよな?」
「それは言わないお約束だ」
大晦日の11時、俺達5人はリビングでトランプをしていた。種目は大富豪、大貧民とも呼ばれているゲームだ。
簡単に言えば手札から強いカードを出していって手札が先に無くなった奴が勝ちだ。地域によって色々とローカルルールがあるみたいだが、長くなるのでそこは割愛する。
今は俺とフランが残っている状況だ。
「はっはっは!2を2枚じゃ!これでわしの勝ちじゃ!」
「はいジョーカー」
「な!?」
勝ち誇ったようにカードを出したフランにジョーカーで対抗する。
俺はそのまま残りのカードを出して上がる。
「わあああ、わしの負けかあああ」
「中々良い勝負だったな」
「お主、イカサマしておらぬか?」
「こんな所でイカサマなんてする訳ないだろ」
「……嘘はついておらぬみたいじゃな」
スキルまで使って嘘を見破って来るのか。どんだけ負けを認めたくないんだ。
「あと数分か」
ミエルが壁に掛かっている時計を見て呟く。後数分で年が明けるのか。なんだか感慨深いな。
「今年も色々とありましたね」
「ここにいる全員にとって転機になった年だったな」
「俺はこの世界に来て、フランは俺と共に旅を始め、ノエルはサンドから解放され、ロワは神級スキルを手に入れて、ミエルはロワに出会った」
「これが1年以内に起きたのか。濃いな」
「忙しかったよね」
「危ない橋も何回も渡ったな」
「サンドに追われていた時は生きた心地がしませんでしたよ」
ロワが話しながら体を震わせる。思い出して怖くなったんだろう。確かに結構危ない状況ではあったな。
「じゃが、なんとかなったんじゃし別に良いじゃろ」
「そういう問題じゃないんですよ」
「あんな目は二度と御免だ」
「後悔してるか?」
「してませんけど……」
「ノエルの事を考えると公開はしていない。だが、国から追われるのはもう御免だ」
「……今年も似たような事があるけどな」(ボソッ)
「ホウリさん、何か言いましたか?」
「何でも無い。でもよ、あの経験があったおかげで強くなれただろ?」
「そうですけど……」
ノエルを守るという口実の下、特訓をかなり厳しくしていた。何回か死ぬ思いもさせたと思うから申し訳なく思っている。
まあ、来年も同じような事になるんだがな。
「フランは今年の出来事で何か心に残っている事はあるか?」
「そんなの決まっておろう。ノエルに会えた事じゃ」
「俺と会った事じゃないのかよ」
「あー、それもあるぞ?」
「明らかに忘れてただろ?」
「そんなこと無い……多分」
「もっと自信を持ってくれ」
フランのノエル好きには困ったものだ。いつか痛い目に会いそうだな。
「ノエルは今年一年で心に残った出来事はあるか?わしと出会った事か?」
「勿論、ホウリお兄ちゃんとフランお姉ちゃんに会った事だよ!」
「わしと同じじゃな」
「えへへ」
フランが満面な笑みのノエルを抱きしめる。本当の姉妹のように仲が良いな。
「そう言えば、ノエルちゃんはゴールドウルフに襲われていた所をお二人に助けられたんですよね?」
「そうだな。フランがノエルを庇って、俺がゴールドウルフを仕留めた」
「へー、この世界に来たばかりだって聞きましたけど、どうやって倒したんですか?」
「泉に叩き落してMPを枯らした後に爆弾を投げまくって倒した」
「貴様らしい姑息な戦い方だ」
「誉め言葉として受け取っておこう」
その後はノエルを連れてグランガンに行ってロワと知り合ったんだったな。
「そう言えば、なんで僕に声をかけてくれたんですか?」
「別にロワだけ目を付けてた訳じゃない。目を付けてた奴らで一番有望だったのがロワだっただけだ」
「それは嬉しいですね」
「調子に乗る癖さえ無ければな~」
「き、気を付けます」
ユミリンピックでロワの伸びしろを見た俺はロワを仲間にした。
その後、とある村に優秀な騎士がいると聞いた俺は向かってみることにした。
「それがミエルだった訳だ」
「いきなり家に入り込んできて仲間になれと言われた時の私の気持ちが分かるか?」
「その後に戦って、だまし討ちのような形で負けたしのう」
「あれしか勝つ手段は無かったからな」
「だが悪いとは思っていないだろう?」
「まあな」
「お主な……」
その後に発明品を回収し、王都でノエルを救うための準備を進める事になった。
「本当に厳しい戦いだったな」
「そうか?結構余裕そうに見えたが?」
「瞬殺の試合もあったしな」
「苦戦=敗北のパターンが多いからな。余裕をもって倒す事がマストなんだよ。対戦相手全員と戦う事を想定して、持ち物を全部身に着けて戦うんだぞ?大変じゃない訳ないだろ?」
「そう考えると良く勝てましたね?」
「裁判も含めて危ない橋を渡りまくってたな」
優勝後は裁判の準備をして確実にサンドを追い詰めた。だが、想定外の事が起こってしまった。
「ホウリさんが死んだ時は本当にびっくりしましたよ」
「あれは本当に想定外だった。皆がいなければ本当に危なかった」
「役に立てて良かったよー」
まさか親父に会うとは思わなかったが、結果オーライだったな。
「今年も色々とありましたね」
「むしろ、色々とあり過ぎただろう。こんなに濃い一年は早々に無いぞ?」
「それはどうかのう?そう言えば、お主らは来年の目標はあるか?」
「僕はもっと強くなりたいです」
「お主はいつもそれじゃな。なぜそこまで強さにこだわる?」
フランの質問にロワは頭を掻く。
「大した理由ではないですよ。父さんを超えたい、それだけです」
「今のままではダメなのか?ロワはかなり強くなったと思うが?」
「まだ父さんにはかなわないでしょうね」
「ロワお兄ちゃんのお父さんってそんなに強いの?」
「一人でデーモンを倒せるくらいには強いみたいです」
「強力なスキルでも持っているのか?」
「いえ、スキルを使わずに倒したみたいです」
「眉唾だな」
ロワの話を聞いた皆の視線が俺に向く。デーモンは最低でもA級のパーティを10組は用意しないといけない程に強い。それを一人で倒したと聞いたら疑うのも無理はないだろう。
「俺が調べた限りだと事実だ。ロワの父親は弓と矢だけでデーモンを倒している」
「ロワの父親は化け物か?」
「それに近いな。スキルが強いだけの奴はなんとでもなるが、技術や判断力が強い奴はかなり厄介だ」
ロワがあこがれるのも無理はない。それほどにロワの父親は弓使いとして一流だ。
「ロワの目標は当分変わらなそうじゃな」
「そうだな」
「悔しいですがおっしゃる通りです。それで、ノエルちゃんの抱負は何かな?」
「ノエルの抱負?うーんと……」
ノエルがストローを咥えながら考え込む。
ノエルは何か目標を持って生きていた訳じゃなく、サンドに追われながら必死に生きてた。一年が終わる時に抱負を考えるのはいい機会かもしれない。
「抱負ってどうやって考えたらいいの?」
「自分が今年に頑張れなかった事を目標にするのが普通じゃな」
「何か頑張りたいと思った事でも良いぞ。そう言った事は無いのか?」
「そうだなぁ……」
皆の言葉を聞いたノエルが首を傾げる。急に決めるのは難しかったか?
唸っていたノエルだったが、急に立ち上がると手を叩いた。
「そうだ!ノエルも抱負あったよ!」
「なんじゃ?」
「ノエルも強くなる!」
「ほう?以外な抱負だな?」
「具体的な目標はあるのか?」
「うん!」
ノエルは満面の笑みで口を開いた。
「フランお姉ちゃんを倒せる位には強くなりたい!」
理由を聞いて俺は納得する。なるほど、そう言う事ならある意味ノエルらしいとも言えるのか。
「……は?」
ノエルの言葉にフランが固まる。溺愛していた妹分に倒す宣言されたんだ。かなりショックだろうよ。
フランは顔を引きつらせながらノエルの方へ顔を向ける。その動きは油が切れたロボットみたいにぎこちない。
「あ、あれじゃな?あくまで目標じゃよな?壁は大きい方が越えがいがあるしな?」
「違うよ?いつかフランお姉ちゃんを倒す事がノエルの目標なんだ」
「……ホウリぃ」
今まで聞いたことが無いような弱々しい声ですり寄って来る。
「わしはノエルに何かしたか?ノエルはわしの事嫌いなのか?写真を撮りまくっていたのが嫌じゃったのか?」
「そんなに気になるんなら本人に聞けよ」
「無理じゃ、ノエルの口から嫌いと言われたらもう立ち直れん……」
「そうか。ちなみに、フランの抱負は?」
「ノエルに嫌われんようにする事じゃ」
「だろうな」
頭を抱えながら顔を青くするフラン。この世の終わりみたいな顔してやがるな。まあ、どうせ時間が解決するだろうからほっとくか。
「ミエルは来年の抱負はあるか?」
「やはり家事をもっと上手くなりたい。特に料理はもっと上達したいな」
「その向上心が美徳だが、ミエルの場合は失敗した時の被害がでかすぎる。俺がいない時には絶対に料理はするなよ?」
「思ったのだが、そろそろサラダ位は一人で料理しても良いのではないか?」
「絶対にダメだ。破ったら紙の内容を公開するからな?」
「……分かった」
不満そうではあるが、素直に頷くミエル。
ミエルの料理の腕は確かに上達はしてきたが、それでもまだ危険だ。サラダみたいな簡単な料理でも一人で作らせる訳にはいかない。
「そう言うホウリは何か抱負はあるのか?」
「俺か?俺の抱負は年がら年中同じだ。『出来る事を一つずつやっていく』」
「お主らしいのう」
「近道しようとすると痛い目にあうからな。確実に出来る事をやっていくのが一番の近道だ」
「そうですね、僕も出来ることを確実にやっていきたいです」
「出来る事を増やしていく事も重要だからな?」
「はい、来年もご指導お願いします」
ロワが俺に向かって頭を下げる。ロワにも強くなって貰わないとな。
俺がそこまで話した瞬間、壁に掛かった時計が鳴り響く。新年を告げる合図だ。
「あけましておめでとうございまーす」
「あけましておめでとう」
「おめでとうございます」
「おめでとうじゃ」
「おめでとさん」
皆と新年のあいさつを交わす。今年もいい年になると良いが、順風満帆とはいかないだろう。だが、俺達は進み続ける。どんな困難が待っていようともな!
「良い事言ってる風じゃが、困難を持ってくるのはお主じゃよな?」
「それは言わないお約束だ」
0
あなたにおすすめの小説
~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~
めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。
しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。
そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。
その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。
(スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)
神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~
あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。
それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。
彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。
シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。
それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。
すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。
〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟
そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。
同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。
※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。
本条蒼依
ファンタジー
山本優(やまもとまさる)45歳はブラック企業に勤め、
残業、休日出勤は当たり前で、連続出勤30日目にして
遂に過労死をしてしまい、女神に異世界転移をはたす。
そして、あまりな強大な力を得て、貴族達にその身柄を
拘束させられ、地球のように束縛をされそうになり、
町から逃げ出すところから始まる。
不死身のボッカ
暁丸
ファンタジー
逓信(ていしん)ギルドに所属する甲殻人ボッカ。歩荷(ぼっか=運搬人)だからボッカと素性を隠す特急便の運搬人。
小柄な身体に見合わぬ怪力、疾風のスピードと疲れ知らずのスタミナで、野を越え山越え荷物を運ぶ。
逓信ギルドの運搬人になったのは、危険な迷宮には入りたく無いから。面倒と危険を避けてすんなり仕事を終わらせたいのに、時にギルド支部長に命じられ行きたくも無い魔獣狩りの運搬人として駆り出される。
割とチートな身体能力を持ちながら、戦闘能力はからっきしで過剰な期待はされたく無い。こんな殺伐とした異世界生活なんかとっとと終わらせて眠るように死にたいと願う、そんな<不死身の歩荷>のお話。
※種族名とか用語は前作と共通にしてますが、別の世界の物語です。世界観も若干違います。
※「歩荷」とは一般的にいう「ポーター」のことですが、長距離運送も兼任しています。
※作者が設定厨なので、時々本筋に関係ない解説回が入ります。
※第16回ファンタジー小説大賞にエントリーしてみました。
DIYと異世界建築生活〜ギャル娘たちとパパの腰袋チート
みーくん
ファンタジー
気づいたら異世界に飛ばされていた、おっさん大工。
唯一の武器は、腰につけた工具袋——
…って、これ中身無限!?釘も木材もコンクリも出てくるんだけど!?
戸惑いながらも、拾った(?)ギャル魔法少女や謎の娘たちと家づくりを始めたおっさん。
土木工事からリゾート開発、果てはダンジョン探索まで!?
「異世界に家がないなら、建てればいいじゃない」
今日もおっさんはハンマー片手に、愛とユーモアと魔法で暮らしをDIY!
建築×育児×チート×ギャル
“腰袋チート”で異世界を住みよく変える、大人の冒険がここに始まる!
腰活(こしかつっ!)よろしくお願いします
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる