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第二百八十九話 できるかなじゃねえんだよ、やるんだよ
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壁から降りて数時間、僕は必死に中央の時計台に向かって走っていた。街中でワープアローを使うのは危ないし、移動の大半は走る事になった。
「ぜぇ……はぁ……」
走り込みは毎日やっているけど、こんなに長距離のダッシュは初めてだ。こんんあ
状態で狙撃なんてできるだろうか?
スタミナが尽きてきて、ネガティブな考えが頭をよぎる。いや、今はそんなことを考えている場合じゃない。急いで時計台に向かわないと。
疲れている体を無理やり動かして、時計台まで急ぐ。街の角を曲がると時計台の全体が見えて来た。
ホールケーキのような円形の建物に、蝋燭のように細長い時計台が突き刺さっている。あれって何かの施設に時計台がついている感じなのかな?
当の時計台は展望台的なものは見当たらない。狙撃するなら屋上に上らないとだけど、三角屋根で斜面になっているから気を付けないと落ちそうだ。
そんなことを考えつつ、ワープアローと弓を取り出す。
時間も迫っているし、疲れもピークだ。あんな高い建物なんて普通に登っていられない。ワープアローで頂点まで一気にワープしよう。
「え?あの人、弓持ってない?」
「時計台を狙ってるよな?犯罪者か?」
「誰か憲兵呼んで来いよ」
あれ?なんだか周りが騒がしいような?そういえば、この街って武装禁止なんだっけ。ひょっとして僕って不審者に見られている?
これは普通に登った方がいいかな?でも、時間が無いしこのままゴリ押ししよう。何かあったら……ホウリさんに何とかしてもらおうっと。
時計台の屋上に狙いを付けて、ワープアローを放つ。ワープアローは真っすぐと屋上の壁面に突き刺さり、僕は屋上の壁面へとワープする。
『おおおおおお!』
下から住民の歓声が上がる。けど、そんな事を気にしている余裕はない。屋上までよじ登って、矢筒を置く。
この屋上の面積は10m×10mくらい。けど、ちょっと斜面になっているから床に矢を置くことは出来ない。背負っている矢筒から矢を取り出さないといけない。隙を見て矢筒に矢を補充しないと、大事な時に矢が使えなくなる。
「持っている矢は100本くらい。全部使い切ることにならなければ良いけど」
オダリムの街の全体が広がっている。街を囲んでいる壁まで見える。
「絶景かな、絶景かな。ってそんなこと言ってる場合じゃない」
壁の上には弓使いや魔法使いの人が何百人も乗っているのが見えた。あちらも準備が出来ているみたいだ。
「ガーゴイルはまだ来ていないみたい。間に合った~」
胸をなでおろしながら、弓を構えてガーゴイルの襲撃に備える。ガーゴイルはすぐ目と鼻の先まで来ている。
「そろそろかな」
僕はあくまで補佐。打ち漏らしを仕留める事を徹底しよう。
弓を握りしめながら、呼吸を整える。大丈夫、きっと上手くいく。
(ボーン、ボーン、ボーン)
固唾を飲んで見守っていると、時計塔が15時を知らせる鐘を鳴らす。それと同時に壁の上の人達は一斉に武器を構え、矢や魔法を一斉に放った。
「始まった」
矢を取り出して、目を皿のようにしてガーゴイルが街の中に入っていないか監視する。
矢や魔法が雨のようにガーゴイル達に降り注ぎ、光の粒に変えていく。
「なるほど、いきなり全員で攻撃するんじゃなくて、攻撃する人と待機する人に別れているんだ」
攻撃した人は後ろに下がって補給して待機。補給している間は待機していた人が攻撃。これを繰り返すことで断続的に攻撃できるんだ。流石はホウリさんだ。
「あれ?兵法書に基礎として書かれてたっけ?ま、いっか」
そんな事を考えていると光の粒になっていくガーゴイルの中で、1匹が討伐隊の上を超えて街の中に入って来た。
『ガシャアアア!』
「まずは一匹」
矢を放ち、下降しようとしたガーゴイルの頭を射抜く。
「弾幕は濃いけど、撃ち漏らしも結構あるみたいだね」
ホウリさんはこれを見越していたんだろう。これなら防衛も何とかなりそうだ。
「問題はこれがいつまで続くかかな」
すごい勢いで倒していっているとはいえ、ガーゴイルの群はまだまだいる。1時間そこらで終わるとは思えない。
「とはいえ、そんなにかからないでしょ」
微笑みつつ。街の中に入ってくるガーゴイルを立て続けに射抜く。今日はゆっくりご飯食べられるかな?
☆ ☆ ☆ ☆
「た、ただいま戻りました……」
「あれ?ロワ君?昨日よりも遅いお帰りだね?」
宿に戻るとディーヌさんが驚きの表情で出迎えてくれた。
僕は返事もせずに人気のない食堂に入り、机に突っ伏す。
「ロワ君?大丈夫?」
「……ぐー」
「ロワ君!?」
「はっ!?」
ディーヌさんの声で意識が覚醒する。
「あれ?僕寝てました?」
「うん。昨日よりもお疲れだね?」
「そうですね。今って何時ですか?」
「えーっと、午前2時だね。もしかして、さっき終わったの?」
「ええ」
ありのままさっき起こった事を話すと、30分早く帰れると思ったら、2時間遅く帰ってきていた。何を言ってるか分からないと思うけど、僕も理解したくない。
「何があったの?」
「ガーゴイルの襲撃が思った以上に長引きました」
まさか、あんなにガーゴイルがいるとは思わなかった。終盤には討伐隊の勢いも弱くなっていて、撃ち漏らしの数も増えていったし、本当に大変だった。
「大丈夫?ご飯食べられる?」
「なんとかいけそうです。手軽に食べられるものは何かありませんか?」
「ボロネーゼとかはどう?」
「じゃあそれで」
「了解。すぐに持ってくるからね」
そう言ってディーヌさんは厨房へと戻っていった。
ああ、ダメだ。眠気が酷い。昨日以上に疲れているし、話し相手のミエルさんもいない。そういえば、ミエルさんはどうしているだろうか。
今日は持ち場が違うから、銭湯で別れた後は会っていない。ミエルさんは騎士だから、ガーゴイルの討伐はしなかっただろうし、予定通りに帰ってきたのだろうか。
「ミ……エル……さん」
そんなことを考えつつ、僕は軽く目を閉じる。
「ロワ君?寝ちゃった?」
「ふぇあ!?」
ディーヌさんから声を掛けられ、再び意識が覚醒する。
「本当に大丈夫?ご飯食べられそう?」
ディーヌさんが心配そうにボロネーゼをテーブルに置く。
「あれ?ボロネーゼって作り置きしてたんですか?」
「え?普通に作ってきたよ?30分はかかったと思うけど?」
僕の質問にディーヌさんが不思議そうに答える。
まだ1分も経っていないし、パスタがそんなに短時間で出来るとも思えない。でも、ボロネーゼからには湯気が立っているし作りたてに見える。これって……
「気付かない内にまた寝てた?」
「本当にお疲れなんだね。ご飯は明日にする?」
「いえ、少しだけ体力が戻ったのでいただきます」
フォークを手に取って、ボロネーゼを巻きつける。
「そういえば、ミエルさんは帰ってきてますか?」
「うん。大体3時間くらい前に帰ってきてたよ」
「どういう様子でした?」
「ロワ君ほどじゃないけど、お疲れって感じだったかな」
「そうでしたか」
ミエルさんは予定通りに終わったみたいだ。とりあえずは一安心。
「何か言ってましたか?」
「ロワ君が来るまで起きて居たいけど、明日に差し支えるから寝るんだって」
「ちょっと寂しいですけど、仕方ないですね」
僕もミエルさんとお話したかったけど、そういうことなら仕方ない。一応仕事中だし公私混同しないのは大事だ。
「ホウリさんは?」
「今日は来てないね?忙しいのかも?」
ディーヌさんとそんな事を話していると、宿の扉が開いてホウリさんが入って来た。
「よう、お疲れさん」
「タイミング良いですね?」
「ガーゴイル討伐完了の時間の知らせは受けているからな。ロワが宿に帰ってくる時間は計算できる」
「流石ですね」
「元気ないな。無理もないが」
ホウリさんが僕の対面に座る。すると、ディーヌさんがホウリさんの前にメニューを置いた。
「お疲れ様。何か食べる?」
「いつものパンケーキ」
「分かった。ちょっと待っててね」
ディーヌさんが笑顔で厨房に戻る。すると、ホウリさんが矢の束をテーブルの上に置いた。
「これは?」
「スピニングアローだよ。欲しがってただろ?」
「スピニングアロー!?」
持っていたフォークを放り出して、スピニングアローをつかみ取る。
「やっほーい!」
「一気に目が覚めたか?」
「はい!今ならガーゴイル1000体くらいは倒せそうです!」
「無理するな」
そう言って、今度は小さな小瓶がテーブルの上に置かれた。
「これは?」
「俺特性の栄養ドリンクだ。これ飲んで寝れば疲れが吹っ飛ぶぞ」
「ありがとうございます」
小瓶の蓋を開けて口を付ける。これがあるんだったら、昨日くれれば良かったのに。
そんな事を思いながら小瓶の中の液体を口に含む。瞬間、口の中に強烈なえぐみと不快な甘みが広がった。
「んぐっ!」
思わず吐き出しそうになるのを必死にこらえて、胃に流し込む。
「な、なんですかこれ……」
「栄養ドリンクだって言っただろ?味以外は保証してやる」
「ホウリさんなら味もなんとか出来ないんですか?」
「出来ない」
ホウリさんがキッパリと言い切る。そこまで言われると、もう何も言えなくなる。
「ほら、これで口直ししろ」
「ありがとうございます」
リンの実の瓶ジュースを受け取り、口に残ったえぐみを流す。
「はぁ、なんだか目が覚めちゃいましたよ」
「そうか。なら、これから戦いに行くか?」
「それは勘弁してください」
そんな感じで2日目の戦いは終わった。
ちなみに、ベッドに入ったら一瞬で眠りにつけた。
「ぜぇ……はぁ……」
走り込みは毎日やっているけど、こんなに長距離のダッシュは初めてだ。こんんあ
状態で狙撃なんてできるだろうか?
スタミナが尽きてきて、ネガティブな考えが頭をよぎる。いや、今はそんなことを考えている場合じゃない。急いで時計台に向かわないと。
疲れている体を無理やり動かして、時計台まで急ぐ。街の角を曲がると時計台の全体が見えて来た。
ホールケーキのような円形の建物に、蝋燭のように細長い時計台が突き刺さっている。あれって何かの施設に時計台がついている感じなのかな?
当の時計台は展望台的なものは見当たらない。狙撃するなら屋上に上らないとだけど、三角屋根で斜面になっているから気を付けないと落ちそうだ。
そんなことを考えつつ、ワープアローと弓を取り出す。
時間も迫っているし、疲れもピークだ。あんな高い建物なんて普通に登っていられない。ワープアローで頂点まで一気にワープしよう。
「え?あの人、弓持ってない?」
「時計台を狙ってるよな?犯罪者か?」
「誰か憲兵呼んで来いよ」
あれ?なんだか周りが騒がしいような?そういえば、この街って武装禁止なんだっけ。ひょっとして僕って不審者に見られている?
これは普通に登った方がいいかな?でも、時間が無いしこのままゴリ押ししよう。何かあったら……ホウリさんに何とかしてもらおうっと。
時計台の屋上に狙いを付けて、ワープアローを放つ。ワープアローは真っすぐと屋上の壁面に突き刺さり、僕は屋上の壁面へとワープする。
『おおおおおお!』
下から住民の歓声が上がる。けど、そんな事を気にしている余裕はない。屋上までよじ登って、矢筒を置く。
この屋上の面積は10m×10mくらい。けど、ちょっと斜面になっているから床に矢を置くことは出来ない。背負っている矢筒から矢を取り出さないといけない。隙を見て矢筒に矢を補充しないと、大事な時に矢が使えなくなる。
「持っている矢は100本くらい。全部使い切ることにならなければ良いけど」
オダリムの街の全体が広がっている。街を囲んでいる壁まで見える。
「絶景かな、絶景かな。ってそんなこと言ってる場合じゃない」
壁の上には弓使いや魔法使いの人が何百人も乗っているのが見えた。あちらも準備が出来ているみたいだ。
「ガーゴイルはまだ来ていないみたい。間に合った~」
胸をなでおろしながら、弓を構えてガーゴイルの襲撃に備える。ガーゴイルはすぐ目と鼻の先まで来ている。
「そろそろかな」
僕はあくまで補佐。打ち漏らしを仕留める事を徹底しよう。
弓を握りしめながら、呼吸を整える。大丈夫、きっと上手くいく。
(ボーン、ボーン、ボーン)
固唾を飲んで見守っていると、時計塔が15時を知らせる鐘を鳴らす。それと同時に壁の上の人達は一斉に武器を構え、矢や魔法を一斉に放った。
「始まった」
矢を取り出して、目を皿のようにしてガーゴイルが街の中に入っていないか監視する。
矢や魔法が雨のようにガーゴイル達に降り注ぎ、光の粒に変えていく。
「なるほど、いきなり全員で攻撃するんじゃなくて、攻撃する人と待機する人に別れているんだ」
攻撃した人は後ろに下がって補給して待機。補給している間は待機していた人が攻撃。これを繰り返すことで断続的に攻撃できるんだ。流石はホウリさんだ。
「あれ?兵法書に基礎として書かれてたっけ?ま、いっか」
そんな事を考えていると光の粒になっていくガーゴイルの中で、1匹が討伐隊の上を超えて街の中に入って来た。
『ガシャアアア!』
「まずは一匹」
矢を放ち、下降しようとしたガーゴイルの頭を射抜く。
「弾幕は濃いけど、撃ち漏らしも結構あるみたいだね」
ホウリさんはこれを見越していたんだろう。これなら防衛も何とかなりそうだ。
「問題はこれがいつまで続くかかな」
すごい勢いで倒していっているとはいえ、ガーゴイルの群はまだまだいる。1時間そこらで終わるとは思えない。
「とはいえ、そんなにかからないでしょ」
微笑みつつ。街の中に入ってくるガーゴイルを立て続けに射抜く。今日はゆっくりご飯食べられるかな?
☆ ☆ ☆ ☆
「た、ただいま戻りました……」
「あれ?ロワ君?昨日よりも遅いお帰りだね?」
宿に戻るとディーヌさんが驚きの表情で出迎えてくれた。
僕は返事もせずに人気のない食堂に入り、机に突っ伏す。
「ロワ君?大丈夫?」
「……ぐー」
「ロワ君!?」
「はっ!?」
ディーヌさんの声で意識が覚醒する。
「あれ?僕寝てました?」
「うん。昨日よりもお疲れだね?」
「そうですね。今って何時ですか?」
「えーっと、午前2時だね。もしかして、さっき終わったの?」
「ええ」
ありのままさっき起こった事を話すと、30分早く帰れると思ったら、2時間遅く帰ってきていた。何を言ってるか分からないと思うけど、僕も理解したくない。
「何があったの?」
「ガーゴイルの襲撃が思った以上に長引きました」
まさか、あんなにガーゴイルがいるとは思わなかった。終盤には討伐隊の勢いも弱くなっていて、撃ち漏らしの数も増えていったし、本当に大変だった。
「大丈夫?ご飯食べられる?」
「なんとかいけそうです。手軽に食べられるものは何かありませんか?」
「ボロネーゼとかはどう?」
「じゃあそれで」
「了解。すぐに持ってくるからね」
そう言ってディーヌさんは厨房へと戻っていった。
ああ、ダメだ。眠気が酷い。昨日以上に疲れているし、話し相手のミエルさんもいない。そういえば、ミエルさんはどうしているだろうか。
今日は持ち場が違うから、銭湯で別れた後は会っていない。ミエルさんは騎士だから、ガーゴイルの討伐はしなかっただろうし、予定通りに帰ってきたのだろうか。
「ミ……エル……さん」
そんなことを考えつつ、僕は軽く目を閉じる。
「ロワ君?寝ちゃった?」
「ふぇあ!?」
ディーヌさんから声を掛けられ、再び意識が覚醒する。
「本当に大丈夫?ご飯食べられそう?」
ディーヌさんが心配そうにボロネーゼをテーブルに置く。
「あれ?ボロネーゼって作り置きしてたんですか?」
「え?普通に作ってきたよ?30分はかかったと思うけど?」
僕の質問にディーヌさんが不思議そうに答える。
まだ1分も経っていないし、パスタがそんなに短時間で出来るとも思えない。でも、ボロネーゼからには湯気が立っているし作りたてに見える。これって……
「気付かない内にまた寝てた?」
「本当にお疲れなんだね。ご飯は明日にする?」
「いえ、少しだけ体力が戻ったのでいただきます」
フォークを手に取って、ボロネーゼを巻きつける。
「そういえば、ミエルさんは帰ってきてますか?」
「うん。大体3時間くらい前に帰ってきてたよ」
「どういう様子でした?」
「ロワ君ほどじゃないけど、お疲れって感じだったかな」
「そうでしたか」
ミエルさんは予定通りに終わったみたいだ。とりあえずは一安心。
「何か言ってましたか?」
「ロワ君が来るまで起きて居たいけど、明日に差し支えるから寝るんだって」
「ちょっと寂しいですけど、仕方ないですね」
僕もミエルさんとお話したかったけど、そういうことなら仕方ない。一応仕事中だし公私混同しないのは大事だ。
「ホウリさんは?」
「今日は来てないね?忙しいのかも?」
ディーヌさんとそんな事を話していると、宿の扉が開いてホウリさんが入って来た。
「よう、お疲れさん」
「タイミング良いですね?」
「ガーゴイル討伐完了の時間の知らせは受けているからな。ロワが宿に帰ってくる時間は計算できる」
「流石ですね」
「元気ないな。無理もないが」
ホウリさんが僕の対面に座る。すると、ディーヌさんがホウリさんの前にメニューを置いた。
「お疲れ様。何か食べる?」
「いつものパンケーキ」
「分かった。ちょっと待っててね」
ディーヌさんが笑顔で厨房に戻る。すると、ホウリさんが矢の束をテーブルの上に置いた。
「これは?」
「スピニングアローだよ。欲しがってただろ?」
「スピニングアロー!?」
持っていたフォークを放り出して、スピニングアローをつかみ取る。
「やっほーい!」
「一気に目が覚めたか?」
「はい!今ならガーゴイル1000体くらいは倒せそうです!」
「無理するな」
そう言って、今度は小さな小瓶がテーブルの上に置かれた。
「これは?」
「俺特性の栄養ドリンクだ。これ飲んで寝れば疲れが吹っ飛ぶぞ」
「ありがとうございます」
小瓶の蓋を開けて口を付ける。これがあるんだったら、昨日くれれば良かったのに。
そんな事を思いながら小瓶の中の液体を口に含む。瞬間、口の中に強烈なえぐみと不快な甘みが広がった。
「んぐっ!」
思わず吐き出しそうになるのを必死にこらえて、胃に流し込む。
「な、なんですかこれ……」
「栄養ドリンクだって言っただろ?味以外は保証してやる」
「ホウリさんなら味もなんとか出来ないんですか?」
「出来ない」
ホウリさんがキッパリと言い切る。そこまで言われると、もう何も言えなくなる。
「ほら、これで口直ししろ」
「ありがとうございます」
リンの実の瓶ジュースを受け取り、口に残ったえぐみを流す。
「はぁ、なんだか目が覚めちゃいましたよ」
「そうか。なら、これから戦いに行くか?」
「それは勘弁してください」
そんな感じで2日目の戦いは終わった。
ちなみに、ベッドに入ったら一瞬で眠りにつけた。
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