異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

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第1章・異世界転移と異世界転生

アルバトスさんの話①

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 ユリウスがシルヴィーク村のみんなに受け入れられたところを、私は少し離れたところから見ていた。
 みんなユリウスと話をしてみたいのではないかと思ったからなんだけど、思った通り、彼は村人たちに囲まれていた。
 多分ユリウスは、自分が村の人たちに受け入れてもらえるのか、不安に思っていたんじゃないかなと思う。
 安心した表情で村の人たちと話しているユリウスを見つめながら、私は小さく、「良かったね」と呟いた。

「オリエさん、いろいろとありがとうございした」

 先程、サーチートを諭したアルバトスさんは、多分私と同じような事を思ったのだろう、ユリウスを離れたところで見守っていて、もう大丈夫と安心したのだろう、私に声をかけてきた。

「アルバトスさん、体は大丈夫ですか」

「えぇ、おかげ様で、だいぶ回復をしました。もう普通に動けます。ありがとうございます」

 サーチートから聞いてはいたけれど、アルバトスさんは彼の言葉通り、元気になっているようだった。

「オリエさん、ユリウスの事、本当にありがとうございました。あの子の事、さぞかし驚かれた事でしょう。秘密にしていて、申し訳ありませんでした」

 アルバトスさんはそう言うと、私に頭を下げた。

「止めてください、アルバトスさん。私、ユリウスからいろいろと聞きました」

 ユリウス自身から聞いた話だけでも、彼の事を隠しておかなければならないのは充分すぎる程理解できたし、アルバトスさんは必死にユリウスを守りながら生きてきたのだろう。

「オリエさん、あの子から、どこまで聞きました?」

「お母さんが命懸けでユリウスが産まれる前に、魔法で性別を変えて、お母さんが亡くなってからは、それをアルバトスさんが引き継いだ事や、その他の力もアルバトスさんに封じられていた事は聞きました。あなたの命で封じていたって事も」

 私がそう言うと、アルバトスさんは頷き、だいたいの事はご存じなのですね、と呟くように言った。

「では、今度は私の話もお話しましょう」

「はい」

「お気づきだと思いますが、私は、あの子を守る事に必死でした。そして、私が死んだ後、あの子がどうやって生きていくのかが、とても心配でした。私なりにあの子を導いてはきましたが、あの子が真の姿を取り戻した時、私はもうこの世には居ないのです。だから物心ついた頃には全てを話し、武器の扱い方や、魔法、この世界で生きていくための知識を叩き込みましたが、それはあの子に、オブルリヒト王家に対しての憎しみを植え付けてしまう結果になりました。正直な話、私は八方塞がりになっていました」

 アルバトスさんはそう言うと、深いため息をついた。

「いっその事、自ら命を断ち、あの子を自由にしてやろうと思った事もありました。そして、何故妹を止めて、王子として生まれるあの子を、二人で守り抜く道を選ばなかったのかと、いつも後悔していました。こんな情けない私に育てられたというのに、あの子はオブルリヒト王家に対する復讐心以外は、とても良い子に育ちました。だからこそ、私はあの子を生かすためとはいえ、あの子を私と言う檻の中に閉じ込めてしまっていた事を、いつも後悔ばかりしていたのです」

 アルバトスさんは、必死にユリウスを育てながらも、罪悪感に苛まれていたようだ。

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