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第1章・異世界転移と異世界転生
アルバトスさんの話②
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「そんなある日、シルヴィーク村を襲った魔物と戦い、私は呪いの毒を浴びてしまいました。私は、やっと死ねると思いました。そして、ユリウスを自由にしてやれるとも思いました。だけどすぐに、絶望しました。何故なら、私と同じように、ユリウスも呪いの毒を浴びてしまっていたのですから……」
アルバトスさんは、やっと死ねるなんてつまらない事を思ったから、罰が当たったのだと言った。
「私は必死に、解毒方法を探しました……だけど何をしても解毒する事ができなくて……それがわかった時、あの子は言いました。もういいんじゃないかって……残り少ない時間を、穏やかに生きて行こうって……。それは諦めというより、自分の命に価値を見出していないように感じられました。私はとても悲しくなりましたが、どうする事もできませんでした。だけど……」
「だけど?」
「この世界に、あなたが現れた。あなたは私とユリウスの命を助けてくれて、私たちに笑顔をくれました。あの子はあなたに興味を持ち、あなたと一緒にいると笑顔を見せるようになりました。本当に、あなたにはどれだけお礼を言っても足りません」
「そんな……」
私は何もしていない……むしろ、迷惑ばかりかけて、ユリウスやアルバトスさんに、私の方がお世話になっているくらいだ。
私がそう言うと、アルバトスさんは首を横に振った。
「いいえ、あなたの存在に、私たちは救われたのですよ。ただ……あなたを元の世界に戻してあげられなかった事は、本当に申し訳なく思っています。約束をしたのに、申し訳ありません……」
「それは、仕方がないですよ」
ユリウスもアルバトスさんも、私を元の世界へ戻そうと、精一杯の事をしてくれていた。
この件に関しては、悪いのはジュニアスやノートンたちであって、アルバトスさんではない。
「ありがとうございます。オリエさんは、本当に優しい方ですね。ところで……」
「はい?」
「その……あの子は、あなたに失礼な事をしませんでしたか?」
「え?」
あの子っていうのは、ユリウスの事だよね?
ユリウスが私に、失礼な事?
一体何の事だろうと少し考えて、腕を引かれてベッドに引きずり込まれた事を思い出した。
だけどあれは、驚きはしたものの、ユリウスが落ち着くならいいやって思ったのは私自身だし、その後は告白をされて……すぐに返事はできなかったけれど、嫌ではなかった。
むしろ……。
「オリエさん、お顔が、赤いですよ?」
「え?」
「もしや、あの子が告白でもしましたか?」
「えっ!」
アルバトスさんは私を見て、くすくすと笑う。
わかりやすいですねぇ、とのんびりと言われ、私は恥ずかしくなって、両手で顔を覆った。
そうか、私って、わかりやすいんだ。
「あの子は、あなたが大好きなのですよ。だから……あなたさえ良ければ、どうかあの子のそばに居てあげてください」
アルバトスさんのこの言葉、以前にも言われた事がある。
それは、彼の命が一度失われかけた時の事だ。
あの時も、アルバトスさんは私に、ユリウスのそばに居てあげてくださいと言っていた。
だから、これは彼の心からの願いなのだろうと思う。
「ありがとうございます、アルバトスさん……私も、ユリウスが……彼が大好きです……。だから、彼のそばに居たいです……」
私がそう答えると、ありがとうございます、とアルバトスさんは嬉しそうに笑った。
アルバトスさんは、やっと死ねるなんてつまらない事を思ったから、罰が当たったのだと言った。
「私は必死に、解毒方法を探しました……だけど何をしても解毒する事ができなくて……それがわかった時、あの子は言いました。もういいんじゃないかって……残り少ない時間を、穏やかに生きて行こうって……。それは諦めというより、自分の命に価値を見出していないように感じられました。私はとても悲しくなりましたが、どうする事もできませんでした。だけど……」
「だけど?」
「この世界に、あなたが現れた。あなたは私とユリウスの命を助けてくれて、私たちに笑顔をくれました。あの子はあなたに興味を持ち、あなたと一緒にいると笑顔を見せるようになりました。本当に、あなたにはどれだけお礼を言っても足りません」
「そんな……」
私は何もしていない……むしろ、迷惑ばかりかけて、ユリウスやアルバトスさんに、私の方がお世話になっているくらいだ。
私がそう言うと、アルバトスさんは首を横に振った。
「いいえ、あなたの存在に、私たちは救われたのですよ。ただ……あなたを元の世界に戻してあげられなかった事は、本当に申し訳なく思っています。約束をしたのに、申し訳ありません……」
「それは、仕方がないですよ」
ユリウスもアルバトスさんも、私を元の世界へ戻そうと、精一杯の事をしてくれていた。
この件に関しては、悪いのはジュニアスやノートンたちであって、アルバトスさんではない。
「ありがとうございます。オリエさんは、本当に優しい方ですね。ところで……」
「はい?」
「その……あの子は、あなたに失礼な事をしませんでしたか?」
「え?」
あの子っていうのは、ユリウスの事だよね?
ユリウスが私に、失礼な事?
一体何の事だろうと少し考えて、腕を引かれてベッドに引きずり込まれた事を思い出した。
だけどあれは、驚きはしたものの、ユリウスが落ち着くならいいやって思ったのは私自身だし、その後は告白をされて……すぐに返事はできなかったけれど、嫌ではなかった。
むしろ……。
「オリエさん、お顔が、赤いですよ?」
「え?」
「もしや、あの子が告白でもしましたか?」
「えっ!」
アルバトスさんは私を見て、くすくすと笑う。
わかりやすいですねぇ、とのんびりと言われ、私は恥ずかしくなって、両手で顔を覆った。
そうか、私って、わかりやすいんだ。
「あの子は、あなたが大好きなのですよ。だから……あなたさえ良ければ、どうかあの子のそばに居てあげてください」
アルバトスさんのこの言葉、以前にも言われた事がある。
それは、彼の命が一度失われかけた時の事だ。
あの時も、アルバトスさんは私に、ユリウスのそばに居てあげてくださいと言っていた。
だから、これは彼の心からの願いなのだろうと思う。
「ありがとうございます、アルバトスさん……私も、ユリウスが……彼が大好きです……。だから、彼のそばに居たいです……」
私がそう答えると、ありがとうございます、とアルバトスさんは嬉しそうに笑った。
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