40 / 49
アルロード様、ヤバいです!!!
しおりを挟む
あわわわわ……あ、アルロード様がオレのベッドに……!
じゃない!
どう考えてもアルロード様らしからぬ行動だ。しかもなんかフラフラしてたし!
「あ、アルロード様? もしかして体調が……?」
「ああ……ごめん……あまりにも魅惑的な香りで、つい……」
「へ?」
オレの枕をぎゅうっと抱きしめて、顔を埋めていたアルロード様がチラ、と目線だけでオレを見る。
その目は潤んでいて、ちょっと目の淵までふわっと赤くなっている。つまりとんでもなく色っぽい。
「……はっ! アルロード様、ヤバいです!!!」
「え?」
「起きてください、あんまり匂い嗅いじゃダメです。今は別にオレ、発情期じゃないけど……あ、でもそろそろだからかな? アルロード様なんかヤバそうで」
「あ……確かに、離れがたい」
オレの枕をうっとりした表情で抱きしめるアルロード様はオメガかと疑いたくなるような艶っぽさだ。
正直めっちゃエロい。
目の毒。
心なしか匂いまで強くなってきた気がする。
「起きて! もうこの部屋出ましょう!」
一生懸命にアルロード様を部屋の外に連れ出して、ホッと息をつく。そこへちょうど婚約が正式に整ったという知らせが来て、アルロード様はとてもとても名残惜しそうな顔をしたまま帰って行った。
公爵家の皆さまおよびオーソロル卿が帰ったあとは、オレも家族も数少ない使用人の皆も、緊張から解き放たれて魂が抜けたぬけがらみたいになっていた。
「……とんでもなく疲れたな」
父さんがつぶやくと、母さんも「本当に」と相槌を打つ。
「ごめん、実は昨日アルロード様からお話をいただいたんだけど、どう言ったらいいのか迷ってるうちにまさかの急展開で」
「ああ、ルキノの了承は得ているという話だったが本当だったんだな」
「ルキノ、あなたは以前からアルロード様のことをすごいすごいと褒めていたから大丈夫だとは思うのだけれど……本当にアルロード様の事が好きなの? 身分が高いお方だから、断れないわけではない?」
母さんが心配そうにそう聞いてくれる。
「大丈夫。最初は畏れ多くてお断りしようと思ったんだ。でも、その……アルロード様がオレのこと好きって言ってくれて、オレも決心がついた。オレ、ずっとずっと前からアルロード様のこと尊敬してたし、恋愛的な意味じゃなかったけどすっごく好きだったからさ」
「そう、良かったわ。知らない方に嫁ぐよりも人となりを知っていて尊敬できる方に嫁ぐ事が何倍もいいものね」
ホッとしたように息をつく母さん。心配かけてごめん。
「まさかあなたを娘のように心配して送り出す事になるなんて思わなかったけれど……幸せになるのよ」
「大丈夫。アルロード様は超絶イケメンで非の打ち所がないお方だけど、何がすごいってそれだけ高スペックなのに性格がめちゃくちゃいいのが最高なんだよ。絶対大切にしてくれるから心配しないで」
「まぁ」
「もう惚気か。心配なさそうだな」
「だよね、兄さんったらアルロード様大好きだもんね」
家族みんなが屈託なく笑ってる。なんだかそんな光景をすごく久しぶりに見た気がして、オレはアルロード様に心から感謝した。
なのに。
オレは今絶賛そのアルロード様にめちゃくちゃに翻弄されている。
夜ベッドに入るまでは普通だったんだ。家族と笑い合って、祝福されて、久しぶりにお祝いのケーキなんか食べたりして。
食べすぎちゃったからちょっと素振りしてさ、風呂に入ってさっぱりして、ベッドに横になった途端。
ふわん、とムスクみたいな濃厚な香りがオレを包む。
「あ……」
これ、アルロード様の匂いだ。
そういえばアルロード様がこのベッドに身を横たえて、しかも枕にしっかり顔を埋めてたんだよな。
なんて考えていられたのは最初だけで、時間が経つごとにどんどん香りが濃くなっていくみたいに感じられてしまう。
あの発情期の時に感じたみたいに、香りを嗅ぐごとに身体の奥を震わせるような、酩酊するような感覚に襲われる。
「アルロード、様……」
ヤバい。
いい匂い。
もっと嗅ぎたい。
気がついたら今日のアルロード様みたいに枕をすんすんと思いっきり嗅いでいた。
身体が熱い。
あらぬところが熱を持って、後ろの穴まできゅんとする。
「……ヤバ、なんで」
発情期まであと数日はある筈なのに。
でもこの感覚、絶対にヒートになろうとしてる。
「……っ」
震える身体で起き上がり、剥ぎ取ったシーツを身体に巻いて枕を抱いたまま部屋を出る。
よろめきながら階下に降りたら、まだ父さんと母さんが起きててくれてホッとした。
「ごめん、オレ、ヒートが……悪いけどいつものホテル、手配して……」
「ヒート!? 大変、あなた!」
「任せろ」
ふたりの声を聞いて安心したのか、ちょっとだけラクになった気がした。これならホテルまでもつかも。
目を閉じて呼吸もできるだけ少なめにして気持ちを落ち着ける。
「ああルキノ、こんなに早くヒートが来てしまうだなんて」
「ごめん、母さん……」
「違うのよ。実はね、次のあなたの発情期には公爵家にも連絡が欲しいと言われていたの。もうあなたに発情期の辛い思いをさせたくないって」
じゃない!
どう考えてもアルロード様らしからぬ行動だ。しかもなんかフラフラしてたし!
「あ、アルロード様? もしかして体調が……?」
「ああ……ごめん……あまりにも魅惑的な香りで、つい……」
「へ?」
オレの枕をぎゅうっと抱きしめて、顔を埋めていたアルロード様がチラ、と目線だけでオレを見る。
その目は潤んでいて、ちょっと目の淵までふわっと赤くなっている。つまりとんでもなく色っぽい。
「……はっ! アルロード様、ヤバいです!!!」
「え?」
「起きてください、あんまり匂い嗅いじゃダメです。今は別にオレ、発情期じゃないけど……あ、でもそろそろだからかな? アルロード様なんかヤバそうで」
「あ……確かに、離れがたい」
オレの枕をうっとりした表情で抱きしめるアルロード様はオメガかと疑いたくなるような艶っぽさだ。
正直めっちゃエロい。
目の毒。
心なしか匂いまで強くなってきた気がする。
「起きて! もうこの部屋出ましょう!」
一生懸命にアルロード様を部屋の外に連れ出して、ホッと息をつく。そこへちょうど婚約が正式に整ったという知らせが来て、アルロード様はとてもとても名残惜しそうな顔をしたまま帰って行った。
公爵家の皆さまおよびオーソロル卿が帰ったあとは、オレも家族も数少ない使用人の皆も、緊張から解き放たれて魂が抜けたぬけがらみたいになっていた。
「……とんでもなく疲れたな」
父さんがつぶやくと、母さんも「本当に」と相槌を打つ。
「ごめん、実は昨日アルロード様からお話をいただいたんだけど、どう言ったらいいのか迷ってるうちにまさかの急展開で」
「ああ、ルキノの了承は得ているという話だったが本当だったんだな」
「ルキノ、あなたは以前からアルロード様のことをすごいすごいと褒めていたから大丈夫だとは思うのだけれど……本当にアルロード様の事が好きなの? 身分が高いお方だから、断れないわけではない?」
母さんが心配そうにそう聞いてくれる。
「大丈夫。最初は畏れ多くてお断りしようと思ったんだ。でも、その……アルロード様がオレのこと好きって言ってくれて、オレも決心がついた。オレ、ずっとずっと前からアルロード様のこと尊敬してたし、恋愛的な意味じゃなかったけどすっごく好きだったからさ」
「そう、良かったわ。知らない方に嫁ぐよりも人となりを知っていて尊敬できる方に嫁ぐ事が何倍もいいものね」
ホッとしたように息をつく母さん。心配かけてごめん。
「まさかあなたを娘のように心配して送り出す事になるなんて思わなかったけれど……幸せになるのよ」
「大丈夫。アルロード様は超絶イケメンで非の打ち所がないお方だけど、何がすごいってそれだけ高スペックなのに性格がめちゃくちゃいいのが最高なんだよ。絶対大切にしてくれるから心配しないで」
「まぁ」
「もう惚気か。心配なさそうだな」
「だよね、兄さんったらアルロード様大好きだもんね」
家族みんなが屈託なく笑ってる。なんだかそんな光景をすごく久しぶりに見た気がして、オレはアルロード様に心から感謝した。
なのに。
オレは今絶賛そのアルロード様にめちゃくちゃに翻弄されている。
夜ベッドに入るまでは普通だったんだ。家族と笑い合って、祝福されて、久しぶりにお祝いのケーキなんか食べたりして。
食べすぎちゃったからちょっと素振りしてさ、風呂に入ってさっぱりして、ベッドに横になった途端。
ふわん、とムスクみたいな濃厚な香りがオレを包む。
「あ……」
これ、アルロード様の匂いだ。
そういえばアルロード様がこのベッドに身を横たえて、しかも枕にしっかり顔を埋めてたんだよな。
なんて考えていられたのは最初だけで、時間が経つごとにどんどん香りが濃くなっていくみたいに感じられてしまう。
あの発情期の時に感じたみたいに、香りを嗅ぐごとに身体の奥を震わせるような、酩酊するような感覚に襲われる。
「アルロード、様……」
ヤバい。
いい匂い。
もっと嗅ぎたい。
気がついたら今日のアルロード様みたいに枕をすんすんと思いっきり嗅いでいた。
身体が熱い。
あらぬところが熱を持って、後ろの穴まできゅんとする。
「……ヤバ、なんで」
発情期まであと数日はある筈なのに。
でもこの感覚、絶対にヒートになろうとしてる。
「……っ」
震える身体で起き上がり、剥ぎ取ったシーツを身体に巻いて枕を抱いたまま部屋を出る。
よろめきながら階下に降りたら、まだ父さんと母さんが起きててくれてホッとした。
「ごめん、オレ、ヒートが……悪いけどいつものホテル、手配して……」
「ヒート!? 大変、あなた!」
「任せろ」
ふたりの声を聞いて安心したのか、ちょっとだけラクになった気がした。これならホテルまでもつかも。
目を閉じて呼吸もできるだけ少なめにして気持ちを落ち着ける。
「ああルキノ、こんなに早くヒートが来てしまうだなんて」
「ごめん、母さん……」
「違うのよ。実はね、次のあなたの発情期には公爵家にも連絡が欲しいと言われていたの。もうあなたに発情期の辛い思いをさせたくないって」
127
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」
身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。
死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。
カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。
「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」
献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。
これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。
【完結】異世界に召喚された賢者は、勇者に捕まった!
華抹茶
BL
日本の一般的なサラリーマンである竹内颯太は、会社へ出勤する途中で異世界に召喚されてしまう。
「勇者様! どうかこの世界をお救いください!」
なんと颯太は『勇者』として、この世界に誕生してしまった魔王を倒してほしいと言われたのだ。
始めは勝手に召喚されたことに腹を立て、お前たちで解決しろと突っぱねるも、王太子であるフェリクスに平伏までされ助力を請われる。渋々ではあったが、結局魔王討伐を了承することに。
魔王討伐も無事に成功し、颯太は元の世界へと戻ることになった。
「ソウタ、私の気持ちを受け取ってくれないか? 私はあなたがいてくれるなら、どんなことだってやれる。あなたを幸せにすると誓う。だからどうか、どうか私の気持ちを受け取ってください」
「ごめん。俺はお前の気持ちを受け取れない」
元の世界へ帰る前日、フェリクスに告白される颯太。だが颯太はそれを断り、ひとり元の世界へと戻った。のだが――
「なんでまた召喚されてんだよぉぉぉぉぉ!!」
『勇者』となった王太子×『勇者』として異世界召喚されたが『賢者』となったサラリーマン
●最終話まで執筆済み。全30話。
●10話まで1日2話更新(12時と19時)。その後は1日1話更新(19時)
●Rシーンには※印が付いています。
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
救世の神子として異世界に召喚されたと思ったら呪い解除の回復アイテムだった上にイケメン竜騎士のツガイにされてしまいました。
篠崎笙
BL
剣崎勝利の家は古武道で名を馳せていた。ある日突然異世界に召喚される。勇者としてではなく、竜騎士たちの呪いを解く道具として。竜騎士ゲオルギオスは、勝利をツガイにして、その体液で呪いを解いた。勝利と竜騎士たちは悪神討伐の旅へ向かったが……。
捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?
めがねあざらし
BL
役立たずと追放されたΩのリオン。
治癒師の家に生まれながら癒しの力もないと見放された彼を拾ったのは、獣人国ザイファルの将軍であり、冷徹と名高い王太子・ガルハルトだった。
だが、彼の傷を“舐めた”瞬間、リオンの秘められた異能が覚醒する。
その力は、獣人たちにとって“聖なる奇跡”。
囲い込まれ、離されず、戸惑いながらも、ガルハルトの腕の中で心は揺れて──偽りの関係が、いつしか嘘では済まなくなっていく。
異能×政治×恋愛。
運命が交錯する王宮オメガバースファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる