[完結]間違えた国王〜のお陰で幸せライフ送れます。

キャロル

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11 冗談は顔だけにしろ!

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爆弾級とも言えるレインの告白にマリアンヌとギスランは思考が一時停止した。

番?番と言ったの?目の前の犬……いや狼だったか?とマリアンヌは頬を染めながらこちらを見つめるレインに頭を抱えた。

突然前触れもなく現れて何言ってるんだこの男は!しかもこの国にきて既に1年も経過している、本当に意味がわからない。

マリアンヌは場違いにも照れ臭そうに赤い顔して下を向いてモジモジしているレインにだんだん腹が立ってきていた。
おそらく人生で初めての怒りの感情であろう。

「陛下!冗談は顔だけにしてくださいませ!確かに番が現れたら即離縁と誓約しましたが輿入れして既に1年も経ってるんですよ!今更私が番だなんてバカにしてるんですか?そんな嘘つかなくても離縁したいなら今すぐして差し上げます。さぁ、ランバート今すぐ離縁の書類を出しなさい!持ってきているんでしょ!」

レインは仮にも一国の王、しかも美男と持てはやされることはあるがその顔を冗談と揶揄されたのは初めてだった、しかも美少女のマリアンヌの憤った顔に残念美男子レインはうっかり見惚れて惚けていた。
そんな主人を横目にレインがまともな思考に戻ってくるのを待ってられないとランバートがマリアンヌに答えた。

「マリアンヌ様、これは冗談ではなく残念ながら事実なんです。マリアンヌ様が番と気がついたのは婚姻の儀の指輪の交換の時なんだそうです。その時今嵌めている指輪を外しましたよね。それは番認識阻害魔道具です、陛下は指輪を外した瞬間に番と気づいたんですよ。」

「え?でもあの時何も言ってこなかったし…特に変わった様子は….ん?あの時キスしようとしたのは…まさか…何それ!手のひら返しのような態度……あ!でもその後普通だったじゃないですか!やっぱり気のせいじゃないの?番衝動ってあんなさっぱりした感じなの?聞いた話と違うから陛下の勘違いじゃないの?」

「いえ、我々獣人が番を間違える事はあり得ません。それを証明するにはマリアンヌ様が指輪を外し陛下がつけているピアス型の魔道具を外せば陛下の態度で自ずとわかりますが…試してみますか?」

「試す?態度?外して何かわかるの?なんか印でも出るの?どう判断するの?」

「陛下の様子ですぐわかりますよ。今でさえコレですから……ただ、この1年不眠になる程抑えてましたから、正直私にも陛下がどういう行動を取るか…ちょっと……保証できかねますが」

ランバートの提案に否を唱えたのはギスランだ!

「だめだ!マリアンヌ様、ここで指輪は外すのは危険です。魔道具をつけている状態でこれですから特に狼獣人の陛下は衝動が他の獣人より強いはずです!私のように制御できるとも思えません非常に危険です」

ギスランが指輪を外すことに猛反対した。

「そ、そう、なの?じゃぁ外さない!不本意ながら番が私だという事はわかりました。それで陛下は誓約に従って番が現れたら離縁するという約束に従うためにいらしたのですか?」

「……いや、できればチャンスがもらえたらと…」

「チャンス?なんのチャンスでしょう?謝罪は受け入れましたよ?他に何かありました?」

「「「………」」」

マリアンヌは何事もそつなくこなし優秀だがある意味で鈍く察しが悪かった。

「マリアンヌ様、陛下は夫になるチャンスが欲しいと仰ってるんですよ」

見かねたランバートが助け舟を出した……のだが、

「やだ、ランバート何言ってるの?しっかりしてよ~いくら私が1年離宮に引っ込んでたからって忘れたの?陛下は既に私の夫でしょ……書類上は」

「「「………」」」

間違いではないが、マリアンヌの言っていることは正しい、…が、…なぜこうも斜め上の思考になってしまうのかランバートはギスランに目配せしたが首を横に振られた。

そんな中今までポンコツだったレインがこの日初めてまともな事を言った。

「マ、マリアンヌ、….わ、私はそなたと交わした誓約を解消して愛し合いたいのだ、最初からやり直し愛のある夫婦として共にありたいのだ、そのチャンスが欲しい。」

レインの真剣な様子に流石のマリアンヌも理解したようでしばらく考えていたが、すっと顔をあげ真っ直ぐレインに視線をむけ気持ちを告げた。

「……陛下、申し訳ありませんができません。それこそ今更です。私は誓約通り離縁を望みます。」

「……、やはり、どうあっても離縁しなければならないのか?私にチャンスをくれないか?」

「陛下、私が番でなければ予定通り離縁したのでしょう?番でない私に対して愛のある夫婦になりたいと仰るのなら私も歩み寄れたかもしれません。ですが陛下は番の私が欲しいけど番じゃない私はいらないのでしょう?番でも番じゃなくても私は私なんです。私自身を愛してくれる方と共にいたいのです。
陛下、…番である私が強欲で争い事を好む女だったらどうします?私がやり直すなら国1つ下さいませと言ったらどうします。下さいますか?それとも国王としてそんなバカな事をと番のおねだりをいさめる事ができますか?獣人にとって番とは大切な存在なのは理解します。ですが、陛下は一国の主なんです。私のようなただの国の駒とは違うんですよ。どうか良き伴侶をお選び下さい、」

「そなたほど王妃として相応しい女性はいる気がしないのだが…、」

「無理ですよ、1年前の私は王族として国のためにこの結婚を受け入れていましたが、私は変わってしまいましたよ。今の私にはどうしても欲しいものがあるんです。それが手に入るなら身分も地位も名誉も全て捨ててもいいと思うほどそれが欲しいんですよ!この上なく強欲な女になってしまいましたから、そんな女に王妃は務まりません。」

「…そうか、欲しいもの…それが…(私であったなら、どんなによかったか)…そうだな今更だな。だが、今は離縁しない!」

「「「は?」」」

なぜ?
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