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10 今それ言いますか?

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マリアンヌは最近指輪を撫でる仕草が癖になっていた。

普段はギスランが手袋をしている為あの恥ずかしい共鳴を感じることはないがアレはあれでお互いの気持ちを表しているのでイチャイチャしたり愛を言葉にできない分ある意味安心感となるが、あからさまに手袋を外してなんて言えるわけもなくその思いが指輪を撫でるという仕草が増えた原因である。

「ねぇ、ギスラン今の私たちの状況はすごい偶然の積み重ね?によって生まれたものよね、そう思うと嬉しいんだけど複雑よねぇ~」

「えーと偶然ということはわかりますが複雑とは?どういうことでしょうか?」

「うーん、まずお母様とギスランの伯父様の出会いで番認識阻害魔道具が完成したからギスランと何処かにいるかもしれないギスランの番に不安を感じる事ないでしょう?番に感じる衝動って強力な魅了魔法に似てるって聞いたわ、人間の私には分からないけどなんていうの?番ぐるい?すごいんでしょ?」

「あー、確かにそうかもしれませんが、伯父上もそうですが私の一族は自分でその衝動を制御できるものが多く伯父上のようにその力を放出できる特殊能力はありませんが、私も16歳になった時その能力に目覚めましたから自分の番衝動は簡単に抑えられますが認識阻害は弱いので魔道具は必要ですが、心配は入りませんよ。私はマリアンヌ様に片想い歴10年以上ですからね」

「……、そうだったわね10年以上……随分長かったのね…ずっと想っていてくれてありがとう、でも今は片想いじゃないでしょ!」

「クス!そうでしたね、こちらこそ有難うございます…」

「もう、揶揄わないで!…それと私の父のゴリ押しのおかげ?で番にこだわりのある国王様に嫌われて離宮で生活できるようになってギスランに会えたでしょ~」

「そう思うと双方の国王様にも感謝ですね。今は番に拘る獣人が減っている最中、我が国の国王様は昔からずーっと番、番と番以外とは結婚しない!と常に言っていましたし、その陛下の拘りこだわがなければ私の想いも叶わなかったかもしれないですからね。」

「ふふ、そうねぇ~そう思うと国王様に感謝しないとねぇ~」

マリアンヌとギスランがサロンでお茶をしながら楽しく話をしているとロイが

「マリアンヌ様……あの~ランバート様がお客様を連れて…いらっしゃいましたが、……お通ししてよろしいですか?」

普段と違い非常に…非常に申し訳なさそうに断りを入れてきた。

「え?お客様?ランバートが?先ぶれも無いなんて珍しいわね、それに私にお客様なんて…誰かしら?…それってお断りしていい人物かしら?」

「………いえ、」

「……そう、そうよね、…どうぞ、お通しして」

サロンに入ってきたのはランバートと……、

「へ、陛下?」

マリアンヌは驚いて立ち上がり挨拶をしようとした

「あー、挨拶は良い、突然で驚かせてしまったであろう?座ってくれ楽にしてくれないか?」

気まずそうに苦笑いをしながらレインは向かいの席に座りその後ろにランバートが控えた。
マリアンヌの後ろにはギスランが控えロイとメイはお茶の準備が済んだ後席を外した。

「……、、、」

しばらく無言でレインはマリアンヌを見つめていた。ここまできてヘタレなレインに堪り兼ねてランバートが口を開く

「陛下、一体いつまでそうしてるつもりですか?そんなに見つめてはマリアンヌ様に穴があいてしまいますよ!ここに何しにきたんですか?」

「…あ、ああ、いや、あのだな…マリアンヌ…王女…今更だが輿入れのためにこちらにきて貰ったあなたに私は随分酷い態度を取ってしまいそのことを謝りたいのだ。すまなかった。」

「え?いえ、その事なら…全く少しも…微塵も気にしないでくださいもう済んだ事ですから、それとマリアンヌと、お呼びください。」

「……そうか、では遠慮なく…マ、マリアンヌ…あの、…あの誓約書に書かれていた番のことなんだが…」

「え?もしかして番様が見つかったのですか?」

「…ああ、見つかったというのは少し違うが…番がわかった、いや違うな、知ったと言ったほうがいいのかな?」

「まぁ、要するに番様が見つかったのでしょう?どちらにしてもよかったではないですか、おめでとうございます。お祝い申し上げます。それでいつお迎えになるのです?あ!それより先に離縁しなければお迎えできませんね。それでは誓約書通りにすぐにでも離縁致しましょう。私の方は今すぐでもよろしいですのよ、あ!もしかして既に離縁の書類お持ちですの」

「……、そこなんだが、魔法による誓約だから誓約書に従わなければならないのだが…その…」

「あ!私のことはお気にせずとも問題無いですよ。ここを引き上げるには少々お時間いただきたいと思いますが、なるべく早くお暇致しますので」

予定より早く離縁して自由になれるとマリアンヌは喜びいつもより饒舌になっていた。

「…いや、その、そういうことでは無いのだが…ここにいて良いのだが…」

「いえ、そんな訳にはいきませんよ!いくら離宮といえど女性がいたら番様が気分を害するかもしれませんしいらぬ誤解を招きます。」

「…害するも何も…そんなことは無いのだが…」

「いえ、陛下、女性は意外と嫉妬深いものですよ!番という感覚はどういうものかわかりませんが想い人に書類上だけでも妻がいてそれが離縁後も城に居座ったと知ったら間違いなく気分を害します。私でも嫌ですもの」

「そうなのか?…そうか…」

もじもじと歯切れの悪く肝心なことも言えず全く話が進んでいないレインに痺れを切らしたのは勿論この男ランバート

「おい!いつまでグダグダやってんだ!腹括れよレイン!今更だろ!どうせ好かれちゃいないんだから!」

「ひど!…分かってる…わかっているんだ……そこまで言わなくても……ふぅ、マリアンヌ…………私の番なんだ!」

「………?は?私の番がなんですか?言ってる意味がわかりませんが?」

「ち、違う、……そうじゃないな……マ、マリアンヌが私の番なんだ!」

「「は?……は~ーーー!!?」」

マリアンヌとギスランは声を揃えて叫んだ!






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