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9 芽生え
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マリアンヌは夢を見ていた。
懐かしい、幼い頃の夢
母と2人湖畔で過ごした最後となったあの日の夢を…あの日は…赤い髪の…お兄さんに遊んでもらい楽しい日だった。
そろそろ帰る時間になったと母の所に向かったが途中で足が止まった。
母が…泣いていた。お兄さんと同じ赤い髪の男の人の胸で…泣いていた。
あの頃はわからなかったが…今ならわかる…あの人はきっと…母の…N…愛するNだと…
あの日の母が今になって鮮明に思い出されてしまった。
初めて見た母の泣いている姿に子供ながらに動揺していた一緒にいたお兄さんがそっと抱きしめてくれてその暖かさにいつの間にか寝てしまっていたのだろう気がついたら自分の部屋のベットで寝ていた。
あの日を境に母は湖畔に行く事をやめてしまった。
普通なら既婚者である母が他の男性と会う事は許されないだろうが毎年、年に2回同じ場所で同じ時間に行っていた…おそらく父は知っている追跡魔法で常に母の場所を監視するほど執着していたから知らないはずがない。
その父が知っていて湖畔に行くことをあの男性に会うことを許していた?
なぜ?
この国にきて思いがけず充実した日々を送れていてすっかり忘れていたが久しぶりに見た夢のおかげで忘れていた輿入れ前の母の言葉を思い出した。
母の想いとあの言葉の意味そしてあの夢…その答えはこの指輪にある。
知りたいこの指輪に込められた意味を…母に会いたい。
そして知りたい。
__3日後__(マリアンヌ視点)
私はギスランとロイとメイいつものメンツである湖畔に来ていた。
敷物を広げ軽食を並べのんびりと景色を堪能しながらピクニック気分を味わっていた。
「あら、ギスラン、サンドウィッチを食べるのに手袋したままはダメよ!外して手を拭いてね!」
「ああ、そうですね」
そう言って手袋を外したその手に嵌められた指輪を見た私は咄嗟にギスランの手を取り指輪に触れた。
これは……間違いない…母の指輪と…同じ魔力を感じる。
そして指輪同士が…いえ、指輪についている魔法石が共鳴している。
2人を優しい魔力が包み込む……暖かくも切ない…なぜか自然と涙が溢れてしまった。
ギスランは優しく指で涙を拭ってくれ抱きしめてくれた。
いつの間にかロイとメイは離れたところで待機していた。
「ギスラン、あなた何か知っているの?その指輪は私の指輪と対になっているわね。なぜあなたがその指輪を持っているの?」
「これは11年前に伯父上に譲られた物なんです。…その…愛する人と…必ず巡り会えると…その時がくればわかると言われていたんです…実は…マリアンヌ様とは以前お会いしたことがあって…その時から…ずっと…マリアンヌ様をお慕いしていたんです。いつかあなたに想いを告げたいと思っていましたが、想いを告げる前にあなたは国王様と婚姻してしまい、ならせめてお側でお仕えしたいと専属騎士に志願しました。」
ギスランの告白に私は今顔が真っ赤になっているでしょう。
「ギ、ギスラン、以前に会った?……あ!赤い髪……もしかしてあなたあの時のお兄さん?」
「ええ、」
ギスランの好意は感じていたがまさか女性として慕ってくれていたなんて…改めて言葉にされてから私の鼓動は早くなり指輪の共鳴が先ほどより大きく感じる。
「ギ、ギスラン、ゆ、指輪が熱を持っているように感じるのだけど…これって…あの」
「…はい、私も感じます。非常に嬉しい反応なんですよ。お気づきですよね!お互いの想いに反応しているようです。だから伯父はその時がくればわかると言っていたのでしょう」
「そ、そうなのね…母もそんな事言っていたような気がするわ、……で、でも今はまだ書類上は…既婚者だから…言葉にするわけにはいかないけど…私もギスランと同じ想いです。恥ずかしいけど…こんなに共鳴されたらごまかしようがないわ」
「そうですね。然るべき日が来る時まで待ちます。その時が来たらマリアンヌ様、私の手を取って頂けますか?」
「ええ、勿論!」
ドキドキする胸をなんとか落ち着かせて私は気になっていた事を聞いた。
「ねぇ、ギスラン、あなたこの指輪のことどこまで知っているの?」
指輪の持ち主はわかった。そしてその関係もならばなぜ?
「詳しいことはわかりませんが私が知っているのはこの指輪は30年ほど前に伯父と恋人の魔道士が作った特別な指輪で当時叔父が住んでいた森で2人で5年ほど生活していたそうです。その魔道士とはマリアンヌ様のお母様でしょう。私の父は2人が相愛で一緒に住んでいたのでその女性と伯父は結婚していたのだと思っていたそうですが、籍は入れておらず事情があって一緒になれなかったと言っていたそうですが、その後誰とも付き合うことなくずっと1人でした。マリアンヌ様に湖畔でお会いした3年後に伯父は病で亡くなりました。あの時すでに病に侵されていてあの後、森から出ることが出来なくなっていましたから恐らくですが最後の挨拶をしていたのではと…」
「…お亡くなりになっていたのね…そうですか…だからあの時は母泣いていたんですね…」
「そんなに愛し合っていたのになぜ母は…いえ、逆ね!なぜ父は…魔力の相性で母を選んだとしても愛し合っている2人を引き裂いてまで母を娶りギスランの伯父様はなぜそれを承諾したのかしら?」
婚姻してもうすぐ1年、あと1年…そういえば2ヶ月後にお兄様がこちらに来ると手紙に書いてあったわ、お母様は、…来れないか…その前に私は…里帰り~なんて無理よね…。
お母様に会いたいわ、
懐かしい、幼い頃の夢
母と2人湖畔で過ごした最後となったあの日の夢を…あの日は…赤い髪の…お兄さんに遊んでもらい楽しい日だった。
そろそろ帰る時間になったと母の所に向かったが途中で足が止まった。
母が…泣いていた。お兄さんと同じ赤い髪の男の人の胸で…泣いていた。
あの頃はわからなかったが…今ならわかる…あの人はきっと…母の…N…愛するNだと…
あの日の母が今になって鮮明に思い出されてしまった。
初めて見た母の泣いている姿に子供ながらに動揺していた一緒にいたお兄さんがそっと抱きしめてくれてその暖かさにいつの間にか寝てしまっていたのだろう気がついたら自分の部屋のベットで寝ていた。
あの日を境に母は湖畔に行く事をやめてしまった。
普通なら既婚者である母が他の男性と会う事は許されないだろうが毎年、年に2回同じ場所で同じ時間に行っていた…おそらく父は知っている追跡魔法で常に母の場所を監視するほど執着していたから知らないはずがない。
その父が知っていて湖畔に行くことをあの男性に会うことを許していた?
なぜ?
この国にきて思いがけず充実した日々を送れていてすっかり忘れていたが久しぶりに見た夢のおかげで忘れていた輿入れ前の母の言葉を思い出した。
母の想いとあの言葉の意味そしてあの夢…その答えはこの指輪にある。
知りたいこの指輪に込められた意味を…母に会いたい。
そして知りたい。
__3日後__(マリアンヌ視点)
私はギスランとロイとメイいつものメンツである湖畔に来ていた。
敷物を広げ軽食を並べのんびりと景色を堪能しながらピクニック気分を味わっていた。
「あら、ギスラン、サンドウィッチを食べるのに手袋したままはダメよ!外して手を拭いてね!」
「ああ、そうですね」
そう言って手袋を外したその手に嵌められた指輪を見た私は咄嗟にギスランの手を取り指輪に触れた。
これは……間違いない…母の指輪と…同じ魔力を感じる。
そして指輪同士が…いえ、指輪についている魔法石が共鳴している。
2人を優しい魔力が包み込む……暖かくも切ない…なぜか自然と涙が溢れてしまった。
ギスランは優しく指で涙を拭ってくれ抱きしめてくれた。
いつの間にかロイとメイは離れたところで待機していた。
「ギスラン、あなた何か知っているの?その指輪は私の指輪と対になっているわね。なぜあなたがその指輪を持っているの?」
「これは11年前に伯父上に譲られた物なんです。…その…愛する人と…必ず巡り会えると…その時がくればわかると言われていたんです…実は…マリアンヌ様とは以前お会いしたことがあって…その時から…ずっと…マリアンヌ様をお慕いしていたんです。いつかあなたに想いを告げたいと思っていましたが、想いを告げる前にあなたは国王様と婚姻してしまい、ならせめてお側でお仕えしたいと専属騎士に志願しました。」
ギスランの告白に私は今顔が真っ赤になっているでしょう。
「ギ、ギスラン、以前に会った?……あ!赤い髪……もしかしてあなたあの時のお兄さん?」
「ええ、」
ギスランの好意は感じていたがまさか女性として慕ってくれていたなんて…改めて言葉にされてから私の鼓動は早くなり指輪の共鳴が先ほどより大きく感じる。
「ギ、ギスラン、ゆ、指輪が熱を持っているように感じるのだけど…これって…あの」
「…はい、私も感じます。非常に嬉しい反応なんですよ。お気づきですよね!お互いの想いに反応しているようです。だから伯父はその時がくればわかると言っていたのでしょう」
「そ、そうなのね…母もそんな事言っていたような気がするわ、……で、でも今はまだ書類上は…既婚者だから…言葉にするわけにはいかないけど…私もギスランと同じ想いです。恥ずかしいけど…こんなに共鳴されたらごまかしようがないわ」
「そうですね。然るべき日が来る時まで待ちます。その時が来たらマリアンヌ様、私の手を取って頂けますか?」
「ええ、勿論!」
ドキドキする胸をなんとか落ち着かせて私は気になっていた事を聞いた。
「ねぇ、ギスラン、あなたこの指輪のことどこまで知っているの?」
指輪の持ち主はわかった。そしてその関係もならばなぜ?
「詳しいことはわかりませんが私が知っているのはこの指輪は30年ほど前に伯父と恋人の魔道士が作った特別な指輪で当時叔父が住んでいた森で2人で5年ほど生活していたそうです。その魔道士とはマリアンヌ様のお母様でしょう。私の父は2人が相愛で一緒に住んでいたのでその女性と伯父は結婚していたのだと思っていたそうですが、籍は入れておらず事情があって一緒になれなかったと言っていたそうですが、その後誰とも付き合うことなくずっと1人でした。マリアンヌ様に湖畔でお会いした3年後に伯父は病で亡くなりました。あの時すでに病に侵されていてあの後、森から出ることが出来なくなっていましたから恐らくですが最後の挨拶をしていたのではと…」
「…お亡くなりになっていたのね…そうですか…だからあの時は母泣いていたんですね…」
「そんなに愛し合っていたのになぜ母は…いえ、逆ね!なぜ父は…魔力の相性で母を選んだとしても愛し合っている2人を引き裂いてまで母を娶りギスランの伯父様はなぜそれを承諾したのかしら?」
婚姻してもうすぐ1年、あと1年…そういえば2ヶ月後にお兄様がこちらに来ると手紙に書いてあったわ、お母様は、…来れないか…その前に私は…里帰り~なんて無理よね…。
お母様に会いたいわ、
応援ありがとうございます!
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