21 / 30
21 抱擁
しおりを挟む
深夜陛下とギスランが話をしていた事など知る由もないマリアンヌはいつも通りの時間にメイに支度を手伝ってもらい朝食をとるために迎えにきたギスランと共にダイニングへと向かった。
そこにはすでにランバートが席についていた。
「マリアンヌ様おはようございます。」
「おはよう、ランバート、あら?あなた1人なの?陛下はまだお休みなのかしら?まだお加減優れないの?」
前日顔色の悪いレインは食事中も気もそぞろで早々に床についていたはずだ、ここにいないということはまだ具合が悪いのかと心配したマリアンヌだった。
「いえ、体調は…ご心配には及びません、大丈夫です。陛下は…朝早くにここを立ち城に戻りました。ああ、勿論ゲートは使っていませんよ。あれの事は陛下は知りませんし、契約者以外使えませんしね!護衛もいますしそもそも陛下自身護衛要らない程お強いですから、ご心配には及びません。」
ランバートは深夜のレインとギスランのやり取りの内容は聞いてはいないがかなり憔悴していたレインを見る限り相当ギスランにやり込められたことが窺い知れた。
それと目の前の友人はマリアンヌに愛しいという自身の想いを一切隠す事のない態度で接している。…その態度の変化が彼の強い決意を感じさせた。
おそらく自分の想いを陛下に告げたのだろうと容易にわかった。
「そう、なの?それなら良いのだけれど、だいぶ顔色も悪かったでしょ、何より様子が変だったから気になっていたんだけど…公務でお疲れだったんでしょうね、いくら獣人が体力に自信あっても過信してはいけないわ!休養も大事だから、少しお休みいただいてもよかったんだけど…」
「ご心配いただきありがとうございます…今度陛下にも休むように言っておきますね!」
それから、他愛もない話をしながら朝食を済ませたマリアンヌはギスランと共に離宮の庭園の一角にに作った薬草園に散歩がてら向かった。
ゆっくりとした足取りでお互いの手を絡ませて、いわゆる恋人つなぎで体をピッタリ寄り添いながら歩いていた。
ギスランとは心を通わせていたがはっきりとは口にしていなかった事もあり、手を繋いで歩くことは多々あったがこれ程あからさまにベタつく事がなかったのでマリアンヌは少し恥ずかしさと戸惑いを感じていた。
「ギ、ギスラン?す、少し…近すぎない?」
恥ずかしさで頬を染めながらギスランを見上げながら立ち止まった。
「ん?そうかな?本当の近いっていうのはこういう事だろ?」
そう言いながらグッとマリアンヌを抱き寄せた。
「あ!、え?」
抱きしめられたマリアンヌの顔は身長差でギスランの胸の位置、ドキドキと早い鼓動が聞こえる。
(すごくドキドキする…この鼓動は?…私?…ギスラン?…どうしたのかしら?急にこんな…こんな…恥ずかしいけど…心地いい暖かい)
ギスランに抱きしめられドキドキしながらも無意識にマリアンヌもギスランの背中に腕を回していた。
どれくらいそうしていたのだろう、ほんのわずかな時間だがマリアンヌは幸せを感じていた。
抱きしめられたままのマリアンヌの耳元にギスランは唇を寄せ
_『愛してる』_
そう囁き頬にキスをした。
マリアンヌは耳を、頬を、首までも真っ赤にさせ潤んだ瞳で顔をあげギスランを見上げた。
「ギスラン……、」
ギスランはマリアンヌを抱きしめていた腕を緩め右手の親指でマリアンヌの唇をなぞり
「本当ならここに、したいのですが……今はまだ我慢します。…マリアンヌ様の離縁が成立するその日まで……その日がきたら…覚悟してください!私の愛は重いですよ。」
そう言ってマリアンヌの頬に手を当て優しい眼差しを向けおでこにキスを落とした。
マリアンヌはコツンとギスランの胸に額を当て小声で
_『ギスラン、愛してるわ』_
マリアンヌは今までは指輪を通してお互いの気持ちは伝わっていたがまだ自由の身ではなかった事もあり態度と“私も同じ気持ち“などと間接的にギスランに気持ちを伝えていた。
今、初めて直接“愛“を言葉にした。
今はまだレインと婚姻関係にあるマリアンヌはこの結婚は王命による政略結婚であったが、輿入れ当初レインが離縁を望んでいたので誓約書によりすんなり離縁できると思っていた。
だがギスランへの気持ちが募り自覚した最中にレインの告白を受け、離縁したくないと告げられた。
マリアンヌは誓約書通りに必ず離縁してもらうと強気にレインに告げたが果たして王族のしかも政略結婚でそれが可能なのかと不安があった。
兄も母も兄が即位したら迎えに行くと言ってくれていたが…レインが望んでくれなければ内心は離縁できないかもしれないと思っていた。
だが、今日はギスランの何かを決意した強い意志を感じマリアンヌも意志を固め気持ちを言葉にした。
マリアンヌは知らなかった、政略結婚と話を持ち掛けたが父はただマリアンヌの幸せの為にと結んだ縁だったことを…。
不器用な父が娘の幸せにと結んだ縁だったが父の思惑とは違った結果となったが喜んでくれている事を…。
マリアンヌは知らなかった、兄の訪問で今後の人生を大きく変える男たちがいることを…。
そこにはすでにランバートが席についていた。
「マリアンヌ様おはようございます。」
「おはよう、ランバート、あら?あなた1人なの?陛下はまだお休みなのかしら?まだお加減優れないの?」
前日顔色の悪いレインは食事中も気もそぞろで早々に床についていたはずだ、ここにいないということはまだ具合が悪いのかと心配したマリアンヌだった。
「いえ、体調は…ご心配には及びません、大丈夫です。陛下は…朝早くにここを立ち城に戻りました。ああ、勿論ゲートは使っていませんよ。あれの事は陛下は知りませんし、契約者以外使えませんしね!護衛もいますしそもそも陛下自身護衛要らない程お強いですから、ご心配には及びません。」
ランバートは深夜のレインとギスランのやり取りの内容は聞いてはいないがかなり憔悴していたレインを見る限り相当ギスランにやり込められたことが窺い知れた。
それと目の前の友人はマリアンヌに愛しいという自身の想いを一切隠す事のない態度で接している。…その態度の変化が彼の強い決意を感じさせた。
おそらく自分の想いを陛下に告げたのだろうと容易にわかった。
「そう、なの?それなら良いのだけれど、だいぶ顔色も悪かったでしょ、何より様子が変だったから気になっていたんだけど…公務でお疲れだったんでしょうね、いくら獣人が体力に自信あっても過信してはいけないわ!休養も大事だから、少しお休みいただいてもよかったんだけど…」
「ご心配いただきありがとうございます…今度陛下にも休むように言っておきますね!」
それから、他愛もない話をしながら朝食を済ませたマリアンヌはギスランと共に離宮の庭園の一角にに作った薬草園に散歩がてら向かった。
ゆっくりとした足取りでお互いの手を絡ませて、いわゆる恋人つなぎで体をピッタリ寄り添いながら歩いていた。
ギスランとは心を通わせていたがはっきりとは口にしていなかった事もあり、手を繋いで歩くことは多々あったがこれ程あからさまにベタつく事がなかったのでマリアンヌは少し恥ずかしさと戸惑いを感じていた。
「ギ、ギスラン?す、少し…近すぎない?」
恥ずかしさで頬を染めながらギスランを見上げながら立ち止まった。
「ん?そうかな?本当の近いっていうのはこういう事だろ?」
そう言いながらグッとマリアンヌを抱き寄せた。
「あ!、え?」
抱きしめられたマリアンヌの顔は身長差でギスランの胸の位置、ドキドキと早い鼓動が聞こえる。
(すごくドキドキする…この鼓動は?…私?…ギスラン?…どうしたのかしら?急にこんな…こんな…恥ずかしいけど…心地いい暖かい)
ギスランに抱きしめられドキドキしながらも無意識にマリアンヌもギスランの背中に腕を回していた。
どれくらいそうしていたのだろう、ほんのわずかな時間だがマリアンヌは幸せを感じていた。
抱きしめられたままのマリアンヌの耳元にギスランは唇を寄せ
_『愛してる』_
そう囁き頬にキスをした。
マリアンヌは耳を、頬を、首までも真っ赤にさせ潤んだ瞳で顔をあげギスランを見上げた。
「ギスラン……、」
ギスランはマリアンヌを抱きしめていた腕を緩め右手の親指でマリアンヌの唇をなぞり
「本当ならここに、したいのですが……今はまだ我慢します。…マリアンヌ様の離縁が成立するその日まで……その日がきたら…覚悟してください!私の愛は重いですよ。」
そう言ってマリアンヌの頬に手を当て優しい眼差しを向けおでこにキスを落とした。
マリアンヌはコツンとギスランの胸に額を当て小声で
_『ギスラン、愛してるわ』_
マリアンヌは今までは指輪を通してお互いの気持ちは伝わっていたがまだ自由の身ではなかった事もあり態度と“私も同じ気持ち“などと間接的にギスランに気持ちを伝えていた。
今、初めて直接“愛“を言葉にした。
今はまだレインと婚姻関係にあるマリアンヌはこの結婚は王命による政略結婚であったが、輿入れ当初レインが離縁を望んでいたので誓約書によりすんなり離縁できると思っていた。
だがギスランへの気持ちが募り自覚した最中にレインの告白を受け、離縁したくないと告げられた。
マリアンヌは誓約書通りに必ず離縁してもらうと強気にレインに告げたが果たして王族のしかも政略結婚でそれが可能なのかと不安があった。
兄も母も兄が即位したら迎えに行くと言ってくれていたが…レインが望んでくれなければ内心は離縁できないかもしれないと思っていた。
だが、今日はギスランの何かを決意した強い意志を感じマリアンヌも意志を固め気持ちを言葉にした。
マリアンヌは知らなかった、政略結婚と話を持ち掛けたが父はただマリアンヌの幸せの為にと結んだ縁だったことを…。
不器用な父が娘の幸せにと結んだ縁だったが父の思惑とは違った結果となったが喜んでくれている事を…。
マリアンヌは知らなかった、兄の訪問で今後の人生を大きく変える男たちがいることを…。
24
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
君は僕の番じゃないから
椎名さえら
恋愛
男女に番がいる、番同士は否応なしに惹かれ合う世界。
「君は僕の番じゃないから」
エリーゼは隣人のアーヴィンが子供の頃から好きだったが
エリーゼは彼の番ではなかったため、フラれてしまった。
すると
「君こそ俺の番だ!」と突然接近してくる
イケメンが登場してーーー!?
___________________________
動機。
暗い話を書くと反動で明るい話が書きたくなります
なので明るい話になります←
深く考えて読む話ではありません
※マーク編:3話+エピローグ
※超絶短編です
※さくっと読めるはず
※番の設定はゆるゆるです
※世界観としては割と近代チック
※ルーカス編思ったより明るくなかったごめんなさい
※マーク編は明るいです
愛があれば、何をしてもいいとでも?
篠月珪霞
恋愛
「おいで」と優しく差し伸べられた手をとってしまったのが、そもそもの間違いだった。
何故、あのときの私は、それに縋ってしまったのか。
生まれ変わった今、再びあの男と対峙し、後悔と共に苦い思い出が蘇った。
「我が番よ、どうかこの手を取ってほしい」
過去とまったく同じ台詞、まったく同じ、焦がれるような表情。
まるであのときまで遡ったようだと錯覚させられるほどに。
【本編完結】召喚? 誘拐の間違いでは?
篠月珪霞
恋愛
「…え」
まず聞こえたのは、成功だー!!といういくつもの歓声。それ以降は幾人もの声が混じりあい、何を言っているのか分からなかった。
私、白井瑠璃は、いつものように、出勤するために自宅のドアを開けただけだった。
いつものように、起床し、準備して、仕事が終われば帰宅し、そうした普通の、変わりない毎日を過ごすはずだった。
過去形になったこの日を、きっと忘れることはない。
【完結】最愛から2番目の恋
Mimi
恋愛
カリスレキアの第2王女ガートルードは、相手有責で婚約を破棄した。
彼女は醜女として有名であったが、それを厭う婚約者のクロスティア王国第1王子ユーシスに男娼を送り込まれて、ハニートラップを仕掛けられたのだった。
以前から婚約者の気持ちを知っていたガートルードが傷付く事は無かったが、周囲は彼女に気を遣う。
そんな折り、中央大陸で唯一の獣人の国、アストリッツァ国から婚姻の打診が届く。
王太子クラシオンとの、婚約ではなく一気に婚姻とは……
彼には最愛の番が居るのだが、その女性の身分が低いために正妃には出来ないらしい。
その事情から、醜女のガートルードをお飾りの妃にするつもりだと激怒する両親や兄姉を諌めて、クラシオンとの婚姻を決めたガートルードだった……
※ 『きみは、俺のただひとり~神様からのギフト』の番外編となります
ヒロインは本編では名前も出ない『カリスレキアの王女』と呼ばれるだけの設定のみで、本人は登場しておりません
ですが、本編終了後の話ですので、そちらの登場人物達の顔出しネタバレが有ります
王太子妃クラリスと王子たちの絆【完】
mako
恋愛
以前の投稿をブラッシュアップしました。
ランズ王国フリードリヒ王太子に嫁ぐはリントン王国王女クラリス。
クラリスはかつてランズ王国に留学中に品行不良の王太子を毛嫌いしていた節は
否めないが己の定めを受け、王女として変貌を遂げたクラリスにグリードリヒは
困惑しながらも再会を果たしその後王国として栄光を辿る物語です。
幸せな番が微笑みながら願うこと
矢野りと
恋愛
偉大な竜王に待望の番が見つかったのは10年前のこと。
まだ幼かった番は王宮で真綿に包まれるように大切にされ、成人になる16歳の時に竜王と婚姻を結ぶことが決まっていた。幸せな未来は確定されていたはずだった…。
だが獣人の要素が薄い番の扱いを周りは間違えてしまう。…それは大切に想うがあまりのすれ違いだった。
竜王の番の心は少しづつ追いつめられ蝕まれていく。
※設定はゆるいです。
【完結】魂の片割れを喪った少年
夜船 紡
恋愛
なぁ、あんた、番【つがい】って知ってるか?
そう、神様が決めた、運命の片割れ。
この世界ではさ、1つの魂が男女に分かれて産まれてくるんだ。
そして、一生をかけて探し求めるんだ。
それが魂の片割れ、番。
でもさ、それに気付くのが遅い奴もいる・・・
そう、それが俺だ。
ーーーこれは俺の懺悔の話だ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる