忘れられない思い

yoyo

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秘めた思い⑵

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「最近は、ずっと1人だね」

   まんぷく屋の店主、泰輔が厨房の片付けをしながら声をかける。もう、店は閉めていて、店内にはオレしかいない。

「あぁ……まあな……」

「真野くんは忙しいの?」

「どうかな……最近連絡してないし……」


   あれから2週間経つが、連絡できないでいた。
   今までも真野からご飯に誘われたことはなく、オレが連絡を取らないと、この2ヶ月の関わり嘘だったかのように、何もなかった。


「オレ、嫌われたかな……」

「嫌われてるようには見えなかったけどな。むしろ逆だと思うけど……。恋愛感情は置いておいても、お前に好意は持っていただろう。……いや……お前の気持ちと同じだと思うけどなぁ。お前はそういうの察するの鋭いし、何か感じなかったのか?」

「いや……まぁ……もしかしたら……とは思うことはあったけど、オレの自惚れかな……と……」

「お前も自分のことになると盲目なんだな」

「う……うるさい」



   泰輔は、オレの性癖について知っている。大学の頃、変な噂が立ちそうになった時、フォローしてくれたのがきっかけで、仲良くなった。泰輔の兄貴もゲイのようで、LGBTについても理解があった。
   今まで人との付き合いは、誰にも気づかれないように…と常に気を張って仮面を被っていたが、泰輔の前では素の自分でいられた。奥さんの夕花里さんにも、カミングアウトしていて、まんぷく屋は唯一オレの気の休まる場所だった。


「じゃあ、きっかけ作りに、これ誘ってみたら?」
   
   泰輔が1枚のチラシを渡してくる。

「B級グルメ祭?」

   チラシには、色々な地域のB級グルメのお店が集まると書いてある。

「真野くん、食べることが好きって言ってただろう。あと確か、作ることも好きって言ってなかったっけ?」


   チラシをじっと見て、考え込む。確かにこのまま、うやむやにはしたくなかった。でも、自分の強引な行動が真野を困らせていたら……とストップをかける自分もいて「そうだな……」と力なく答える。
   その時、ピコンとケータイが鳴って、メッセージが入る。

「あ……」

   差出人の名前を見て、咄嗟に声が出てしまう。


「お前も相当わかりやすいな。よかったな連絡が来て」

   ニヤニヤしながら、泰輔がオレを見てくる。メッセージを見ながら、オレは一体どんな顔になってたんだろうか……。
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