19 / 95
キャンプ⑶
しおりを挟む
料理の下準備もでき、ビールで乾杯する。こんな明るいうちから飲むのは、背徳感があったけど、乾いた喉に冷たいビールは物凄く美味しい。さっき火をつけた炭火で、お肉や野菜を焼いたり、アルミのお皿にチーズを入れて網の上で溶かす、チーズフォンデュも泰輔さんは用意していた。
「キャンプでチーズフォンデュが食べれるとは思わなかったです」
「今回は、真野くんがいたから準備が早くできたよ。夜はダッチオーブンで、チキンティッカを作るから楽しみにしててよー」
けっこうお腹はいっぱいだったけど、泰輔さんにそう言われて、ゴクッと唾を飲み込んでしまう。
「よし、じゃあ真野。晩飯のためにも、ちょっと散歩でも行くか」
「おー行ってこい、行ってこい。ちょっと行くと川もあるし、森の散策道もあるし楽しめると思うよ」
「泰輔さん達は行かないんですか?」
「んー。動きたくね~。ここでまったりしてるわ」
泰輔さんが言っていたように、少し歩くと水が流れる音と子ども達がはしゃぐ声が聞こえてきて、流れが緩やかな川が見えた。川は浅いようで、子ども達が中に入って遊んでいる。ボクも子ども達に混じって川に近づき、手を入れてみると、とっても冷たくて気持ちがいい。水も澄んでいて、チラホラと魚の姿も見える。
「おぉー、気持ちい……」
先生もすぐ隣に来て、川に手を入れていた。
パシャ……
突然、顔に水しぶきが飛んでくる。
「つめたっ……」
「あはっ」
先生は、いたずらっ子のように笑って、ボクの顔に軽く水をかけてくる。
「もう。何するんですか」
そう言ってやり返そうとすると、サッと逃げられる。先生とご飯を食べるようになって、意外にも先生はこういう子どもっぽいいたずらをすることがわかった。
「もう!!」
ボクは屈んで、さっきよりも多く水をすくい、先生にかけようとしたとき、後ろにドンっと何かが思いっきりぶつかって来た。もともと足場が悪かったこともあり、思いっきり態勢を崩してしまう。
「真野!!」
先生が支えようとしてくれたようだけど、先生も川の砂利に足を取られて、そのまま2人で倒れこむ。
バチャン!!
ボクは先生に覆いかぶさる形になり、ボクの顔と先生の胸との距離が10㎝ほどだ。
「ぃっ…た……」
「うわっ。ごめんなさい」
慌てて、先生から離れる。明らかに先生の方が、被害が大きく、川に思いっきり尻餅をついている形になっているため、先生のハーフパンツはべっちゃり濡れている。
「あーあ。やばいなこれ……。パンツまでぐっしょりだ」
「先生、つかまって!」
ボクは咄嗟に、先生に手を伸ばして引っ張り上げた。先生は起き上がると、今度は、掴んでいたボクの手を引っ張り引き寄せる。
「大丈夫だから……。だからそんな顔するな」
え…え…え…え……
先生の声が耳元で聞こえてくる。
ボク、そんな変な顔してたかな。
でもでも、これは反則だー。
ドキドキドキドキ……
「ご……ごめんなさい……」
か細い子どもの声に、スッと何事もなかったかのように先生は離れる。小学生くらいの男の子が、オロオロとした顔で謝っている。どうやら、先ほどの衝撃はこの子がぶつかって来たようだった。
「あぁ、大丈夫だ。ただ!今度からはちゃんと周りを見ながら走るんだぞ」
「はい……ごめんなさい」
「このまま戻ると泰輔に何を言われるか、わからんからな。ちょっと休んで乾かしていくか」
そう言うと、少し大きめな石の上に座り始める。
「真野にちょっといたずらしだけなのに、倍以上になって返ってきたな」
先生は笑って、隣に座るように隣の石を指差した。
「キャンプでチーズフォンデュが食べれるとは思わなかったです」
「今回は、真野くんがいたから準備が早くできたよ。夜はダッチオーブンで、チキンティッカを作るから楽しみにしててよー」
けっこうお腹はいっぱいだったけど、泰輔さんにそう言われて、ゴクッと唾を飲み込んでしまう。
「よし、じゃあ真野。晩飯のためにも、ちょっと散歩でも行くか」
「おー行ってこい、行ってこい。ちょっと行くと川もあるし、森の散策道もあるし楽しめると思うよ」
「泰輔さん達は行かないんですか?」
「んー。動きたくね~。ここでまったりしてるわ」
泰輔さんが言っていたように、少し歩くと水が流れる音と子ども達がはしゃぐ声が聞こえてきて、流れが緩やかな川が見えた。川は浅いようで、子ども達が中に入って遊んでいる。ボクも子ども達に混じって川に近づき、手を入れてみると、とっても冷たくて気持ちがいい。水も澄んでいて、チラホラと魚の姿も見える。
「おぉー、気持ちい……」
先生もすぐ隣に来て、川に手を入れていた。
パシャ……
突然、顔に水しぶきが飛んでくる。
「つめたっ……」
「あはっ」
先生は、いたずらっ子のように笑って、ボクの顔に軽く水をかけてくる。
「もう。何するんですか」
そう言ってやり返そうとすると、サッと逃げられる。先生とご飯を食べるようになって、意外にも先生はこういう子どもっぽいいたずらをすることがわかった。
「もう!!」
ボクは屈んで、さっきよりも多く水をすくい、先生にかけようとしたとき、後ろにドンっと何かが思いっきりぶつかって来た。もともと足場が悪かったこともあり、思いっきり態勢を崩してしまう。
「真野!!」
先生が支えようとしてくれたようだけど、先生も川の砂利に足を取られて、そのまま2人で倒れこむ。
バチャン!!
ボクは先生に覆いかぶさる形になり、ボクの顔と先生の胸との距離が10㎝ほどだ。
「ぃっ…た……」
「うわっ。ごめんなさい」
慌てて、先生から離れる。明らかに先生の方が、被害が大きく、川に思いっきり尻餅をついている形になっているため、先生のハーフパンツはべっちゃり濡れている。
「あーあ。やばいなこれ……。パンツまでぐっしょりだ」
「先生、つかまって!」
ボクは咄嗟に、先生に手を伸ばして引っ張り上げた。先生は起き上がると、今度は、掴んでいたボクの手を引っ張り引き寄せる。
「大丈夫だから……。だからそんな顔するな」
え…え…え…え……
先生の声が耳元で聞こえてくる。
ボク、そんな変な顔してたかな。
でもでも、これは反則だー。
ドキドキドキドキ……
「ご……ごめんなさい……」
か細い子どもの声に、スッと何事もなかったかのように先生は離れる。小学生くらいの男の子が、オロオロとした顔で謝っている。どうやら、先ほどの衝撃はこの子がぶつかって来たようだった。
「あぁ、大丈夫だ。ただ!今度からはちゃんと周りを見ながら走るんだぞ」
「はい……ごめんなさい」
「このまま戻ると泰輔に何を言われるか、わからんからな。ちょっと休んで乾かしていくか」
そう言うと、少し大きめな石の上に座り始める。
「真野にちょっといたずらしだけなのに、倍以上になって返ってきたな」
先生は笑って、隣に座るように隣の石を指差した。
2
あなたにおすすめの小説
イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話
タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。
瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。
笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。
溺愛前提のちょっといじわるなタイプの短編集
あかさたな!
BL
全話独立したお話です。
溺愛前提のラブラブ感と
ちょっぴりいじわるをしちゃうスパイスを加えた短編集になっております。
いきなりオトナな内容に入るので、ご注意を!
【片思いしていた相手の数年越しに知った裏の顔】【モテ男に徐々に心を開いていく恋愛初心者】【久しぶりの夜は燃える】【伝説の狼男と恋に落ちる】【ヤンキーを喰う生徒会長】【犬の躾に抜かりがないご主人様】【取引先の年下に屈服するリーマン】【優秀な弟子に可愛がられる師匠】【ケンカの後の夜は甘い】【好きな子を守りたい故に】【マンネリを打ち明けると進み出す】【キスだけじゃあ我慢できない】【マッサージという名目だけど】【尿道攻めというやつ】【ミニスカといえば】【ステージで新人に喰われる】
------------------
【2021/10/29を持って、こちらの短編集を完結致します。
同シリーズの[完結済み・年上が溺愛される短編集]
等もあるので、詳しくはプロフィールをご覧いただけると幸いです。
ありがとうございました。
引き続き応援いただけると幸いです。】
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
リスタート 〜嫌いな隣人に構われています〜
黒崎サトウ
BL
男子大学生の高梨千秋が引っ越したアパートの隣人は、生涯許さないと決めた男であり、中学の頃少しだけ付き合っていた先輩、柳瀬英司だった。
だが、一度鉢合わせても英司は千秋と気づかない。それを千秋は少し複雑にも思ったが、これ好都合と英司から離れるため引越しを決意する。
しかしそんな時、急に英司が家に訪問してきて──?
年上執着×年下強気
二人の因縁の恋が、再始動する。
*アルファポリス初投稿ですが、よろしくお願いします。
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる