17 / 48
辺境の地で
ひとつ上の経験※
しおりを挟む
朝目覚めると、僕は素っ裸だった。けれどシーツは気持ちの良い新しいもので、昨夜の指南での痴態などベッドの上には何の痕跡も無かった。けれど身動きすると、普段しない体勢をしたせいか身体のあちこちが筋肉痛だ。
僕は疲れて眠ってしまったから、アランはきっと僕を起こさない様に気を遣って部屋を整えて出て行ったに違いない。寝落ちしてしまったのは、少なくともマリーよりも快楽に堕とされたせいだ。
アランが言った通り、男の指南の方がより深くなすべき事を知っていた。アランの長い指で僕の中をかき混ぜられた時、僕はその強烈な刺激に震えてしまった。
マリーの時はじわじわと高まる様な甘い気持ち良さだったのに、アランの指は一気に高めたり緩ませたりと、僕を翻弄した。今考えれば洗浄の確認をされたあの湯浴みの時から、アランは僕を快楽で責め立てていた。
実際立っていられなくなってしまって、アランに抱き上げられてしまったのは僕の黒歴史の一部になるだろう。
けれどもまるで乙女のように軽々と抱き上げられた時、その逞しい力強さに僕は絶対的な安心感を感じた。一方で僕自身が誰かをそうする事が出来る日が来ることはないかもしれないと、少し寂しくも思った。
マリーの言葉を借りれば僕は征服される者であって、良い面を見れば窪みを持つ女の様に愛される者なのだ。
まさにベッドでアランに、僕は文字通りそれを体現させられたのでは?
ローレンスの様に、アランは僕に唇を這わして舌でくすぐった。首や耳を少し荒い息遣いと共に舌でなぞられて、僕は身体をしならせて呻いた。
「ああ、アンドレ様は敏感でいらっしゃる…。そしてこのきめ細やかなしっとりと指に張り付くような肌は、男も女も魅了します…。」
そうぶつぶつ言いながら、アランは僕の感じやすい胸の先端を指で摘んだ。分かりやすく僕の股間がひくついて、アランはそれを触れた身体で感じたのだろう。
僕にのしかかって身体を押し付けると、硬くなったお互いのそれを揺さぶった。
ローレンスの時もそうやって快楽を得たものだけど、アランのそれはいかんせん重量があり過ぎた。香油もついているのか、ぬるつきと共にアランの竿に撫でられ、押し潰された僕のそれが太刀打ち出来る筈も無かった。
僕は高められた興奮から逃れようと仰け反ったけれど、出るのは声ばかりでアランにガッチリ抑えられて自由が効かない。
「アラン…、もうダメ…!」
するとアランはうっそりと微笑んで掠れた声で言った。
「少しペースを落としましょう。まだまだ序の口ですからね。」
そう言うと僕の唇に軽く触れるだけの口づけをしてきた。身体は遠慮がないのに、なぜ口づけはそうなのだろうと僕は不思議に思った。そしてその時僕も一矢報いる事ができるのだと思いついて、アランの首を引き寄せて舌を伸ばした。
アランは僕にさせたい様にさせて、かと言って僕との粘膜を感じ合う口づけを受け入れないわけでも無かった。
僕がコントロール出来る口づけは楽しかったけれど、同時に下半身を押し付けられて揺さぶられてしまっては、僕はあっという間に集中力を無くしてしまった。
「アンドレ様は口づけがお上手ですね。ローレンス様と練習なさったのでしょうか。では私が大人の口づけを教えて差し上げます。」
アランはそう言うと、顔を傾けて僕の口の中を文字通り侵略して来た。長い舌で経験のない顎上を撫でられて、僕はビクビクと身体を疼かせた。
元々舌を絡ませる口づけは好きだったけれど、こんな風に口の中を蹂躙された経験は無かった。圧倒的な力強さで僕の舌を翻弄して、口の中の粘膜を丹念に撫でられて、僕は瞼がピクピク震えるのを自覚した。
「…アンドレ様は良い生徒でらっしゃる。直ぐに上手くなります。…今度は反対になって同じ様にしてみましょう。」
そう言うとアランはベッドに仰向けになった。
いつもより灯りを多くしてあるせいで、アランの全裸が良く見えた。鍛えられた筋肉が陰影を作ってまるで彫刻の様だった。そして存在感を感じていた股間は張り詰めていて、その赤く充血した様は卑猥で異様にさえ感じられた。
僕は思わずぬめって光るアランの竿を指でなぞって囁いた。
「アランが僕ぐらいの時も、やっぱり大きかったの?」
僕自身のモノは身体に見合った大きさだと思っていたので、そんな質問をしてしまったのだと思う。するとアランは僕の指の動きに合わせて息を薄く吐きながら軋んだ声で呟いた。
「…そう言われてみると、アンドレ様よりは大きかったかもしれませんね。…っ。そもそも私は昔から人より身体が大きかったですから。…こう言った事も早熟で、人知れず悩んでいました。
友人達がまだ無精も無い頃、私は毎朝ため息をついてました。…やはり年上の遊び仲間が私の悩みを解決してくれたんです。」
僕はアランの若い頃の話に思わずのめり込んで、手の中でビクビクと蠢くそれを楽しみながら笑って言った。
「そうなの?僕と一緒だね。僕もローレンスに色々教えてもらって随分助かったんだ。本当はアランに聞けばよかったのかもしれないけど、恥ずかしくて…。
でも私が大人になってもこんな風にはならない事だけは分かったよ。ふふ、こればっかりは生まれ持った資質みたいなものでしょう?」
するとアランは僕が悪戯している手を掴んで、息を吐き出して言った。
「…アンドレ様は余裕があるようなので、先に進みましょうか。むしろ私が持たない気がして来ました。指南役としてそれは譲れませんから。」
僕は疲れて眠ってしまったから、アランはきっと僕を起こさない様に気を遣って部屋を整えて出て行ったに違いない。寝落ちしてしまったのは、少なくともマリーよりも快楽に堕とされたせいだ。
アランが言った通り、男の指南の方がより深くなすべき事を知っていた。アランの長い指で僕の中をかき混ぜられた時、僕はその強烈な刺激に震えてしまった。
マリーの時はじわじわと高まる様な甘い気持ち良さだったのに、アランの指は一気に高めたり緩ませたりと、僕を翻弄した。今考えれば洗浄の確認をされたあの湯浴みの時から、アランは僕を快楽で責め立てていた。
実際立っていられなくなってしまって、アランに抱き上げられてしまったのは僕の黒歴史の一部になるだろう。
けれどもまるで乙女のように軽々と抱き上げられた時、その逞しい力強さに僕は絶対的な安心感を感じた。一方で僕自身が誰かをそうする事が出来る日が来ることはないかもしれないと、少し寂しくも思った。
マリーの言葉を借りれば僕は征服される者であって、良い面を見れば窪みを持つ女の様に愛される者なのだ。
まさにベッドでアランに、僕は文字通りそれを体現させられたのでは?
ローレンスの様に、アランは僕に唇を這わして舌でくすぐった。首や耳を少し荒い息遣いと共に舌でなぞられて、僕は身体をしならせて呻いた。
「ああ、アンドレ様は敏感でいらっしゃる…。そしてこのきめ細やかなしっとりと指に張り付くような肌は、男も女も魅了します…。」
そうぶつぶつ言いながら、アランは僕の感じやすい胸の先端を指で摘んだ。分かりやすく僕の股間がひくついて、アランはそれを触れた身体で感じたのだろう。
僕にのしかかって身体を押し付けると、硬くなったお互いのそれを揺さぶった。
ローレンスの時もそうやって快楽を得たものだけど、アランのそれはいかんせん重量があり過ぎた。香油もついているのか、ぬるつきと共にアランの竿に撫でられ、押し潰された僕のそれが太刀打ち出来る筈も無かった。
僕は高められた興奮から逃れようと仰け反ったけれど、出るのは声ばかりでアランにガッチリ抑えられて自由が効かない。
「アラン…、もうダメ…!」
するとアランはうっそりと微笑んで掠れた声で言った。
「少しペースを落としましょう。まだまだ序の口ですからね。」
そう言うと僕の唇に軽く触れるだけの口づけをしてきた。身体は遠慮がないのに、なぜ口づけはそうなのだろうと僕は不思議に思った。そしてその時僕も一矢報いる事ができるのだと思いついて、アランの首を引き寄せて舌を伸ばした。
アランは僕にさせたい様にさせて、かと言って僕との粘膜を感じ合う口づけを受け入れないわけでも無かった。
僕がコントロール出来る口づけは楽しかったけれど、同時に下半身を押し付けられて揺さぶられてしまっては、僕はあっという間に集中力を無くしてしまった。
「アンドレ様は口づけがお上手ですね。ローレンス様と練習なさったのでしょうか。では私が大人の口づけを教えて差し上げます。」
アランはそう言うと、顔を傾けて僕の口の中を文字通り侵略して来た。長い舌で経験のない顎上を撫でられて、僕はビクビクと身体を疼かせた。
元々舌を絡ませる口づけは好きだったけれど、こんな風に口の中を蹂躙された経験は無かった。圧倒的な力強さで僕の舌を翻弄して、口の中の粘膜を丹念に撫でられて、僕は瞼がピクピク震えるのを自覚した。
「…アンドレ様は良い生徒でらっしゃる。直ぐに上手くなります。…今度は反対になって同じ様にしてみましょう。」
そう言うとアランはベッドに仰向けになった。
いつもより灯りを多くしてあるせいで、アランの全裸が良く見えた。鍛えられた筋肉が陰影を作ってまるで彫刻の様だった。そして存在感を感じていた股間は張り詰めていて、その赤く充血した様は卑猥で異様にさえ感じられた。
僕は思わずぬめって光るアランの竿を指でなぞって囁いた。
「アランが僕ぐらいの時も、やっぱり大きかったの?」
僕自身のモノは身体に見合った大きさだと思っていたので、そんな質問をしてしまったのだと思う。するとアランは僕の指の動きに合わせて息を薄く吐きながら軋んだ声で呟いた。
「…そう言われてみると、アンドレ様よりは大きかったかもしれませんね。…っ。そもそも私は昔から人より身体が大きかったですから。…こう言った事も早熟で、人知れず悩んでいました。
友人達がまだ無精も無い頃、私は毎朝ため息をついてました。…やはり年上の遊び仲間が私の悩みを解決してくれたんです。」
僕はアランの若い頃の話に思わずのめり込んで、手の中でビクビクと蠢くそれを楽しみながら笑って言った。
「そうなの?僕と一緒だね。僕もローレンスに色々教えてもらって随分助かったんだ。本当はアランに聞けばよかったのかもしれないけど、恥ずかしくて…。
でも私が大人になってもこんな風にはならない事だけは分かったよ。ふふ、こればっかりは生まれ持った資質みたいなものでしょう?」
するとアランは僕が悪戯している手を掴んで、息を吐き出して言った。
「…アンドレ様は余裕があるようなので、先に進みましょうか。むしろ私が持たない気がして来ました。指南役としてそれは譲れませんから。」
268
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ずっと好きだった幼馴染の結婚式に出席する話
子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき
「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。
そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。
背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。
結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。
「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」
誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。
叶わない恋だってわかってる。
それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。
君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。
恋人ごっこはおしまい
秋臣
BL
「男同士で観たらヤっちゃうらしいよ」
そう言って大学の友達・曽川から渡されたDVD。
そんなことあるわけないと、俺と京佐は鼻で笑ってバカにしていたが、どうしてこうなった……俺は京佐を抱いていた。
それどころか嵌って抜け出せなくなった俺はどんどん拗らせいく。
ある日、そんな俺に京佐は予想外の提案をしてきた。
友達か、それ以上か、もしくは破綻か。二人が出した答えは……
悩み多き大学生同士の拗らせBL。
「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」
星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。
ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。
番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。
あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、
平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。
そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。
――何でいまさら。オメガだった、なんて。
オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。
2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。
どうして、いまさら。
すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。
ハピエン確定です。(全10話)
2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。
初夜の翌朝失踪する受けの話
春野ひより
BL
家の事情で8歳年上の男と結婚することになった直巳。婚約者の恵はカッコいいうえに優しくて直巳は彼に恋をしている。けれど彼には別に好きな人がいて…?
タイトル通り初夜の翌朝攻めの前から姿を消して、案の定攻めに連れ戻される話。
歳上穏やか執着攻め×頑固な健気受け
生き急ぐオメガの献身
雨宮里玖
BL
美貌オメガのシノンは、辺境の副将軍ヘリオスのもとに嫁ぐことになった。
実はヘリオスは、昔、番になろうと約束したアルファだ。その約束を果たすべく求婚したのだが、ヘリオスはシノンのことなどまったく相手にしてくれない。
こうなることは最初からわかっていた。
それでもあなたのそばにいさせてほしい。どうせすぐにいなくなる。それまでの間、一緒にいられたら充分だ——。
健気オメガの切ない献身愛ストーリー!
【完結】偽装結婚の代償〜リュシアン視点〜
伽羅
BL
リュシアンは従姉妹であるヴァネッサにプロポーズをした。
だが、それはお互いに恋愛感情からくるものではなく、利害が一致しただけの関係だった。
リュシアンの真の狙いとは…。
「偽装結婚の代償〜他に好きな人がいるのに結婚した私達〜」のリュシアン視点です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる