異世界転移が決まってる僕、あと十年で生き抜く力を全部そろえる

谷川 雅

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第5部 第14話 世界合意――四河峡谷国際憲章

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円卓に集う世界
 四河峡谷を巡る一連の緊張は、一夜にして世界の課題となった。
 だが同時に――
 それは、世界が初めて「争わずに未知と向き合う」機会でもあった。
 分水国・ミズハラの大議場。
 五大国、神聖連合、そして分水国の代表が、同じ円卓についた。
 かつてなら、考えられなかった光景だ。
________________________________________
📜 国際憲章の起草
 ユリウスが読み上げる。
「――これより、《四河峡谷国際憲章》の草案を提示します」
 内容は、明確だった。
1. 四河峡谷は世界共同の聖域とする
2. いかなる国も軍事利用を行わない
3. 水門の研究は国際共同・完全公開とする
4. 門の起動・接触は二重三重の合意を必要とする
5. 分水国は管理責任国として調整役を担う
 議場にざわめきが広がる。
________________________________________
⚖️ 神聖連合の最終判断
 司祭エルディアが立ち上がった。
「神聖連合は――
 この憲章に、条件付きで賛同します」
 一瞬、空気が張りつめる。
「条件とは?」
 陽介が静かに問う。
「“門を開く意思を持つ者は、
 その代償を一人で背負わない仕組みを作ること”」
 紬が小さく頷いた。
「……世界全体で、責任を共有する。
 それが条件ですね」
「はい。
 もはや、誰か一人を“異端”として背負わせる時代ではありません」
 その言葉に、議場の空気が変わった。
________________________________________
🤝 合意の瞬間
 最初に署名したのは、サルバン帝国のレオネル公爵。
 次いでエルマーレ王女、商連邦議長、ドラキナ将軍。
 最後に――
 司祭エルディアが静かに署名した。
 羊皮紙に並ぶ署名。
 それは武器ではなく、言葉で結ばれた同盟だった。
________________________________________
🌅 陽介の声明
 署名が終わり、陽介は壇上に立った。
「この憲章は、完璧ではありません。
 ですが――」
 視線を巡らせる。
「恐れを理由に争うより、
 理解のために集う世界を、私たちは選びました」
 紬が隣に立つ。
「水門は“帰るための扉”かもしれない。
 でも今は――
 この世界が前へ進むための鏡です」
 人々は静かに耳を傾けていた。
________________________________________
🌱 分水国の立ち位置
 会議後、十領主が集まる。
「先生……
 分水国、完全に“世界の調整役”になりましたね」
 トマスが少し緊張した笑みを浮かべる。
「責任は重いけど……
 俺たちで支えればいい」
 カティアが肩を叩く。
 陽介は穏やかに言った。
「俺たちは“王”じゃない。
 “中心”でもない」
 紬が続ける。
「ただ、水が分かれて流れる場所――
 分水であり続けるだけ」
________________________________________
🌌 静かな夜――水門の余韻
 その夜、陽介と紬は城の屋上から星を見ていた。
「……第五部、長かったな」
 陽介がぽつりと呟く。
「ええ。でも――
 ようやく“世界と向き合う段階”は終わった気がする」
 遠く、四河峡谷の方向に淡い光が瞬いた。
 門は、何も語らない。
 ただ、待っている。
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