最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷

文字の大きさ
46 / 132

第46話 シャルの故郷へ

しおりを挟む
 その日は一通りの授業を見学すると、屋敷へと帰ることにした。
あまり目立つような事があったら、生徒たちも授業に集中出来ないだろう。

「そう言えば、シャルもだいぶ強くなったよな」
「そうですね。あの成長スピードには驚かされます」
「だよな。そろそろいいかもしれないな」

 樹とアリアは帰り道を歩きながらそんな会話をしていた。
樹の言う『そろそろいい』はシャルを故郷、元エルフの里へ連れていくということを意味していた。

「ただいまー」
「ただいま戻りました」
「おかえりなさいませ」

 玄関を開けて屋敷に入るとセザールが出迎えてくれた。

「おう、シャルはどこに居るか分かるか?」
「はい、確か夕食の準備をしていると思います」
「そうか、ありがとう。なら、夕食の時にでも話してみるか」
「そうですね」

 樹はそうアリアと話すと自分の部屋へと向かった。

「旦那様、夕食の支度が出来ました」

 シャルが部屋をノックする音で目が覚めた。
どうやら寝てしまっていたらしい。

「分かった。すぐ行くよ」

 そう返事をすると樹はリビングへと向かった。

「お、今日も美味そうだな。じゃあ、頂くとしようか」

 綾瀬家では使用人も含めてみんなで食事をすることになっている。

「「「「いただきます」」」」

 こうして、食事が開始される。

「なあ、シャル」

 樹が食事を終えると口を開いた。

「はい、何でしょうか」
「明日辺り、エルフの里にお前を連れていこうと思っている。いいか?」
「ほ、本当ですか?」
「ああ、シャルもだいぶ強くなったしな。アリアもそう思うだろ?」
「はい、樹さまの言う通りだと思います」
「あ、ありがとうございます」

 シャルは立ち上がると勢いよく頭を下げた。

「おいおい、頭上げろよ。シャルの努力なんだから」
「いえ、私一人ではここまで強くなれませんでした。旦那様やアリアさんの教えがあったからこそここまで来れました」
「そう言って貰えてうれしいよ。でも、シャルが頑張ったのは確かだ」
「そうですよ。私も樹さまも見ていましたから。シャルさんが仕事終わりに一人で頑張っているのを」
「し、知ってたんですか!?」

 シャルは恥ずかしそうに俯いた。

「邪魔したら悪いと思って言わなかったんだがな」

 そう言って樹とアリアは微笑んだ。

「それじゃあ、明日行ってみるとしようか」
「はい、お願いします」
「アリアもそれでいいか?」
「はい、私は構いませんよ」
「じゃあ、皆、今日は明日に備えてよく寝るようにね」

 そう言うと樹は自分の部屋に戻った。

「さっき寝ちゃったからあんまり寝付けないなぁ」

 そんなことを考えながら樹はベッドの上でゴロゴロしていた。

 翌朝、いつもよりスッキリ目が覚めた。

「やっぱ、しっかり寝ると違うなぁ」

 そんな事を呟きながら階段を降りるとシャルとアリアは準備が終わっているようだった。

「遅いですよ! 旦那様!」
「すまん、すまん。じゃあ、行くか!」
「「はい!」」

 こうして樹たちはシャルの故郷、エルフの里へと向かうべく屋敷を後にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

処理中です...