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4 未来の宰相
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国王陛下が本当は高官になってほしかったというアリオードとは、ノマーリンの十歳上の長兄で公爵家の後継である。優秀であったので高官になることを望む声が多かったが、本人は宰相の職より領地の繁栄させることを希望し、王城務めをせずに妻と子とともに領地の館で暮らし、領地内政に勤しんでいる。
社交もギリギリまで出たくないと、公爵の名は未だに継いでいない。しかし、バザジール公爵が宰相の傍らに領地経営を行っていた頃より確実に繁栄しているので、バザジール公爵も爵位譲渡を急いではいない。
アリオードが領地経営を始めてすでに十年。レンエールとノマーリンとの婚約も十年だ。
レンエールはバザジール公爵家との繋がりが切れるのかと焦った。バザジール公爵が反旗を翻せば、国は二分する。それほど力を持った公爵家である。
「で、では、この繋がりは……」
レンエールは自分の責任で王家とバザジール公爵家の関係に亀裂が入り、己の失態となることを危惧した。
「外務局に勤める次男が隣国より帰国し、政務局に勤めることになりました」
バザジール公爵は冷たく言い放つ。ノマーリンが父親を肘で小さく小突いた。そんな様子を両陛下は優しく見ていたが、両陛下の隣に座るレンエールは気が付かない。
バザジール公爵家次男ガダナは、たっての希望で外務局に勤め、在留外交官として隣国での生活はすでに五年となっている。妻も隣国の侯爵家から次女を娶った。それもあって、バザジール公爵は本音はガダナをこの国に戻すことは躊躇っている。
「ガダナが次期宰相を目指してくれることになったのだ」
国王陛下の追加説明にレンエールは目を見開いた。
「デゾランが宰相になるのではないのですか?」
デゾラン・メラー侯爵家次男はレンエールの側近の一人で、学園でもクラスメートでレンエールにとって気の置けない友人の一人である。ということは、サビマナの取り巻きの一人であるということだ。
デラゾンは学業は大変優秀で成績はいつも首席である。レンエールが国王になるときには宰相として片腕になると本人もそして周りもそう思っていた。
「お前にしっかりと注意できない者を宰相にはできない」
国王陛下は厳しい顔をしていた。
レンエールは国王陛下の言っている意味をすぐには理解できなかった。宰相とは政策を考え国王に進言する者で、国王のプライバシーにまで口を出す必要があるとは思っていないからだ。
「ニールデン―バザジール公爵―は、私に厳しいことも忠言できるから宰相であるのだ。宰相の意見も聞けぬようでは、国王は独裁者となってしまう」
「陛下。流石に名前呼びはここではお控えください」
バザジール公爵が苦笑いした。
「今日は無礼講だ。よかろう? ニールデンも私と二人の時の口調で構わんぞ」
国王陛下がニヤリと笑う。二人の仲の良さが伺えた。
「それは遠慮します。娘への威厳もありますから」
国王陛下に向かって『控えろ』や『遠慮する』と言える者はなかなかいないので、充分に二人の関係は想像できた。
「それよりも、あとは王家でお話し合いください。我々はこれで失礼します」
「相分かった」
バザジール公爵とノマーリンはレンエールに一瞥することもなく下がっていった。
二人が退室すると両陛下は大きくため息をついた。
「私はっ! デゾランの話を聞くことができます!」
レンエールが慌てて口に出した。
社交もギリギリまで出たくないと、公爵の名は未だに継いでいない。しかし、バザジール公爵が宰相の傍らに領地経営を行っていた頃より確実に繁栄しているので、バザジール公爵も爵位譲渡を急いではいない。
アリオードが領地経営を始めてすでに十年。レンエールとノマーリンとの婚約も十年だ。
レンエールはバザジール公爵家との繋がりが切れるのかと焦った。バザジール公爵が反旗を翻せば、国は二分する。それほど力を持った公爵家である。
「で、では、この繋がりは……」
レンエールは自分の責任で王家とバザジール公爵家の関係に亀裂が入り、己の失態となることを危惧した。
「外務局に勤める次男が隣国より帰国し、政務局に勤めることになりました」
バザジール公爵は冷たく言い放つ。ノマーリンが父親を肘で小さく小突いた。そんな様子を両陛下は優しく見ていたが、両陛下の隣に座るレンエールは気が付かない。
バザジール公爵家次男ガダナは、たっての希望で外務局に勤め、在留外交官として隣国での生活はすでに五年となっている。妻も隣国の侯爵家から次女を娶った。それもあって、バザジール公爵は本音はガダナをこの国に戻すことは躊躇っている。
「ガダナが次期宰相を目指してくれることになったのだ」
国王陛下の追加説明にレンエールは目を見開いた。
「デゾランが宰相になるのではないのですか?」
デゾラン・メラー侯爵家次男はレンエールの側近の一人で、学園でもクラスメートでレンエールにとって気の置けない友人の一人である。ということは、サビマナの取り巻きの一人であるということだ。
デラゾンは学業は大変優秀で成績はいつも首席である。レンエールが国王になるときには宰相として片腕になると本人もそして周りもそう思っていた。
「お前にしっかりと注意できない者を宰相にはできない」
国王陛下は厳しい顔をしていた。
レンエールは国王陛下の言っている意味をすぐには理解できなかった。宰相とは政策を考え国王に進言する者で、国王のプライバシーにまで口を出す必要があるとは思っていないからだ。
「ニールデン―バザジール公爵―は、私に厳しいことも忠言できるから宰相であるのだ。宰相の意見も聞けぬようでは、国王は独裁者となってしまう」
「陛下。流石に名前呼びはここではお控えください」
バザジール公爵が苦笑いした。
「今日は無礼講だ。よかろう? ニールデンも私と二人の時の口調で構わんぞ」
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「相分かった」
バザジール公爵とノマーリンはレンエールに一瞥することもなく下がっていった。
二人が退室すると両陛下は大きくため息をついた。
「私はっ! デゾランの話を聞くことができます!」
レンエールが慌てて口に出した。
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