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3 婚約の理由
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レンエールがサビマナを両陛下に紹介するこの茶会より一月前のことだ。
レンエールは国王陛下の執務室へと呼ばれた。レンエールが入室した時、国王陛下と王妃陛下、そして見事な金髪をした親子とわかる男女がすでにソファセットに腰かけていた。
その二人はバザジール公爵とその娘ノマーリンであった。
レンエールの入室を見てノマーリンが立ち上がって礼を取ろうとしたが、国王陛下がそれを止めた。
「ノマーリン。今日は無礼講だと思っておいてよい。レンエールに挨拶は無用だ」
「かしこまりました」
ノマーリンは若草のような明るい緑をした瞳を軽く伏せて了承し、再び父親バザジール公爵の隣に再び座った。ハーフアップにした金髪がサラリと揺れる。
「レンエール。こちらへ」
王妃陛下が自分の隣へと誘導した。レンエールは素直に従った。
「レンエール。何の話か想像がつくな?」
「はい……」
レンエールが座るやいなや国王陛下はレンエールに質問した。レンエールは入室した時からすでに話の内容は予想できていた。
だが、話はレンエールの予想の上であった。
「宰相からの希望で、お前とノマーリン嬢との婚約は白紙となった」
レンエールはびっくりした。サビマナと懇意にしているのを咎められると思っていたのだ。
とうに、ノマーリンからも両陛下からも注意を受けていたのに、今回もその程度の注意だと思っていた。
「陛下。恐れながら、これは宰相としての判断ではなく、父親としての判断でございます」
バザジール公爵が頭を軽く下げると肩までの金髪がハラリと動いた。そして、頭を上げると紫の目をキラリとさせて国王陛下を一睨みした。バザジール公爵はこの国の宰相である。
「そうであったな。
レンエール。バザジール家より婚約白紙を申し出られる理由は理解しておるな?」
レンエールとノマーリン、サビマナは二年ほど前、王都にある貴族学園へ入学した。レンエールとサビマナは数ヶ月で懇意になり、二年生になる頃には人目も憚らずイチャイチャと過ごすようになっていた。
そうなると、レンエールはノマーリンとの時間をもったいなく感じてしまい、次第にお茶会や贈り物を考えたりすることを止めていった。
近頃では、ノマーリンとの交流は皆無である。
とはいえ、レンエールは、ノマーリンとの婚姻は国のための政略結婚として理解している。だから、まさか婚約白紙を申し出られるまでは予想していなかった。
「バザジール公爵の配慮で建前上は婚約白紙となっておるが、実質はお前の有責による婚約破棄だ。お前には謝罪料の支払い義務が生じる」
レンエールは顔色を青くした。
「お待ちください! 私は婚約白紙を望んでおりません」
レンエールはノマーリンが息を飲むのが視界の隅でわかったが、罪悪感はあるのでノマーリンの方を向くことはできなかった。
バザジール公爵は目を細めてレンエールを睨んだ。
「殿下。我が家は王家との強固な繋がりは求めておりません。それでもお国のために二人が助け合える関係であればよいと思っておりました。
まさか娘が蔑ろにされるような婚姻など……。
ありえません!」
「お父様。言い過ぎです」
バザジール公爵の強い口調をノマーリンが窘めた。
「望んでいない??」
レンエールはびっくりしてバザジール公爵を見つめる。だが、答えたのは国王陛下だった。
「バザジール公爵家との繋がりを求めたのは私だ。アリオードが高官にはならないと宣言したから、それを他に求めたのだ」
「陛下。あけすけ過ぎです」
バザジール公爵は訝しんだ目を国王陛下に向ける。本来ありえないことだが、バザジール公爵と国王陛下はそれが許される関係だ。
レンエールは国王陛下の執務室へと呼ばれた。レンエールが入室した時、国王陛下と王妃陛下、そして見事な金髪をした親子とわかる男女がすでにソファセットに腰かけていた。
その二人はバザジール公爵とその娘ノマーリンであった。
レンエールの入室を見てノマーリンが立ち上がって礼を取ろうとしたが、国王陛下がそれを止めた。
「ノマーリン。今日は無礼講だと思っておいてよい。レンエールに挨拶は無用だ」
「かしこまりました」
ノマーリンは若草のような明るい緑をした瞳を軽く伏せて了承し、再び父親バザジール公爵の隣に再び座った。ハーフアップにした金髪がサラリと揺れる。
「レンエール。こちらへ」
王妃陛下が自分の隣へと誘導した。レンエールは素直に従った。
「レンエール。何の話か想像がつくな?」
「はい……」
レンエールが座るやいなや国王陛下はレンエールに質問した。レンエールは入室した時からすでに話の内容は予想できていた。
だが、話はレンエールの予想の上であった。
「宰相からの希望で、お前とノマーリン嬢との婚約は白紙となった」
レンエールはびっくりした。サビマナと懇意にしているのを咎められると思っていたのだ。
とうに、ノマーリンからも両陛下からも注意を受けていたのに、今回もその程度の注意だと思っていた。
「陛下。恐れながら、これは宰相としての判断ではなく、父親としての判断でございます」
バザジール公爵が頭を軽く下げると肩までの金髪がハラリと動いた。そして、頭を上げると紫の目をキラリとさせて国王陛下を一睨みした。バザジール公爵はこの国の宰相である。
「そうであったな。
レンエール。バザジール家より婚約白紙を申し出られる理由は理解しておるな?」
レンエールとノマーリン、サビマナは二年ほど前、王都にある貴族学園へ入学した。レンエールとサビマナは数ヶ月で懇意になり、二年生になる頃には人目も憚らずイチャイチャと過ごすようになっていた。
そうなると、レンエールはノマーリンとの時間をもったいなく感じてしまい、次第にお茶会や贈り物を考えたりすることを止めていった。
近頃では、ノマーリンとの交流は皆無である。
とはいえ、レンエールは、ノマーリンとの婚姻は国のための政略結婚として理解している。だから、まさか婚約白紙を申し出られるまでは予想していなかった。
「バザジール公爵の配慮で建前上は婚約白紙となっておるが、実質はお前の有責による婚約破棄だ。お前には謝罪料の支払い義務が生じる」
レンエールは顔色を青くした。
「お待ちください! 私は婚約白紙を望んでおりません」
レンエールはノマーリンが息を飲むのが視界の隅でわかったが、罪悪感はあるのでノマーリンの方を向くことはできなかった。
バザジール公爵は目を細めてレンエールを睨んだ。
「殿下。我が家は王家との強固な繋がりは求めておりません。それでもお国のために二人が助け合える関係であればよいと思っておりました。
まさか娘が蔑ろにされるような婚姻など……。
ありえません!」
「お父様。言い過ぎです」
バザジール公爵の強い口調をノマーリンが窘めた。
「望んでいない??」
レンエールはびっくりしてバザジール公爵を見つめる。だが、答えたのは国王陛下だった。
「バザジール公爵家との繋がりを求めたのは私だ。アリオードが高官にはならないと宣言したから、それを他に求めたのだ」
「陛下。あけすけ過ぎです」
バザジール公爵は訝しんだ目を国王陛下に向ける。本来ありえないことだが、バザジール公爵と国王陛下はそれが許される関係だ。
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