グラサン幼女の異世界とらべるっ! ~最強の【魔眼】を宿す転生幼女は、もふかわ神獣を連れてスローライフな旅路を楽しみます~

空戯ケイ

文字の大きさ
15 / 44
第1章 始まりの街『グリィト』

第14話  宿の確保、難しすぎ!?

しおりを挟む
 美味しいパンをひとしきり頬張り尽くした後、気付けば夕方になっていた。
 そこで今夜の寝床をまだ確保できていないことに気付いたわたしは、手近の宿に急行。
 とりあえず今夜はこの宿で一泊しよう――なんて思っていたんだけれど。

 わたしとモッフィは、宿の受付でお姉さんにきっぱりと断言された。

「――何度も申し上げているように、当店ではあなたのような子供一人での宿泊は承っておりません」
「そ、そんなぁ!!」

 ガーン! と青ざめた顔で衝撃を受ける。

「そ、そこを何とかなりませんかぁ……!?」
「決まりですので」
「ぬぐぐぐ……!」

 宿の受付で項垂れるわたしに、つまらなさそうな目を向けるモッフィ。
 だけどわたしは諦めない!
 社会人として培ったネゴシエーションスキルを駆使して、必ずや宿泊を勝ち取ってやる!!



 ■  ■  ■



「うぅ……! くそぅ……結局追い出されてしまった……!!」
「全く相手にもされんかったのぅ」

 宿屋を門前払いされたわたしは、モッフィと並んでトボトボとグリィトの街を歩いていた。
 あからさまに気分は沈んでいる。
 どんよりムードだ。

「ど、どうしよう……! このままだと今夜は野宿になっちゃうよ!」
「少しくらい良いのではないか? 我も長らく森で眠っておったが、大した問題はなかったぞ」
「モッフィとわたしは違うの! チートみたいな神獣とか弱い幼女を一緒にしないでよね!」

 適当なことを言うモッフィにぷんすかと怒る。
 異世界で野宿生活なんて勘弁だ!
 でも、あまりそんなこともしていられない。
 こうしている間にも、どんどん陽は沈んでいき、空は暗さを増していく。

 いよいよヤバいんじゃないかと焦り始めた時、前から三人組の人たちが歩いてきた。

「……ん? あれ、アイリじゃねぇか!?」
「あ、ベルドさん!」

 その人たちは、見知った冒険者パーティだった。
 リーダーのベルドさんが手を上げ、駆け寄ってくる。

「ギルドにいないと思ったら、こんな所で何をしているんだ?」
「実は……」

 かくかくしかじか、と今の窮地を説明した。
 すると、ベルドさん、ジェシーさん、マーレスさんがさもありなんと言う顔で苦笑いを浮かべた。 
 うぅ、どこか良い野宿スポットでも知ってますか?
 そんな質問をしてみようかと本気で考えていると、ジェシーさんが魔法使いらしいマントを揺らしながら手を叩いた。

「そうだ! だったらアイリちゃん、私たちの家に来ない!?」
「え、いいんですか!?」

 思ってもない提案!
 本当にいいの!?
 ベルドさんも少し考えつつ、頷いた。

「そう、だな。もう暗くなり始めてるし、今からアイリ一人で泊まれる宿を探すのも酷か。俺はアイリなら大歓迎だが、マーレスはどうだ?」
「俺も異論はない」

 最後にタンク役のマーレスさんの了承も取り付ける。この人は口数は少ないけど、優しい目でわたしを見てくれる。
 パーティメンバーの賛成を聞き入れたベルドさんは、にこりと笑った。

「だ、そうだ。アイリさえ良かったら俺たちの家に招待するが、どうする?」
「ぜひお願いします!! 皿洗いでも何でもやります!!」

 わたしは社会人で身につけたお辞儀スキルを駆使し、ベルドさんたちに深々と頭を下げる。
 ぴょこんと金のアホ毛を揺らしながら、わたしは深い安心感に包まれるのだった。

 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~

御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。 十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。 剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。 十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。 紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。 十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。 自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。 その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。 ※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~

草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。 勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。 だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。 勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。 しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ! 真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。 これは少女と世話焼き神獣の癒しに満ちた気ままな旅の物語!

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

今日からはじめる錬金生活〜家から追い出されたので王都の片隅で錬金術店はじめました〜

束原ミヤコ
ファンタジー
マユラは優秀な魔導師を輩出するレイクフィア家に生まれたが、魔導の才能に恵まれなかった。 そのため幼い頃から小間使いのように扱われ、十六になるとアルティナ公爵家に爵位と金を引き換えに嫁ぐことになった。 だが夫であるオルソンは、初夜の晩に現れない。 マユラはオルソンが義理の妹リンカと愛し合っているところを目撃する。 全てを諦めたマユラは、領地の立て直しにひたすら尽力し続けていた。 それから四年。リンカとの間に子ができたという理由で、マユラは離縁を言い渡される。 マユラは喜び勇んで家を出た。今日からはもう誰かのために働かなくていい。 自由だ。 魔法は苦手だが、物作りは好きだ。商才も少しはある。 マユラは王都の片隅で、錬金術店を営むことにした。 これは、マユラが偉大な錬金術師になるまでの、初めの一歩の話──。

異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー

白木夏
ファンタジー
2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。 その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。 人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑えきれなかった。 異世界転移した最強の主人公のほのぼのライフ 主人公はあまり戦ったりはしません。

処理中です...