初夜の翌朝失踪する受けの話

春野ひより

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初夜の翌朝失踪する受けの話

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 入れ違いで浴室へと向かった恵さんを待つ間、真っ赤になった顔をどうにかできないかとペタペタと頬を触っていると、小さな笑い声が聞こえた。声のした方へ顔を向けるとバスローブを羽織り前髪を下ろした恵さんが居た。初めて見る姿に心臓がバクバク言い出す。

「お待たせ」

 なんて答えたらいいか分からなくて俺は小さく頷いた。恵さんがベッドの縁に腰を下ろす。マットレスが微かに沈んだ。

「あはは、真っ赤」

 恵さんの手の甲が俺の頬を撫でる。思っていたより熱いそれに背中が震えた。

「……お湯が熱かったから」

 俺の苦しい嘘に恵さんは喉の奥でくつくつと笑った。頬を撫でる手は甲から指先へと変わっていて、ゆるゆると外耳を撫でていた。気持ちよくて猫のように頬を擦り寄せる。

「なお、」

 あ、キスされる。
 どうすればいいか分からなくてギュッと目を瞑ると、下唇を啄まれ、ちろりと舐められた。それに促されるように小さく口を開けると恵さんの舌が滑り込んでくる。ぬるりとした舌の感覚に思わず身体を浮かせると肩を抱きこまれた。そのまま恵さんの舌が俺の上顎を擽り、歯列をなぞり、じゅうと舌を吸われる。

「んんっ…ん…っ」

 飲みきれない唾液がたらりと垂れる。ガッチリとホールドされた俺は恵さんの腕の中でただビクビクと震えていた。
「んっ…んぅ…ん…っはっ、はぁ…」
 ゆっくりと恵さんが離れていく。キスだけで俺は全力で走った後のように息を切らしていた。

「はは、可愛いね、なお」

 そう言いながら恵さんがゆっくりと俺を押し倒す。下から見る彼は壮絶な色香を纏っていて、ごきゅ、と俺の喉が鳴った。

「めぐ、みさ」
「脱がすよ」
「あ…おれも」
「やってくれるの?」

 俺は無言でこくこくと頷くと、恵さんの返事を聞く前にバスローブの紐へと手をかけた。パサりとか布が落ちて彼の均整の取れた裸体が顕になる。

「ふふ、待てなかった?」

 恵さんは揶揄うように言いながら、俺のバスローブに手をかけた。俺も彼と同じように一糸纏わぬ姿になる。恥ずかしくてもぞもぞと膝を擦り合わせていると、恵さんが顕になった素肌に指を滑らせた。触れるか触れないかのそれにゾクゾクと肌が粟立つ。

「んっ…ふっ…」

 鎖骨からゆっくりと全身を辿った恵さんの指が俺の陰茎をなぞり、後孔に触れた。恵さんは期待に腰が揺れる俺を見て喉の奥で笑うと囁いた。

「挿れるよ」

 恵さんはそう言って指にローションを纏わせ尻の間に添わせた。ひんやりとしたローションの温度に驚いてぴくりと身体が跳ねる。
 つぷ、とナカに指が入ってくる。今日の為に少し前から慣らしてたから大丈夫だと思うけど、何もかもハジメテの俺には正解が分からないのだ。伺うように恵さんを見ると、だんだんと彼の表情が険しくなる。

「恵さん…?」
「……ここ、自分で弄った?」
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