泣き虫エリー

梅雨の人

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エリー22歳

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ショーンと結婚して四年の月日が流れた。

結婚前日に、弟のダンはエリーのことをショーンに頼み、自分は騎士団の寮へその住処を移したため、今はショーンと二人きりの生活をしている。

しかし、いつでもショーンが戻ってこれるように部屋もそのままにしたままなので、休みになるとしょっちゅうダンが土産を持って帰ってきてくれている。

ダンの剣の腕はめっぽう強いらしくて、遂には、第三師団の小隊長にまでなってしまった。

父そっくりに成長したダンは、強面の大柄で見た目だけでも迫力十分だが姉の前だと表情がすぐに崩れて少し甘えん坊な弟の顔に戻るのだ。

「よお、姉ちゃん、ショーン元気にしてたか?ほいっ、これ、この前の遠征先で買ってきた。」
「ありがとう、ダン。お前も無茶してねえだろうな?エリーを心配させるなよ?」

「それはこっちのセリフだ、ショーン。姉ちゃん泣かせるようなことしてねえだろうな?」

「ふふふっ!二人共あいかわらずね。とにかくご飯にしましょ。今日はダンの好物の牛の煮込み作って待ってたんだから!」

結婚生活四年目が過ぎた今でもこうして弟ダンが姉を気にしてはしょっちゅう顔を見せに来てくれるため、ショーンとダンもまるで兄弟のようにその距離が縮まってその関係は良好だ。

パン屋の一人息子の嫁として気負っていたものの、義母マーシャと義父ギルがもともと気取らない大らかな性格の為か、これまで特に大変だとかストレスになるようなこともなかった。

そして、結婚してからのショーンはもうエリーに首ったけで、特に二人きりのときは何をするにもエリーにべったりとくっついて離れないのだ。

「ねえ、ショーン。ちょっと危ないわ。」
「ごめん、エリー。俺も一緒に手伝わせてよ。頑張るからこれ終わったら…どう?」

そうやっていつもエリーはヘロヘロになるまで妻命の夫に家中いたるところで愛されまくるのだ。

とにかくダンはエリーへの愛を隠そうとしないので、外では自重しているしているつもりでも周囲の人々からはそれはそれは生暖かく見守られている。

「お義母さん、お義父さん、ショーンと休憩に入りますね。」
「はいよ!エリーちゃん、ショーン、ゆっくりしてきなね!」

そう言ってて休憩に入った若夫婦を見送ったマーサとギルは二人の仲の良さに目を細めて見送った。

しかし、その時エリーとショーンの幸せそうな姿を喜べない女が店の中にいたことを誰も気が付かなかった。

そして、その日は訪れた。
いつもエリーにべったりと張り付くようにいるショーンの姿が急に見えなくなる日がこの何日か続いていた。

エリーもそれに違和感を覚え、マーサとギルに断りを入れてショーンを探しに出た。
きょろきょろと店の周りを探し回っているときに、ショーンの声と聞いたことのない女の声が聞こえてきた。

「やめろ!しつこいんだよ!」

「ショーン、そんなこと言わなで!好きなの。学園にいたころからずっと好きだったの。父さんの都合で引っ越しちゃって、つい最近やっとこの街に戻ってこれて。ショーンに好きだって言おうって決めてたの!なんでもう結婚しちゃったのよ!」

「お前に関係ないだろ?俺はエリー一筋なんだ!余計なことしてエリーにちかづいてみろ?ただじゃおかねえぞ。とにかく俺の近くをうろうろするのはやめてくれ。エリーに変な誤解をしてもらいたくないからな。」

そんな会話を聞いてしまったエリーは思わずショーンに駆けつけた。
エリーが現れてショーンは驚いたがすぐにそのたくましい腕に愛しい妻を囲った。

「ショーン、誤解しないから大丈夫よ?ちゃんと断ってるじゃない?大丈夫、大丈夫…。」
「ああ、エリー大丈夫だ。絶対に大丈夫。」

「っな!なによ!私がこんなにショーンのこと好きだって言ってるのに!信じられない!奥さんと目の前でイチャイチャするなんて!聞いたわよ?!結婚四年目でまだ子供が出来ないんですってね!…ねえ、ショーン。私が奥さんの代わりに産んであげてもいいのよ?」

「っなんだと?!口が裂けても頭が狂っても、他人にそんなこと頼むか!もう許せねえ!これ以上俺たちの近くをうろつくようならもうこの街にいられないように訴えてやる!」

堪忍袋の緒が切れたショーンの怒りは激しく、さすがに言い過ぎたと思ったのかその女はすごすごとその場を立ち去り、幸いにもその後姿を現すことはなかった。

しかし、その女が発した言葉は深くエリーの心を深く抉った。
なぜなら、なかなか身籠らないことを不安に思ったエリーが、医師に調べてもらった結果、子供を身籠る可能性が非常に低いことを告げられたばかりだったからだ。

大丈夫、大丈夫…と囁きながらも、女の心ない言葉にぽろぽろと涙するエリーをぎゅっと抱きしめショーンは静かにエリーに伝えた。

「エリー、俺はエリーがいてくれたらあとはもうなんだっていいんだ。子供がいようといまいと俺はエリーがいてくれるだけで幸せだ。貴族じゃないんだから。エリーと一緒になって俺って世界一幸せ者だと思ってるんだ。俺の幸せはエリーで、エリーの幸せは俺。そうだろ?」

そう言って、エリーは涙を吸い取ったり舐め取ったりされながらショーンに抱き上げられ、その日家に帰宅してからショーンの深い愛を朝方まで注がれ続けた。
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