泣き虫エリー

梅雨の人

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甘い生活と結婚記念日

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「エリー、風呂の準備できたよ。ほら俺にちゃんとつかまっとくんだぞ?」

そうやって、風呂はダンがいないときはいつも一緒に入るエリーとショーン。

風呂の前に毎日のようにショーンの止まらない愛を受け止めるエリーはいつも風呂の準備が出来たときはショーンに抱きかかえられていくことになっていた。

もちろんちゃっかりエリーの全身をしっかり泡立てて洗うショーンはそこでも飽きることなく愛しい妻に愛撫を送り続け、可愛く欲する妻が満足するまで愛を注ぎ続けるのだ。

「ああ…エリー…。ほんっとうに、最高。なんでそんなに可愛いんだ?…っく!」
結婚から十四年経っても、未だに夫に熱心に愛されているエリーは幸せに満たされていた。

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「ちょっと!エリーちゃん!ほんっとうに相変わらずあんたたちって仲いいわよね!うちなんて仲が良かったのなんて最初の数年だけで、後はお互い空気みたいな存在になったわよ!」

パン屋で働いているおしどり夫婦を見て客たちはいつも二人の仲の良さにあてられている。
エリーもパン屋で長年働いてきているので、顔なじみも増え、かつて弟と母と働いてばかりだった頃よりかは知り合いが格段に増えこうやって気の置ける会話ができるようになった。

「おいおい!今頃気が付いたのかよ!はははっ!」
「ショーン、またそんなこと言って。もう」

「いいじゃねえか、俺らの仲がいいのは本当のことなんだからよ!」

と、こんな感じで、未だにエリーに対しての愛情駄々洩れのショーンがしっかりとついているおかげで毎日特段、何の問題もなく暮らしていた。

そんなある日、マーシャとギルはそろそろ店を息子夫婦に譲ることに決めた。

五十半ばとまだまだ若い二人の決断だったが、まだまだ息子夫婦と店を一緒に切り盛りするからという事で話はまとまった。

そんなある日、ショーンはエリーとの結婚記念日を祝うため例年の如くエリーを喜ばせるための計画を練りたてていた。
常に行動を共にしているので、ショーンの声は筒抜けなのだが愛しい夫が自分を喜ばせようと頑張っているのが嬉しくて何も知らないふりをしてやり過ごしている。。

「じゃあ、エリー2時間ほどで帰ってくるからな。変なやつが来ても出なくていいから、ちゃんと鍵かけとくんだぞ?」
「じゃあ、エリーちゃん、ちょっとショーンを借りていってくるわ!すぐに連れて帰るからな!」
「エリーちゃん、途中で美味しいもの買って帰るから一緒にご飯食べとくれね!」

「はい、みんな気を付けて!」

その日、エリーに内緒で結婚記念日に送るネックレスを選ぶショーンについて、ダンとマーサもエリーにいつも頑張ってくれているお礼にと何かプレゼントを選びたいという事で三人でエリーの為に奮発して買い物に出かけたのだった。

大きな声でそのことを話していたのを聞いてしまったエリーは、なんとか知らないふりを通して、出かけていく三人を見送った。

すぐに帰ってくると言い残した三人が、なかなか帰ってこないので心配していた時、ドアがノックされた。
「よお、姉ちゃん。あれ?珍しいな、ショーンの奴はいねえのか?」
「そうなのよ、ダン。今朝方、ショーンがお義父さんお義母さんと出かけたきり戻ってこないのよ。」

あのショーンが、姉エリーを置いてこんな長い時間どこかに行くことが珍しかったので、ダンも不審に思ったが、エリーを心配させないためにも、話題をすぐに変えてショーンたちを待った。

それからすぐに、扉が叩かれ、すぐにダンが対応しに向かった。
「こんばんは、こちらにエリーさんはいらっしゃいますか?」
「よお、警備隊が何の用だよ。」

「よお、ダンじゃねえか。ああ、エリーさんはお前の姉さんか…。」
「姉ちゃん、警備隊の奴が姉ちゃんに話があるらしいぞ。」
「こんばんは。あの、何かあったのでしょうか…?」

「エリーさん、失礼ですが、ショーン、ギル、マーサという名に心当たりは?
実は、贈り物を購入した直後だったようで、送り主にエリーと書いてあったもので。ショーンとエリーって言ったらおそらくそいつの馴染みのパン屋の夫婦かもっていう奴がいて。」

「ええ…ショーンは夫で、ギルとマーサは義両親ですが…。彼らに何かあったのでしょうか…。」
「ええ…実は今朝方、ある宝石店に強盗が多数で押し入りまして…店員や客も抵抗したり逃げようとしたらしいのですが、知らせを受けて我々が向かった時には既にその場にいた全員が死傷していました。実は、贈り物を購入した直後だったようで、保証書の欄にエリーさんの名前と住所が書いてあったもので…。」

全員が死傷…その言葉に目の前が真っ暗になってしまった。
「姉ちゃん!」

「大丈夫…大丈夫…。」
すぐに案内された先へ向かう道中ずっとそう呟いていた。

連れていかれた被害者の遺体が安置されていた場所で、義両親の二人が並べられていた。
崩れ落ちて泣き縋る私を、ダンがずっと支えてくれていた。

そして、安置所にいなかったショーンはかなり抵抗したらしく重傷で手術後も意識が戻らないままだった。

二人の葬儀が終わり、何もやる気が起きず呆然とする私にずっとダンが付き添ってくれていた。

パン屋も休業の張り紙を出し、その事件のことを知った町の人々は驚きと悲しみに暮れた。

父さん、母さんに続き、お義父さんにお義母さんまで逝ってしまった。
大切な人が、なぜか私の周りからどんどんいなくなってしまう。

一週間たってもショーンは目を覚まさなかった。

私のことを心配するダンはまた私達の住む家から、騎士団へ通うようになった。
遠征に言ったり、危険な仕事をする自分には結婚は向かないと断言するダンは彼女を作ったり別れたりを繰り返しているようだった。
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