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3章 死神が誘う遊園地
夏と夢と信仰と補習 5
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「何考えてるのよ」
清音は信じられない、と声を抑えてあたしを責める。
「嫌なら帰ればいいじゃない」
あたしたちはファミレスの出入り口付近で会計をしている勧誘女を待つ。
「そんなことしたら、友人を見捨てた人みたいになる」
「そこまでして世間体を気にしなくてもいいじゃない。友人でもないんだから」
「キュゥ」
ハクも会合とやらには行って欲しくないみたいで、あたしの袖を掴んでは鳴いてくる。
心配しすぎなのよ。
「待たせたわね!行きましょうか!」
勧誘女は張り切ってあたしたちを軽自動車に乗せる。運転中、サプリの効果や夢楽土会の信念について熱く語り、あたしは適当に相槌をしながら聞き流していた。
軽自動車が止まったのは古民家といってもいいような建物で、広い庭には蔵がある。勧誘女の話では会員の1人が所有していて、会合の時には貸しているそうだ。
そこの大広間にあたしたちは連れて行かれた。その広間に20人ほどの会員が円になって座っている。
あたしたちが入ってくると20人の会員が一斉にこちらを見つめてくる。一体化した人々の目線にあたしとハク、清音は圧されてしまう。
途端に一体化した20人が立ち上がり、あたしたちを囲む。
「あらぁ!田中さん!その子たちどうしたの?」
「会員になりたい子たちなの!しかも2人!」
「2人とも若いわね!」
誰も入信なんて言ってないわよ。
あたしは内心で毒を吐いて、愛想笑いを浮かべる。
「それは嬉しいですね」
複数の甲高い声が上がる中で物腰柔らかい静かな声があった。
鶴の一声というものをあたしは見た。20人全員が座布団から立ち上がり、同じ笑みであたしと清音を囲み、同じ言葉をかけてくる。
そんな中で1人だけ座布団の上で胡座をかく人物がいた。彼が鶴の一声を発した人物だった。
20人の歓声がピタリと止まる。会員たちの顔には微笑が浮かぶ。これもまた同じ信仰の笑みだ。
この人が桐 首ね。年齢は50~60代といったところで白髪頭と丸く穏やかに笑う顔が好印象を与える。
「皆さん座って、彼女たちに座布団を用意してあげて下さい」
それだけで会員たちは自分たちの位置に戻り、あたしたちには座布団が用意された。
「2人とも初めてで不安でしょうが、リラックスしてくださいね」
しんと静まった和室に桐先生とやらの声が響く。
そこには静寂があった。けれど、あたしはそれを静寂とは呼びたくない。静寂と呼ぶには人が多すぎる。そして、この静寂を支配するものがいる。
「今回も集まっていただき、ありがとうございます」
静寂は桐が支配していた。口を開けば皆一様に沈黙して、彼の言葉だけに耳を傾ける。指示を出せば笑を浮かべてそれに答える。
「それでは彼の話から聞きましょうか」
「はい。これはバイトでの話なんですが」
桐が右隣の青年に目を向ける。何かを指示されたわけでもないのに青年は自分が受けたタチの悪いクレームの話を語りだす。
それが終わると青年の隣人が別の話をする。今度は隣人の近況の話をする。
現状についていけずに戸惑うあたしたちに勧誘女は声を潜めて説明する。
会合と言うのは人が集まって、自分の近況・相談事等を話す場であり、桐の高説を聞く場なのだという。
清音は信じられない、と声を抑えてあたしを責める。
「嫌なら帰ればいいじゃない」
あたしたちはファミレスの出入り口付近で会計をしている勧誘女を待つ。
「そんなことしたら、友人を見捨てた人みたいになる」
「そこまでして世間体を気にしなくてもいいじゃない。友人でもないんだから」
「キュゥ」
ハクも会合とやらには行って欲しくないみたいで、あたしの袖を掴んでは鳴いてくる。
心配しすぎなのよ。
「待たせたわね!行きましょうか!」
勧誘女は張り切ってあたしたちを軽自動車に乗せる。運転中、サプリの効果や夢楽土会の信念について熱く語り、あたしは適当に相槌をしながら聞き流していた。
軽自動車が止まったのは古民家といってもいいような建物で、広い庭には蔵がある。勧誘女の話では会員の1人が所有していて、会合の時には貸しているそうだ。
そこの大広間にあたしたちは連れて行かれた。その広間に20人ほどの会員が円になって座っている。
あたしたちが入ってくると20人の会員が一斉にこちらを見つめてくる。一体化した人々の目線にあたしとハク、清音は圧されてしまう。
途端に一体化した20人が立ち上がり、あたしたちを囲む。
「あらぁ!田中さん!その子たちどうしたの?」
「会員になりたい子たちなの!しかも2人!」
「2人とも若いわね!」
誰も入信なんて言ってないわよ。
あたしは内心で毒を吐いて、愛想笑いを浮かべる。
「それは嬉しいですね」
複数の甲高い声が上がる中で物腰柔らかい静かな声があった。
鶴の一声というものをあたしは見た。20人全員が座布団から立ち上がり、同じ笑みであたしと清音を囲み、同じ言葉をかけてくる。
そんな中で1人だけ座布団の上で胡座をかく人物がいた。彼が鶴の一声を発した人物だった。
20人の歓声がピタリと止まる。会員たちの顔には微笑が浮かぶ。これもまた同じ信仰の笑みだ。
この人が桐 首ね。年齢は50~60代といったところで白髪頭と丸く穏やかに笑う顔が好印象を与える。
「皆さん座って、彼女たちに座布団を用意してあげて下さい」
それだけで会員たちは自分たちの位置に戻り、あたしたちには座布団が用意された。
「2人とも初めてで不安でしょうが、リラックスしてくださいね」
しんと静まった和室に桐先生とやらの声が響く。
そこには静寂があった。けれど、あたしはそれを静寂とは呼びたくない。静寂と呼ぶには人が多すぎる。そして、この静寂を支配するものがいる。
「今回も集まっていただき、ありがとうございます」
静寂は桐が支配していた。口を開けば皆一様に沈黙して、彼の言葉だけに耳を傾ける。指示を出せば笑を浮かべてそれに答える。
「それでは彼の話から聞きましょうか」
「はい。これはバイトでの話なんですが」
桐が右隣の青年に目を向ける。何かを指示されたわけでもないのに青年は自分が受けたタチの悪いクレームの話を語りだす。
それが終わると青年の隣人が別の話をする。今度は隣人の近況の話をする。
現状についていけずに戸惑うあたしたちに勧誘女は声を潜めて説明する。
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