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3章 死神が誘う遊園地
夏と夢と信仰と補習 7
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その後も他人の事情・情事と有り難くもない桐の仏法を延々と聞かされた。あたしは隠す気のない欠伸をしては目を泳がせていた。
会合は問題なく進み、つまらない話も終わりを告げる。
腰を下ろしていた人々が一様に笑顔になって立ち上がった。
なんだかさっきよりは明るい気がする。やっぱり、くだらない世間話や役に立たない仏法よりも実用的なアプリが欲しいみたいね。
勧誘女が意気揚々に「こっちこっち」と手招く。あたしは催促する手に招かれることにした。
「金髪の君」
この集会で金髪をしているのはあたし1人だけ。振り返ると桐があたしを呼び止めていた。
「はじめての子だね」
勧誘女や清音ではなく、あたしだけに話しかけていた。勧誘女が凝視しているから滅多なことではないらしい。
「高校生だね。名前は?」
「名乗りたくない」
無愛想に答えた。愛想笑いに疲れていた。勧誘女がわかりやすく拳を震わせていたけれど、気付かないふりをする。
突き放す態度にも桐は屈託のない笑みを浮かべる。
「構わないさ。君と少し話をしたい」
それは清音と勧誘女に向けられていた。息が荒くなり、今にも叫びそうな勧誘女でも偉大な先生の前では激情を抑え、無口になる。
彼女は清音を連れて去っていく。
大広間に2人きりになった。ハクも傍にいたけれど、鬼の容貌も威嚇して唸る声も桐には認識できない。
あたしは気味の悪さを捨てきれずに桐と対峙する。
「君は入信する気は無いのだろう?」
そんなこと言いながらいるピルケースをあたしに渡す。中には青と紫のカプセル剤がある。
「玄関まで送ろう。案内する」
あっさりとした態度に虚を突かれる。
不気味ね。まるであたしの目的がわかっていたみたい。
「ありがとう」
一応、礼を言うも警戒心は解かなかった。
桐が大広間から通路に出る。すると、彼はなぜか失笑していた。通路に面白いものでもあったのかしら?
あたしが通路に出てみるもそこには何もなかった。
桐は穏やかな表情に戻ると玄関まで歩き出す。
警戒していたハクもこの対応には戸惑いを見せていて、あたしと桐を交互に見つめていた。
そして受け取ったピルケースを鼻で突いて捨てるよう促す。取り敢えず、不確定なものは持って欲しくないようだ。
「ハク、落ち着いて」
ハクの挙動に苦言する。これじゃあ、考えをまとめられないもの。
小さく言ったつもりが、桐にまで聞こえていたらしい。彼は立ち止まり、振り返る。その顔には驚愕があった。
「ハク?ハクレンがそこにいるのか?」
あたしとハクは同時に桐を凝視する。この瞬間だけ、あたしたちは警戒を忘れていた。それほどまでの衝撃だった。
「なんでハクのこと」
ハクはあたしの妄想の産物で、あたしにしか認識できない白い隣人。それが他人の口から出るなんて。
桐も言葉を失っているみたいだった。といっても彼の場合はできたばかりの疑問に眉を顰めていた。
「なぜ、彼が。そもそも、どうやって姿を消している?」
独り言ぶつくさと呟き、長考する。そして、あたしに視線を向ける。
「ハクとは白い鬼のことか?」
「ハクを知っているの?」
あたしの警戒心は戻ってきていた。一方でハクは動揺が消えていない。
それもそうよね。あたししか認知できなかったのに、突然ハクの存在を知る者が現れた。
ハクとしては謎めいた発言の正体をどう捉えるべきかわかっていなかった。
「そうか、なるほど。そういうことか」
あたしたちの動揺とは裏腹に桐が1人で納得していた。
「ねぇ、ちょっと」
勝手に納得しないでほしい。納得したのならこちらにも教えてもらいたい。
「知りたいか?」
そんな不満を言おうとしたのに桐はあたしを見据えて言う。
「話さなければならないことがたくさんあるようだ。だが、ここでは言えない。誰が聞いているかわからないから」
「どういうこと?」
「夢に行きなさい。切符は渡した」
意味がわからない。
しかし、彼はそれ以上の説明をしようともせず、追求しようとあたしから逃げるように会員たちが待つ部屋に赴く。
あたしとハクは動揺が消えずに立ち尽くしていた。
会合は問題なく進み、つまらない話も終わりを告げる。
腰を下ろしていた人々が一様に笑顔になって立ち上がった。
なんだかさっきよりは明るい気がする。やっぱり、くだらない世間話や役に立たない仏法よりも実用的なアプリが欲しいみたいね。
勧誘女が意気揚々に「こっちこっち」と手招く。あたしは催促する手に招かれることにした。
「金髪の君」
この集会で金髪をしているのはあたし1人だけ。振り返ると桐があたしを呼び止めていた。
「はじめての子だね」
勧誘女や清音ではなく、あたしだけに話しかけていた。勧誘女が凝視しているから滅多なことではないらしい。
「高校生だね。名前は?」
「名乗りたくない」
無愛想に答えた。愛想笑いに疲れていた。勧誘女がわかりやすく拳を震わせていたけれど、気付かないふりをする。
突き放す態度にも桐は屈託のない笑みを浮かべる。
「構わないさ。君と少し話をしたい」
それは清音と勧誘女に向けられていた。息が荒くなり、今にも叫びそうな勧誘女でも偉大な先生の前では激情を抑え、無口になる。
彼女は清音を連れて去っていく。
大広間に2人きりになった。ハクも傍にいたけれど、鬼の容貌も威嚇して唸る声も桐には認識できない。
あたしは気味の悪さを捨てきれずに桐と対峙する。
「君は入信する気は無いのだろう?」
そんなこと言いながらいるピルケースをあたしに渡す。中には青と紫のカプセル剤がある。
「玄関まで送ろう。案内する」
あっさりとした態度に虚を突かれる。
不気味ね。まるであたしの目的がわかっていたみたい。
「ありがとう」
一応、礼を言うも警戒心は解かなかった。
桐が大広間から通路に出る。すると、彼はなぜか失笑していた。通路に面白いものでもあったのかしら?
あたしが通路に出てみるもそこには何もなかった。
桐は穏やかな表情に戻ると玄関まで歩き出す。
警戒していたハクもこの対応には戸惑いを見せていて、あたしと桐を交互に見つめていた。
そして受け取ったピルケースを鼻で突いて捨てるよう促す。取り敢えず、不確定なものは持って欲しくないようだ。
「ハク、落ち着いて」
ハクの挙動に苦言する。これじゃあ、考えをまとめられないもの。
小さく言ったつもりが、桐にまで聞こえていたらしい。彼は立ち止まり、振り返る。その顔には驚愕があった。
「ハク?ハクレンがそこにいるのか?」
あたしとハクは同時に桐を凝視する。この瞬間だけ、あたしたちは警戒を忘れていた。それほどまでの衝撃だった。
「なんでハクのこと」
ハクはあたしの妄想の産物で、あたしにしか認識できない白い隣人。それが他人の口から出るなんて。
桐も言葉を失っているみたいだった。といっても彼の場合はできたばかりの疑問に眉を顰めていた。
「なぜ、彼が。そもそも、どうやって姿を消している?」
独り言ぶつくさと呟き、長考する。そして、あたしに視線を向ける。
「ハクとは白い鬼のことか?」
「ハクを知っているの?」
あたしの警戒心は戻ってきていた。一方でハクは動揺が消えていない。
それもそうよね。あたししか認知できなかったのに、突然ハクの存在を知る者が現れた。
ハクとしては謎めいた発言の正体をどう捉えるべきかわかっていなかった。
「そうか、なるほど。そういうことか」
あたしたちの動揺とは裏腹に桐が1人で納得していた。
「ねぇ、ちょっと」
勝手に納得しないでほしい。納得したのならこちらにも教えてもらいたい。
「知りたいか?」
そんな不満を言おうとしたのに桐はあたしを見据えて言う。
「話さなければならないことがたくさんあるようだ。だが、ここでは言えない。誰が聞いているかわからないから」
「どういうこと?」
「夢に行きなさい。切符は渡した」
意味がわからない。
しかし、彼はそれ以上の説明をしようともせず、追求しようとあたしから逃げるように会員たちが待つ部屋に赴く。
あたしとハクは動揺が消えずに立ち尽くしていた。
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