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3章 死神が誘う遊園地
夏と夢と信仰と補習 12
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早足になったあたしにハクが鼻を押し当てる。慰めているみたいだった。
ハクの優しさが疎ましく、そっと触れた鼻先を払う。
傷ついていないし、こんなくだらないことで苛立ってもいない。夏の日差し脳がやられているだけ。苛立ちやすくなっているだけ。
結局、コンビニに例の店員はいなかった。時間を置いたらもう一回行ってみようと近くのカフェで時間を潰して、夕方また赴いたのに結果は同じだった。
夏の時期にもなると太陽はしつこく、慎重に落ちて、夕方の時刻になっても熱を残す。
額に流れた汗を流し、溜まったストレスを溜息として吐いて、大きく息を吸う。それでもストレスが減ったりはしなかった。
必要なのはクーラーとシャワー、水分と冷たくて甘いもの。
あたしの脚は駅に向かっていた。今日は帰ろう。明日も補習があるんだから。
「あれぇ、瑠璃だ」
苛立った気分に苛立った声が聞こえてきた。この声は光弥のものね。
無視を決めて歩調を早める。
「マンションにもいないから探したよ。休みなのに学校?」
あたしの機嫌も気付かず、光弥は近寄ってくる。
「探したっていうのは?用でもあったのか?」
受け答えしなくてもいいのにカンダタが質問する。
「夢楽土会の話したろ。あれさ、瑠璃の父親が」
「資金援助しているんでしょ。出遅れた情報を得意げに言わないでくれる?」
堪えきれなくなったらあたしは光弥にストレスを吐き出す。
「いつも以上に機嫌悪いね。なんで?」
詫びを入れようとも、罪悪感すら抱いていない様子でカンダタに尋ねる。
「暑さのせいだ」
長々と説明するつもりはなかったので一言で済ます。
光弥は深く考えず、次の話題に移る。
「じゃあさ、夢園って言う薬物は?」
こいつもサプリメントと薬の違いがわかっていないみたいで、いちいち訂正するのも億劫ね。
「俺さ、それを飲んでいるやつを尾行していたんだ。そいつさ、コンビニのバイトをサボって駅の周りをうろちょろしてんだよ。もうスマホは上司からの電話が鳴りっぱなしで」
そこであたしたちは足を止めた。コンビニ、夢園、バイト、サボり。
「それって」
呟いてカンダタと目を合わせる。カンダタも同じ考えをしていたらしい。
やっと興味を持ってくれた光弥は嬉しそうに言う。
「こっちにいるぜ」
あたしとカンダタは光弥について行き、駅の裏口へと向かう。
光弥は昨日からコンビニ店員を見張っていたらしい。1日と半日で得られた情報は異常なサプリの摂取量。
接客でクレームを受ければサプリを服用し、寝坊して上司から叱責を受ければまた服用をしていた。店員は10錠20錠とカプセル剤を噛み砕いていたらしい。
「あれは睡眠作用があるのよ。そんなことすれば」
「そうだよ。それでバイト中に居眠りして上司に怒られてまた服用しての繰り返しさ」
激しい睡眠欲と鬱症状に苛まれた心は倦怠感を強くさせた。そんな心理状態ではバイト先にも行けるはずがなくて、自室に籠って、サプリの服用と眠りを繰り返し行っていたらしい。
そんな彼のスマホにはバイト先からの着信が鳴り続けたという。何十回も折り返された電話に出たのは1度だけ。
心配する同僚の声かけには一切答えず、無言を貫いた後、不意に外へ歩き出したと言う。
「それで、今は徘徊中ってわけね」
駅の裏口まで連れてこられたあたしたちはコンビニ店員の様子を眺めていた。
ハクの優しさが疎ましく、そっと触れた鼻先を払う。
傷ついていないし、こんなくだらないことで苛立ってもいない。夏の日差し脳がやられているだけ。苛立ちやすくなっているだけ。
結局、コンビニに例の店員はいなかった。時間を置いたらもう一回行ってみようと近くのカフェで時間を潰して、夕方また赴いたのに結果は同じだった。
夏の時期にもなると太陽はしつこく、慎重に落ちて、夕方の時刻になっても熱を残す。
額に流れた汗を流し、溜まったストレスを溜息として吐いて、大きく息を吸う。それでもストレスが減ったりはしなかった。
必要なのはクーラーとシャワー、水分と冷たくて甘いもの。
あたしの脚は駅に向かっていた。今日は帰ろう。明日も補習があるんだから。
「あれぇ、瑠璃だ」
苛立った気分に苛立った声が聞こえてきた。この声は光弥のものね。
無視を決めて歩調を早める。
「マンションにもいないから探したよ。休みなのに学校?」
あたしの機嫌も気付かず、光弥は近寄ってくる。
「探したっていうのは?用でもあったのか?」
受け答えしなくてもいいのにカンダタが質問する。
「夢楽土会の話したろ。あれさ、瑠璃の父親が」
「資金援助しているんでしょ。出遅れた情報を得意げに言わないでくれる?」
堪えきれなくなったらあたしは光弥にストレスを吐き出す。
「いつも以上に機嫌悪いね。なんで?」
詫びを入れようとも、罪悪感すら抱いていない様子でカンダタに尋ねる。
「暑さのせいだ」
長々と説明するつもりはなかったので一言で済ます。
光弥は深く考えず、次の話題に移る。
「じゃあさ、夢園って言う薬物は?」
こいつもサプリメントと薬の違いがわかっていないみたいで、いちいち訂正するのも億劫ね。
「俺さ、それを飲んでいるやつを尾行していたんだ。そいつさ、コンビニのバイトをサボって駅の周りをうろちょろしてんだよ。もうスマホは上司からの電話が鳴りっぱなしで」
そこであたしたちは足を止めた。コンビニ、夢園、バイト、サボり。
「それって」
呟いてカンダタと目を合わせる。カンダタも同じ考えをしていたらしい。
やっと興味を持ってくれた光弥は嬉しそうに言う。
「こっちにいるぜ」
あたしとカンダタは光弥について行き、駅の裏口へと向かう。
光弥は昨日からコンビニ店員を見張っていたらしい。1日と半日で得られた情報は異常なサプリの摂取量。
接客でクレームを受ければサプリを服用し、寝坊して上司から叱責を受ければまた服用をしていた。店員は10錠20錠とカプセル剤を噛み砕いていたらしい。
「あれは睡眠作用があるのよ。そんなことすれば」
「そうだよ。それでバイト中に居眠りして上司に怒られてまた服用しての繰り返しさ」
激しい睡眠欲と鬱症状に苛まれた心は倦怠感を強くさせた。そんな心理状態ではバイト先にも行けるはずがなくて、自室に籠って、サプリの服用と眠りを繰り返し行っていたらしい。
そんな彼のスマホにはバイト先からの着信が鳴り続けたという。何十回も折り返された電話に出たのは1度だけ。
心配する同僚の声かけには一切答えず、無言を貫いた後、不意に外へ歩き出したと言う。
「それで、今は徘徊中ってわけね」
駅の裏口まで連れてこられたあたしたちはコンビニ店員の様子を眺めていた。
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