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3章 死神が誘う遊園地
夏と夢と信仰と補習 11
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青と紫のカプセル剤、夢園。 特徴的な色合いをしているから誰が持っているのか覚えていた。
あたしがよく通うコンビニの店員。接客が苦手な彼がクレームをつけられた時、慌てて落としたのが夢園だった。
そのコンビニは駅を降りて、すぐ目の前にある。今朝、立ち寄ってみるもあの店員には会えなかった。カンダタがスタッフルームを探ってみてもいなかったようだ。
シフトが合わなかったのかもしれない。帰りに行ってみましょうか。
古典の補習を受けながら、補習が終わった後のことを考える。
「ぼけっととしてるとまた叱られるぞ」
カンダタからしてみればあたしは呆けていたらしい。あたしは声を出さずに睨みつけて目線で文句を言う。その隣ではハクが呑気そうに昼寝をしている。
2人はいいわよね。先生には見えないから何をしても何を話しても咎められないんだもの。それに「ぼけっとしている」は後ろのバカップルに言ってよ。
補習の教室にはあたしの他にも大人しそうな男子生徒に男女のカップルが授業を受けていた。
教室の後ろに居座り、席をくっつかせては身体を寄せる。時折聞こえる「今は駄目」が腹立つ。
「お前ら、ぼけっとしていると補習授業追加させるぞ」
坂本が同じ台詞を言ってきたので、げんなりと眉を垂らして、気怠げに板書する。
授業が終わると身体が自由になって、古典という苦行も終わった。
「明日はテストだからな」
それを言い残した坂本はそそくさと教室を出る。
そうだった。明日もあるんだ。しかも、明日は計画の追加される。あたしは憂鬱に溜息を吐く。
「たっくん、テスト終わったらディズニー行こうよ」
授業が終わるとバカップルがくっつき始めて夏休みの予定を猫撫で声で相談する。
「ランドとシーどっちがいい?」
相手も猫撫で声の誘いに気分を良くしてだらしなく顔を緩める。あたしの痛い目線も気にせず、デート予定を話し合う。
こんなのと同じ空間にはいられない。
苛立った歩調で早々と教室を退出する。
あたしは熱気と湿気をはらんだ日差しの下に出た。
「男女が遊びに行けるところっていうとなんだ?花街か?」
先程の会話を聞いていたカンダダが素朴な疑問を投げてくる。
「馬鹿なの?」
あたしはその疑問に馬鹿馬鹿しく答える。
どんな頭をすればディズニーランドを花街と言えるのからしら。
「テーマパークよ。ランドとシーがあるの」
カンダタに疑問符が浮かぶ。遊園地そのものを知らない人の顔ね。
「大人も子供も夢の国に行ける場所があるのよ」
「また麻薬の話か?」
「全部作り物の夢で安全性を確保してるわよ」
「何があるんだ?」
「14階建の塔から急上昇と急降下させられたり、滝壺に落とされたりするわね」
こいつにタワー・オブ・テラーやスプラッシュマウンテンと言っても伝わらないだろうからわかりやすく言葉を変える。
あたしの説明はわかりやすく伝わったらしく、カンダタは青ざめていた。
「拷問か?」
「安全性を確保できた世の中になるとスリルを求めるようになるのよ」
改めて説明してみると確かに絶叫系アトラクションは拷問器具に近い。
「その、夢の国とやらには瑠璃も行ったのか?」
「なんでそうなるのよ」
あたしの声は機嫌を悪くさせて低くなる。
「詳しいようだからな」
「ディズニーは嫌いなの」
それ以上言うつもりはなかった。家族と行ったディズニーリゾートも自宅で繰り返し観た作品も飽きてしまった。今更、夢の国に行きたいとは思えない。
あたしがよく通うコンビニの店員。接客が苦手な彼がクレームをつけられた時、慌てて落としたのが夢園だった。
そのコンビニは駅を降りて、すぐ目の前にある。今朝、立ち寄ってみるもあの店員には会えなかった。カンダタがスタッフルームを探ってみてもいなかったようだ。
シフトが合わなかったのかもしれない。帰りに行ってみましょうか。
古典の補習を受けながら、補習が終わった後のことを考える。
「ぼけっととしてるとまた叱られるぞ」
カンダタからしてみればあたしは呆けていたらしい。あたしは声を出さずに睨みつけて目線で文句を言う。その隣ではハクが呑気そうに昼寝をしている。
2人はいいわよね。先生には見えないから何をしても何を話しても咎められないんだもの。それに「ぼけっとしている」は後ろのバカップルに言ってよ。
補習の教室にはあたしの他にも大人しそうな男子生徒に男女のカップルが授業を受けていた。
教室の後ろに居座り、席をくっつかせては身体を寄せる。時折聞こえる「今は駄目」が腹立つ。
「お前ら、ぼけっとしていると補習授業追加させるぞ」
坂本が同じ台詞を言ってきたので、げんなりと眉を垂らして、気怠げに板書する。
授業が終わると身体が自由になって、古典という苦行も終わった。
「明日はテストだからな」
それを言い残した坂本はそそくさと教室を出る。
そうだった。明日もあるんだ。しかも、明日は計画の追加される。あたしは憂鬱に溜息を吐く。
「たっくん、テスト終わったらディズニー行こうよ」
授業が終わるとバカップルがくっつき始めて夏休みの予定を猫撫で声で相談する。
「ランドとシーどっちがいい?」
相手も猫撫で声の誘いに気分を良くしてだらしなく顔を緩める。あたしの痛い目線も気にせず、デート予定を話し合う。
こんなのと同じ空間にはいられない。
苛立った歩調で早々と教室を退出する。
あたしは熱気と湿気をはらんだ日差しの下に出た。
「男女が遊びに行けるところっていうとなんだ?花街か?」
先程の会話を聞いていたカンダダが素朴な疑問を投げてくる。
「馬鹿なの?」
あたしはその疑問に馬鹿馬鹿しく答える。
どんな頭をすればディズニーランドを花街と言えるのからしら。
「テーマパークよ。ランドとシーがあるの」
カンダタに疑問符が浮かぶ。遊園地そのものを知らない人の顔ね。
「大人も子供も夢の国に行ける場所があるのよ」
「また麻薬の話か?」
「全部作り物の夢で安全性を確保してるわよ」
「何があるんだ?」
「14階建の塔から急上昇と急降下させられたり、滝壺に落とされたりするわね」
こいつにタワー・オブ・テラーやスプラッシュマウンテンと言っても伝わらないだろうからわかりやすく言葉を変える。
あたしの説明はわかりやすく伝わったらしく、カンダタは青ざめていた。
「拷問か?」
「安全性を確保できた世の中になるとスリルを求めるようになるのよ」
改めて説明してみると確かに絶叫系アトラクションは拷問器具に近い。
「その、夢の国とやらには瑠璃も行ったのか?」
「なんでそうなるのよ」
あたしの声は機嫌を悪くさせて低くなる。
「詳しいようだからな」
「ディズニーは嫌いなの」
それ以上言うつもりはなかった。家族と行ったディズニーリゾートも自宅で繰り返し観た作品も飽きてしまった。今更、夢の国に行きたいとは思えない。
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