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3章 死神が誘う遊園地
夢みる幸福 15
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骨が砕け、血肉が口から滴る。
魂の回収、蝋燭のついた食事、貯蓄。政蔵博士が言ったことが繋がった。
夢園に囚われた魂をあの熊象に食わせる。食われた魂たちは胃袋の中で胃液と混ざり合い、互いの輪郭さえも失われて一つのエネルギーとして貯蓄される。
「死の経験をさせれば魂と生体が切り離される。生体もいずれ生命機能が失われる」
ケイの訴えは誰も聞いていなかった。
熊象の食事が終わるとあの唸り声を口から漏らしながら胴体を回す。何かを探す仕草だ。
「急かさずともいっぱいあるからね」
政蔵がこちらに歪んだ笑みを受ける。
熊象は政蔵の視線を辿る。そこにはケイとケイを抱えたキャストがいる。腹の口腔から唾液が溢れ、太い腕が伸びる。
食物となってしまったというのにキャストは眉1つ動かさず、笑顔を作る。ケイは食物になるのは御免だ。
最後の抵抗としてガラスに突進し、渾身の力で引っ掻く。それが窮地を脱する策にはならなかった。
薄汚れたピンク色の手が迫る。
切創、骨折くらいなら睡眠をとれば治癒できる。だが、あの強大な歯並びに砕かれ、肉を引き千切られれば治癒のしようがない。
行き場のない焦燥がケイを奮い立たせ、引っ掻く爪にも更に力がこもる。
ピンクの手はキャストの頭を包む。拳はキャストの顔を潰した。頭は破裂したように飛び散り、頭の液体はケイが収まるガラスケースの上にどろりと伝い、視界が赤くなる。
キャストは頭がなくなったあともガラスケースは抱えていた。
熊象が手の平にへばりついた血肉を舐めている。そして、唾液と血肉が混じった手を伸ばす。
「政蔵博士」
凛とした鈴の声。キャストや博士のものではない。気が付けばそこに袴姿の少女がいた。頭には翠玉の髪飾り。
「黒猫はお父様の元へ連れて行くと報告したはずです」
政蔵は熊象を停止させる。
「子供は立入禁止だよ翡翠ちゃん」
「私は翠玉です」
翠玉は冷たい口調で訂正する。
「黒猫をこちらへ」
鈴の声に棘がある。あの少女も塊人のようだったが、キャストとは違って精度が高い。
「忠告されなくとも首さんには逆らいませんよ」
キャストからガラスケースを取るとそれを投げて翠玉に渡される。
中にいたケイは空中で身体が回され、軽い目眩を起こす。
「お父様からの伝言です。黒衣の彼の破壊は日を改めると。それからこのことはお父様に報告します」
「忠実だねぇ」
政蔵の嫌味には返さず、一礼をしてから背を向け、その場を去る。
翠玉と名乗る少女が戻ってくるとガラスケースの蓋を開ける。中に閉じ込められていたケイが私の所までまで走ってきて、両腕を広げて迎え入れた。
「大丈夫だったか?」
「私は平気」
寧ろ、私よりケイの方が酷い目に合った。
「あの子が助けてくれたの?」
翠玉に視線を向けると少女は一礼をして「こちらへ」とエレベーターを案内する。
小学生くらいの見た目なのにしっかりしてるな。でも、この子もキャストと同じように作られた人ならロボットみたいにしっかりしていて当然か。
案内されるままにガタンゴトンと上昇するエレベーターの中で私は感心していた。
エレベーターから降りると無機質なコンクリートの通路から一変していた。
華やかな絨毯が敷かれた通路が伸びて、同じドアが両壁に並んでいた。ホテルの客室フロアみたい。
魂の回収、蝋燭のついた食事、貯蓄。政蔵博士が言ったことが繋がった。
夢園に囚われた魂をあの熊象に食わせる。食われた魂たちは胃袋の中で胃液と混ざり合い、互いの輪郭さえも失われて一つのエネルギーとして貯蓄される。
「死の経験をさせれば魂と生体が切り離される。生体もいずれ生命機能が失われる」
ケイの訴えは誰も聞いていなかった。
熊象の食事が終わるとあの唸り声を口から漏らしながら胴体を回す。何かを探す仕草だ。
「急かさずともいっぱいあるからね」
政蔵がこちらに歪んだ笑みを受ける。
熊象は政蔵の視線を辿る。そこにはケイとケイを抱えたキャストがいる。腹の口腔から唾液が溢れ、太い腕が伸びる。
食物となってしまったというのにキャストは眉1つ動かさず、笑顔を作る。ケイは食物になるのは御免だ。
最後の抵抗としてガラスに突進し、渾身の力で引っ掻く。それが窮地を脱する策にはならなかった。
薄汚れたピンク色の手が迫る。
切創、骨折くらいなら睡眠をとれば治癒できる。だが、あの強大な歯並びに砕かれ、肉を引き千切られれば治癒のしようがない。
行き場のない焦燥がケイを奮い立たせ、引っ掻く爪にも更に力がこもる。
ピンクの手はキャストの頭を包む。拳はキャストの顔を潰した。頭は破裂したように飛び散り、頭の液体はケイが収まるガラスケースの上にどろりと伝い、視界が赤くなる。
キャストは頭がなくなったあともガラスケースは抱えていた。
熊象が手の平にへばりついた血肉を舐めている。そして、唾液と血肉が混じった手を伸ばす。
「政蔵博士」
凛とした鈴の声。キャストや博士のものではない。気が付けばそこに袴姿の少女がいた。頭には翠玉の髪飾り。
「黒猫はお父様の元へ連れて行くと報告したはずです」
政蔵は熊象を停止させる。
「子供は立入禁止だよ翡翠ちゃん」
「私は翠玉です」
翠玉は冷たい口調で訂正する。
「黒猫をこちらへ」
鈴の声に棘がある。あの少女も塊人のようだったが、キャストとは違って精度が高い。
「忠告されなくとも首さんには逆らいませんよ」
キャストからガラスケースを取るとそれを投げて翠玉に渡される。
中にいたケイは空中で身体が回され、軽い目眩を起こす。
「お父様からの伝言です。黒衣の彼の破壊は日を改めると。それからこのことはお父様に報告します」
「忠実だねぇ」
政蔵の嫌味には返さず、一礼をしてから背を向け、その場を去る。
翠玉と名乗る少女が戻ってくるとガラスケースの蓋を開ける。中に閉じ込められていたケイが私の所までまで走ってきて、両腕を広げて迎え入れた。
「大丈夫だったか?」
「私は平気」
寧ろ、私よりケイの方が酷い目に合った。
「あの子が助けてくれたの?」
翠玉に視線を向けると少女は一礼をして「こちらへ」とエレベーターを案内する。
小学生くらいの見た目なのにしっかりしてるな。でも、この子もキャストと同じように作られた人ならロボットみたいにしっかりしていて当然か。
案内されるままにガタンゴトンと上昇するエレベーターの中で私は感心していた。
エレベーターから降りると無機質なコンクリートの通路から一変していた。
華やかな絨毯が敷かれた通路が伸びて、同じドアが両壁に並んでいた。ホテルの客室フロアみたい。
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