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3章 死神が誘う遊園地
夢みる幸福 16
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翠玉は適当な客室に私たちを連れて行くとそこでお茶を淹れてくれた。
私がお茶を啜り、心が落ち着く。
翠玉はテーブルを挟んで向かいに座るといろんな説明をしてくれた。
夢園は瑠璃の為の要塞や桐 首という人物について、翠玉と翡翠は首の従者として作られた塊人であること。
他にも様々なことを教えてもらった。協力者が瑠璃の父親やカンダタが隔離されていることも。
「私はこれからどうなるの?」
ひと通りの説明を聞いてから尋ねる。
「お父様が必要をしているのは黒猫です。清音さんは」
「あの熊象に貯蓄するのか」
翠玉が言い淀み、俯いた反応を見せた。私の身体が強張る。
「お父様ならそう指示すると思います。でも、私は」
言い淀む口調。次の瞬間には顔を上げ、真っ直ぐに私を見据えた。
「ちゃんと生きて欲しいと思っています」
それはどういう意図があっての台詞?
そう質問しようとすると翠玉は立ち上がった。
「そろそろ、お父様のところに行かないといけませんので、清音さんはもうしばらく待ってください。翡翠がカンダタさんを連れてくると思うのでそうしたら現世に帰れるように手配をします」
「どうして?さっき隔離されたって。私を帰したらまずいんでしょう?」
あの説明通りなら、双子の姉妹は桐 首に従うロボット。無感情な彼女たちが指示以外の行動をとろうとしない。
なのに、私の前に立つ翠玉ははにかんだ笑みを見せた。
「どうしてでしょうね?私たちもよくわかっていないんです。翡翠と話し合った時、二人一緒に反抗期になろうって決めたんです。その一つが計画の妨害です」
戸惑い、照れ臭そうに笑う翠玉。
ロボットみたいと思っていた私が無性に恥ずかしくなった。
「それではまた」
翠玉は軽く会釈をすると客室を後にする。
言葉に迷いながら、けど心が強く、真っ直ぐな瞳。私よりも幼く、私よりも強い姿勢が目に焼き付いた。
ナイトエリアのジャズ調の音楽が楽しげな喧騒に混じって流れてくる。
静寂と呼べるほどの居心地の良い空間。あたしは顔を俯かせて、一口も飲まなかった紅茶と見つめ合う。
静寂とは裏腹にあたしの内は様々な感情が騒ぎあっていた。
蓋をして堪える怒り、 あたしを守るために作られた夢園、そして戸惑い。この戸惑いは父に対するものだった。
父と最後に会ったのは母の火葬。それからはさえりを通していた。
あいつは生活費だけさえりに渡して、それ以外の関与はなかった。誕生日にも入学式にも無関心を貫いてきた。
なのに、なんで?あたしを守る?
ありえない。ありえない。ありえない。
何度も何度も言い聞かせる。
あたしは立ち上がるとテーブルの周りを回ったり、意味もなく窓際に立ってナイトエリアを見下ろしたりした。
娘として接してこなかったのに。ありえない。放任してたくせに。ありえない。白糸や白鋏、ハザマのことを知ってるのよ。ありえない。ありえない。
怒りと混乱が混じった思考は整理ができない。あたしは窓に手をつけてそこに映る自分自身を見つめる。その後に目を瞑り、深呼吸を2、3回繰り返す。
少しだけ、落ち着いた。
あたしは何かを否定している。ありえないと何度も言い聞かせてはあたしの中で湧いてきそうな感情を拒絶している。
唐突に端末のアラーム音が鳴る。ポケットから取り出してみるとショーの案内をパク君が告知していた。
ナイトエリアで開演するみたいね。
窓に広がる風景に目を向ける。そこにはライトアップされたエッフェル塔がエリアの象徴として建つ。あれも夢の中の産物であり、偽物だ。
しばらくの間、思い悩み、迷ったけれど外出を選んだ。
得体の知れないモヤモヤした感情を切り捨てたかった。その為には父に会わないといけない。
6年ぶりの再会になる。顔を見てもわからないかもしれない。見つけられないかもしれない。名乗っても「誰?」と聞かれるかもしれない。
この感情を捨てれるならそれでもいい。
私がお茶を啜り、心が落ち着く。
翠玉はテーブルを挟んで向かいに座るといろんな説明をしてくれた。
夢園は瑠璃の為の要塞や桐 首という人物について、翠玉と翡翠は首の従者として作られた塊人であること。
他にも様々なことを教えてもらった。協力者が瑠璃の父親やカンダタが隔離されていることも。
「私はこれからどうなるの?」
ひと通りの説明を聞いてから尋ねる。
「お父様が必要をしているのは黒猫です。清音さんは」
「あの熊象に貯蓄するのか」
翠玉が言い淀み、俯いた反応を見せた。私の身体が強張る。
「お父様ならそう指示すると思います。でも、私は」
言い淀む口調。次の瞬間には顔を上げ、真っ直ぐに私を見据えた。
「ちゃんと生きて欲しいと思っています」
それはどういう意図があっての台詞?
そう質問しようとすると翠玉は立ち上がった。
「そろそろ、お父様のところに行かないといけませんので、清音さんはもうしばらく待ってください。翡翠がカンダタさんを連れてくると思うのでそうしたら現世に帰れるように手配をします」
「どうして?さっき隔離されたって。私を帰したらまずいんでしょう?」
あの説明通りなら、双子の姉妹は桐 首に従うロボット。無感情な彼女たちが指示以外の行動をとろうとしない。
なのに、私の前に立つ翠玉ははにかんだ笑みを見せた。
「どうしてでしょうね?私たちもよくわかっていないんです。翡翠と話し合った時、二人一緒に反抗期になろうって決めたんです。その一つが計画の妨害です」
戸惑い、照れ臭そうに笑う翠玉。
ロボットみたいと思っていた私が無性に恥ずかしくなった。
「それではまた」
翠玉は軽く会釈をすると客室を後にする。
言葉に迷いながら、けど心が強く、真っ直ぐな瞳。私よりも幼く、私よりも強い姿勢が目に焼き付いた。
ナイトエリアのジャズ調の音楽が楽しげな喧騒に混じって流れてくる。
静寂と呼べるほどの居心地の良い空間。あたしは顔を俯かせて、一口も飲まなかった紅茶と見つめ合う。
静寂とは裏腹にあたしの内は様々な感情が騒ぎあっていた。
蓋をして堪える怒り、 あたしを守るために作られた夢園、そして戸惑い。この戸惑いは父に対するものだった。
父と最後に会ったのは母の火葬。それからはさえりを通していた。
あいつは生活費だけさえりに渡して、それ以外の関与はなかった。誕生日にも入学式にも無関心を貫いてきた。
なのに、なんで?あたしを守る?
ありえない。ありえない。ありえない。
何度も何度も言い聞かせる。
あたしは立ち上がるとテーブルの周りを回ったり、意味もなく窓際に立ってナイトエリアを見下ろしたりした。
娘として接してこなかったのに。ありえない。放任してたくせに。ありえない。白糸や白鋏、ハザマのことを知ってるのよ。ありえない。ありえない。
怒りと混乱が混じった思考は整理ができない。あたしは窓に手をつけてそこに映る自分自身を見つめる。その後に目を瞑り、深呼吸を2、3回繰り返す。
少しだけ、落ち着いた。
あたしは何かを否定している。ありえないと何度も言い聞かせてはあたしの中で湧いてきそうな感情を拒絶している。
唐突に端末のアラーム音が鳴る。ポケットから取り出してみるとショーの案内をパク君が告知していた。
ナイトエリアで開演するみたいね。
窓に広がる風景に目を向ける。そこにはライトアップされたエッフェル塔がエリアの象徴として建つ。あれも夢の中の産物であり、偽物だ。
しばらくの間、思い悩み、迷ったけれど外出を選んだ。
得体の知れないモヤモヤした感情を切り捨てたかった。その為には父に会わないといけない。
6年ぶりの再会になる。顔を見てもわからないかもしれない。見つけられないかもしれない。名乗っても「誰?」と聞かれるかもしれない。
この感情を捨てれるならそれでもいい。
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