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ウィリデ侯爵視点
しおりを挟む「アリアがまた宝石を買っただとっ?」
「はい。お止めしたのですが……。王家の狩猟会に間に合わせたいそうでして……」
娘のアリアは社交界の華と呼ばれ人気がある。しかしそれは表向きの話。
今までの縁談は全て娘の素行によって断られてきた。お金の事など五月蝿く躾けた記憶は無い。しかし彼女の散財は常軌を逸していた。
先月も特大のサファイア使用したパリュールを揃えたばかりだ。
確かグラディウス公子が帰国するのに合わせてドレスも新調していた。
「シリルは幼馴染みだし、気心も知れているから大丈夫。綺麗になった私を見て、きっと婚約を申し込んでくれるわ」
幼い頃娘は王太子妃になれると思い込んでいた。周囲の人間からもそう言われていたようだ。
確かに、身分の釣り合う年頃の美しい令嬢という条件ならはアリアがピッタリとくる。
けれど我が家に王家からの婚約の打診など来たことは無かった。
現在娘はグラディウス公子に執心しているらしい。
贅沢を控えれば嫁ぐことのできる貴族令息も紹介してきた。
けれど、母親に似てプライドの高い彼女は、自分より身分の低い男性に嫁ぐのを嫌がった。
もう王家に次ぐ財産を持つグラディウス公爵家に嫁いで貰うしか無かったのだが……。
「お父様、シリル様の恋人って人に身を引いて貰うから、ちょっと人を貸してくださらない?」
「ん?ああ。良いが……。無茶はするなよ」
「ええ、もちろんよ。ちょっと弁えてもらいたいだけよ?」
「……そうか」
その時、多少の嫌がらせを企んでいるのだと思っていた。まさかあんな大それたことをしでかすとは。
~・~・~・~・~
「アリアっ!まさかお前……狩猟会で……」
「ちょっと結界に穴を開けて貰っただけよ」
「馬鹿者っ!!殿下主催なのだぞ?分かっているのか?」
「事故に見せかけてもらったもの。大丈夫よ。」
「お前は殿下の人柄を分かって居ないのだな」
「え?いつもニコニコして穏やかな人じゃない。結界が破れた事故なんて、王宮の魔法師が怒られて終わりじゃないの?そんな重い処分もしないんじゃないかしら?次から事故が起こらないように気をつけろ、でお終いじゃないの?」
目眩がする。
王家の面子を潰したんだ。そんな訳が無いだろう。
「お前は王家主催の狩猟会を台無しにしたんだ。殿下は血眼になって犯人を探すだろう。実行したのは誰だ?」
「え?……ミリー、とゼノにお願いしたわ。それに……街の破落戸も雇ったけど……」
近くで話を聞いていた従者に指示をだした。
「証人として確保される前に手を打とう。ミリーとゼノを呼べ」
「はっ」
従者が部屋を出たのを確認して、狩猟会で何をしたのかを詳細に聞いた。アリアは、彼女なりにバレないように工夫していたようだ。
「そんなに大事になってるなら、ミリーにはお金を渡して実家に帰って貰うわ。ゼノは変装してもらったから大丈夫だと思うけど、念のため暫く姿を消すように言いましょう。あの男は……逃げるように指示をしたから、上手く逃げてるんじゃないかしら?私の正体も知らないしね」
「そうか……」
ゼノは変装して侵入していたからよいとして……問題はミリーか……。
ミリーはこの中でも素性がバレている。しかもカリテス伯爵令嬢に薬を盛った実行犯だ。
ミリーが忠義心ゆえに単独で起こした犯行という事にして……。
ミリーには死んでもらう……か。
アリアには言わない方が良いだろう。
幼い頃から仕えてくれた侍女だしな。
暫くすると従者が息を切らせながら戻ってきた。
「旦那様、ミリーは今遣いに出ております。ゼノも外出中です」
「そうか……屋敷に戻ったらワシの部屋に通してくれ」
「はっ」
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