魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫

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幼少期

20

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「それは…魔道具だな」
向かいのソファからリュカが身を乗り出す。

「魔道具…初めて見た」

バングルを見つめながら自分の頬が熱いのが分かる。
今更ながらに恥ずかしくなってきた。
中身は大人だってのに、あんなふうに泣くなんて。ガキかよ、俺は。
リュカが泣いたことに関して触れないでいてくれることもいたたまれなくなる。

「いや、そこら中にあるよ」
ほらあれとか、といいながら指さしたのは先ほどまでリュカが使っていたペン。

「普通のボールペンじゃないんですか?」

「ボール?なんだい、それは」
初めて聞く言葉だ、というリュカにやべ、と焦りが滲む。
この世界にボールペンはないようだ。
気を付けなければ。

「ああ、いえなんでもないです。…魔道具って何なんですか?」

まあ、異世界ものでは定番のものだけど、この世界ではいろいろ違うかもしれないし。
一応聞いておく。

「魔道具というのは、魔力を原動力に動く道具だな」
まんまだな。想像通りだ。
つまらん。

リュカがペンを手に取り俺の前に置いた。
「このペンは、インクが魔力でできているから僕の魔力が無くならない限り、書き続けられる」

ほぉー。それは便利だ。インク替えが不要なのか。
現代にも欲しいな。

でも、それって…

ペンを取ってみるが何の変化もおきない。
「つまり、僕は使えないんですね」
なんてことだ、魔道具さえ使えないなんて。

「そ、そうなるな」

せっかく先ほどの通夜みたいな雰囲気が霧散したと思ったのに、ここにきて話が戻ってきてしまった。
リュカが気まずげな顔をしている。

「まあ、それはいいです。想定内なので。…それでこれは何の魔道具ですか?」
袖をまくりバングル…いや魔道具を見せる。
これ、相変わらず自分では外せないんだよな。
俺の体も成長してるのにきつくならないのは不思議だとは思ってたけど、魔道具だというなら納得だ。
「これは…僕も初めて見るな」
二人して頭を傾けていると横から突然声がした。

「それ、魔力封じですよ」

不思議そうに眺めるリュカとは違い、ロット君は確信をもった顔でそう言った。

「「魔力封じ?」」

二人の声が重なった。

「魔法が使えないようにするためのものです」

「え、魔力ないのに?」
嫌がらせか?

「ロット、それは確かなのか?シルヴァに魔力封じなんてつける意味はないだろう。それに…これは」
おい、地味に追い打ちかけるのやめろ。

「ええ、奴隷に使うやつです」

なんだって?!

「ど、奴隷ってあの奴隷ですか?」
そんなものを俺に?!

ただの飾りだと思っていたのに…

つけたのは、十中八九伯爵だろうな。
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