魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫

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幼少期

19

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しょうがないってなんだよ。
そんなこと思ってもいないくせに。

「母上はどうされたのですか?」
胸の奥からこみ上げてくるものを抑え込んで息を吐く。

その言葉にはじかれたようにリュカが顔を上げた。

「母上は…今、寝ているよ」
その先は言われなくてもわかる。
お前のせいだって思ってんだろ?

「僕のせいですか?あの時は母上が僕の手を握ったんです。それに魔力のことなんて知りません。
教えてもらってもいないのに!5歳の僕に何ができたっていうんですか?」

勢いを増していく言葉とは裏腹に体はどんどん冷えていく。

子供みたいに叫びながら胸の内をぶちまける。

「シルヴァ!そんなことは言ってないだろ?!」
怒ったように立ち上がり俺を睨みつけるリュカ。

「言ってんだよ!その顔が!」
隠せてるとでも思ってんのか?!
そう思ってんなら貴族教育受けなおしてこい!

言葉遣いなんて気にしてられっか!

「シルヴァ様!リュカ様にそのようなお言葉はっ…」

「ロット君は黙ってて!」
「ロットは黙ってろ」

同時に言い放ち謎の空気が流れた。

「…」
しゅんとしてしまったロット君を横目にリュカを睨む。

「はぁ、シルヴァいったん落ち着こう。母上のことは大丈夫だ」
立ち上がっていたリュカは、ソファに腰を沈めた。
シンとした空間に不釣り合いな鳥の声が窓の外から聞こえる。


母親も父親も、どうでもいい。

だけど、リュカと…ロット君は俺の内側に入れてしまったから。
二人に見限られたら俺は…どうしようもなく一人だ。

「俺が一人なのは俺が魔力を奪ってしまうから?だから誰も触れてくれないの?」

だから誰も…愛してくれないの?

「シルヴァ」

表面だけの関係は嫌なんだ。誰でもいい。俺に触れてくれないだろうか。

握るこぶしの上にぽたりぽたりと涙が落ちた。

こんなはずじゃなかった。

俺の魔力の話を聞いて、「なんだ、そんな理由なのか」と安心するはずだった。


俺が今、リュカに触れたら…リュカはどうなるのだろうか。
魔力は生命力だという。それを吸ってしまったら死んでしまう?
俺は、人殺しになってしまうのか?

でも、母上は生きているという。触れる時間で変わるのか?

俺は一生誰とも触れられないのか?


ぐるぐると回る思考に飲まれそうになり頭を抱えたその時だった。
ふと、視線の横できらりと光るものがあった。
ゆがんだ自身の瞳と目が合う。

「兄上、これは何ですか?」

腕を持ち上げ服の裾が下がった。
そこに光るのは5歳の頃から共にしているバングルだった。

うつむいていたリュカも、のろのろと頭を上げ視線が定まるとわずかに目を開いた。
「それは…どこで」
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