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青年期
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「あ」
触れる直前になって今度はこちらがシュバっと窓側に避ける。
目を先ほどよりも見開くリウ君。
あ、やっちゃった。
さりげなく下がれば良かったのに露骨に避けちゃった。
「あ、ごめんリウ君。えっと、避けたわけじゃなくて…びっくりしたというか…虫がね?虫が飛んできて?」
言い訳がましいか?
自分の手を見つめたリウ君はハッとしたように手を下げた。
手を引っ込めたリウ君は、「すみません。触ろうとして」とシュンとしている。
まるで、捨てられた子犬である。
罪悪感がじわりじわりと心に染み込んだ。
重くなった空気を何とかしようとバサッとフードを深くかぶり直し、窓の外を眺めることにした。
「わ、わあー。外綺麗だなー」
棒読みにも程がある俺の言葉をリウ君が律儀に拾ってくれた。
「そうですね…何もありませんけど」
いや、そんなことはないようだ。
見るからに落ち込んでしまったリウ君は、自分のズボンをぎゅっと握りしめうつむいている。
外を見もしていない。
「…あ、あの木なんていうんだろう。白くて綺麗だなぁ」
話しているうちに景色は街並みから森に移り変わり、見る景色ほとんどが木になってきた。
ここら一帯は、白い木が群生しており、まるで冬のようである。
そうそう、この世界の季節は二つしかなくて前世で言う春と冬くらいかな?暑すぎないけど冷えるときは寒いみたいな。そんな季節が半々にやってくる。
諦めずに俺が必死に外の景色を絶賛していると遠くにわずかに黒いものが見えた。
空に昇っていくあれは…煙だ。
「あ、ほら。あそこなんてほら…煙が…煙?」
方角的にあっちは俺の家があるところである。
前回下見に来た時にはあんなものは見えなかった。
あるのは俺の家と森。
それと森の中にあるらしい「彼」のいる屋敷。
「え、ちょっと、なんで煙なんか出てんの?!まさか火事?!」
まだ、住んでもいないのに全焼とか勘弁してくれよ?!
それか、山火事か?いや、森火事?
俺の慌てっぷりにリウ君はさすがに冗談ではないと思ったのか、ゆっくりと顔を上げた。
「え、本当に煙がっ。おじさんっ」
御者席につながる小窓を開けながらリウ君が叫んだ。
「ああ、見えてる。あっちに向かって大丈夫なのかい、兄ちゃん。もし、あの煙が魔物を呼び寄せる魔道具からのものだった場合…やべぇぞ」
そ、そんなのあんの?聞いてないんだけど。
リウ君がフルフルと頭を振っている。
「もし、あの煙がその魔物を呼び寄せる魔道具だったとしてどうなります?」
恐る恐る聞いてみるとおじさんの笑うような声が聞こえた。
「そんなの、決まってるだろ。ここら一帯はもちろん、その先のハーベル王国まで被害が行くだろうな」
そんなことを言う御者のおじさん。
全然笑えないんだが?
脳裏に両国の揉める姿がまざまざと浮かんだ。
「いやいや、でもハーベル王国との国境にだって門番さんとかいるでしょ?」
それに魔物が来ないように結界とかあるんじゃないの?
小窓に乗り出すように叫ぶ俺。
「いたとて…なんだ?こちらから魔物を送ったと思われれば宣戦布告と取られてもしょうがない」
「むしろ、それを好機と捉えて戦を仕掛けてくるかもな」
そんな?!
いや、待て。落ち着け。そもそも魔物を呼び寄せる魔道具と決まったわけじゃない。
そうだ、ただの火事かも。
だからと言って俺の家が燃えている可能性もあるわけだから…とりあえず俺の家に急いでくれ!!
「実際、昔あったらしい。他の国の話だがな。二つの国を争わせて両方の国を乗っ取ろうとした奴が魔物を放ったんだ」
なにそれ。漁夫の利じゃん。こっわ。
馬車に揺られながらおじさんの話に耳を傾ける。
「ま、結局そいつの犯行だってバレて一族に留まらず親族まで刑罰を受けた。もちろん主犯の貴族は解体され死刑」
お、おお。恐ろしい単語が。
関係ない人はマジで可哀想なやつな。
「結構な死傷者が出たらしい。…だから、気を付けた方がいいぞ。国境沿いで森の中、何があるかわからない。詮索はしないが早めに引っ越しをした方がいいぞ」
そうなんだけどねぇ?俺だって引っ越したいけど!いろいろと問題があるんだよ。
あ――、安請け合いしたか?
触れる直前になって今度はこちらがシュバっと窓側に避ける。
目を先ほどよりも見開くリウ君。
あ、やっちゃった。
さりげなく下がれば良かったのに露骨に避けちゃった。
「あ、ごめんリウ君。えっと、避けたわけじゃなくて…びっくりしたというか…虫がね?虫が飛んできて?」
言い訳がましいか?
自分の手を見つめたリウ君はハッとしたように手を下げた。
手を引っ込めたリウ君は、「すみません。触ろうとして」とシュンとしている。
まるで、捨てられた子犬である。
罪悪感がじわりじわりと心に染み込んだ。
重くなった空気を何とかしようとバサッとフードを深くかぶり直し、窓の外を眺めることにした。
「わ、わあー。外綺麗だなー」
棒読みにも程がある俺の言葉をリウ君が律儀に拾ってくれた。
「そうですね…何もありませんけど」
いや、そんなことはないようだ。
見るからに落ち込んでしまったリウ君は、自分のズボンをぎゅっと握りしめうつむいている。
外を見もしていない。
「…あ、あの木なんていうんだろう。白くて綺麗だなぁ」
話しているうちに景色は街並みから森に移り変わり、見る景色ほとんどが木になってきた。
ここら一帯は、白い木が群生しており、まるで冬のようである。
そうそう、この世界の季節は二つしかなくて前世で言う春と冬くらいかな?暑すぎないけど冷えるときは寒いみたいな。そんな季節が半々にやってくる。
諦めずに俺が必死に外の景色を絶賛していると遠くにわずかに黒いものが見えた。
空に昇っていくあれは…煙だ。
「あ、ほら。あそこなんてほら…煙が…煙?」
方角的にあっちは俺の家があるところである。
前回下見に来た時にはあんなものは見えなかった。
あるのは俺の家と森。
それと森の中にあるらしい「彼」のいる屋敷。
「え、ちょっと、なんで煙なんか出てんの?!まさか火事?!」
まだ、住んでもいないのに全焼とか勘弁してくれよ?!
それか、山火事か?いや、森火事?
俺の慌てっぷりにリウ君はさすがに冗談ではないと思ったのか、ゆっくりと顔を上げた。
「え、本当に煙がっ。おじさんっ」
御者席につながる小窓を開けながらリウ君が叫んだ。
「ああ、見えてる。あっちに向かって大丈夫なのかい、兄ちゃん。もし、あの煙が魔物を呼び寄せる魔道具からのものだった場合…やべぇぞ」
そ、そんなのあんの?聞いてないんだけど。
リウ君がフルフルと頭を振っている。
「もし、あの煙がその魔物を呼び寄せる魔道具だったとしてどうなります?」
恐る恐る聞いてみるとおじさんの笑うような声が聞こえた。
「そんなの、決まってるだろ。ここら一帯はもちろん、その先のハーベル王国まで被害が行くだろうな」
そんなことを言う御者のおじさん。
全然笑えないんだが?
脳裏に両国の揉める姿がまざまざと浮かんだ。
「いやいや、でもハーベル王国との国境にだって門番さんとかいるでしょ?」
それに魔物が来ないように結界とかあるんじゃないの?
小窓に乗り出すように叫ぶ俺。
「いたとて…なんだ?こちらから魔物を送ったと思われれば宣戦布告と取られてもしょうがない」
「むしろ、それを好機と捉えて戦を仕掛けてくるかもな」
そんな?!
いや、待て。落ち着け。そもそも魔物を呼び寄せる魔道具と決まったわけじゃない。
そうだ、ただの火事かも。
だからと言って俺の家が燃えている可能性もあるわけだから…とりあえず俺の家に急いでくれ!!
「実際、昔あったらしい。他の国の話だがな。二つの国を争わせて両方の国を乗っ取ろうとした奴が魔物を放ったんだ」
なにそれ。漁夫の利じゃん。こっわ。
馬車に揺られながらおじさんの話に耳を傾ける。
「ま、結局そいつの犯行だってバレて一族に留まらず親族まで刑罰を受けた。もちろん主犯の貴族は解体され死刑」
お、おお。恐ろしい単語が。
関係ない人はマジで可哀想なやつな。
「結構な死傷者が出たらしい。…だから、気を付けた方がいいぞ。国境沿いで森の中、何があるかわからない。詮索はしないが早めに引っ越しをした方がいいぞ」
そうなんだけどねぇ?俺だって引っ越したいけど!いろいろと問題があるんだよ。
あ――、安請け合いしたか?
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