魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫

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青年期

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「シルヴァ様。あなたにもメリットはあるんです。…まず、世界が終わりません」
笑顔でサムズアップしてくるステラにイライラが募る。

一個目から重いわ。

「それから、彼は魔力が多いので魔道具使い放題ですし、チームを組めば冒険者にだってなれます」
ピースをするように目の前に掲げてくる。

うーん、魔道具は別に最初から使えないから別に。
冒険者もなぁ。魔物と戦ったりしたくないし。

魔法が使えない俺とチーム組んでもそれって俺、ただのお荷物じゃん。
年下に戦ってもらって金だけ貰うって…さすがにできん。

「夢がないですねぇ。普通、異世界来たら無双したくならないんですか?」
え、それ俺に言う?魔法使えない俺に?
俺、TUEEEEは5歳で諦めてるわ。

「そういうステラは?魔法強いじゃん」
知ってるぞ、ステラは大体の魔法使えるの。

「私は、あくまで壁なので」

は?

「この世界がBLゲームだと気付いた時点で私は背景になることを決めたんです」

うん、どういうこと?

「あ、こっちの話です。気にしないでください。ちなみにシルヴァ様はメインなので」

メイン?何の?
俺はモブだぞ。というか、ゲーム開始時点ですでに死んでるんだからメインも何もないだろ。
モブですらないわ。

さっきから何を言ってるんだ。
俺の知ってる言語で話してくれ。

「シルヴァ様、どうやって生きていくつもりなんですか。お金、稼げないですよね。彼に稼いでもらうしかないですよね」
詰め寄るように言われ二の句が継げなかった。

ぐうの音も出ない。


「彼が屋敷から出るのはおそらく、シルヴァ様が家を出て二か月後かと。スチルでしかわからないので推測ですが…」

推測かよ。不安しかないけど大丈夫そう?

――

完全にやられた。スチルって言ってたからどうせ、白い木が周りに描かれてたから冬だと思ったんだろ?
まだ、暖かいよ。冬じゃないよ。

どうすんの?
出会っちゃったよ。彼と。

――

はやる気持ちを抑え、座っているとだんだんと煙が近づいてきた。

身を乗り出して窓の外を見ると木の間から家の屋根が見えた。
煙は俺の家、のその先から出ているようだ。

…俺の家、からじゃない?


…はああーー、良かったぁ。俺の家無事だった。
全身から力が抜けて思わず座り込んでしまった。

「あそこの家かい?」

「そう!俺の家無事だった~」

「そりゃ良かったが、まだ、煙が出てるぞ」

「それなんだけど、森から火は出てなさそうだしなぁ。」
ということは…あの屋敷か?

でもある場所を知らないんだよなぁ。
まあ、煙のある場所なんだろうが…行きたくはない。

悪いやつがいるところの根城だろ?
ばったり会って顔でも見られたら嫌だし。
顔を知ってしまうのも嫌だ。

ステラの話では、「彼」を誘拐した奴は死ぬらしいけどそいつだけじゃないわけだし。

怖いやつには関わらない、ということで近寄らないでおこう。
うん、それがいい。


おじさん、俺の家に向かってくれ。
わずかに煙の臭いが鼻を刺激するが、ここから遠いので気にしないことにする。


久しぶりの我が家。
ただいま。

木造建築の一軒家。
…あの火、ここまで来ないだろうな。
火が移ったら終わりなんだが?


鍵を開けて扉を開けると、光が室内に入って、きらきらと光った。
ただの埃である。
掃除もしなきゃだな。

ま、家具がないからやりやすいけど。

なーんにもない。がらんとしている。
ついてきたおじさんも家の中を物珍しげに見てるけど見るもん何にもないぞ。
と思ったら、鍵を見ているようだった。
…みんな、きっと鍵で開けるとかないんだろうな。


リウ君、頼んだ。
俺の理想の家にしてくれ。

リウ君に視線を移すと、きょろきょろと周囲を見渡し「ここらへんでいいかな?」と顎に手を置いている。

場所が決まったのかこちらを向いたのでうなずいて返す。

では、と手を前にかざすリウ君。

「形あるもの、我の手に。開け、開け。此処は檻、我は鍵」

リウ君の足元に魔法陣が光、俺が注文していた品物がその光から現れた。

おお、なんかカッコいい!

パチパチと手を拍つと、リウ君がこちらを見て照れたように笑った。
かっわい~。

「ありがとう、リウ君。また、あとでお世話になると思うからお願いね」

さて、椅子やらテーブルは後で移動するとしてとりあえず二人を、もてなしたいところだがその茶葉すらない。
カップもない。さらには水もない。

今日はこのままお帰りいただくしかないだろう。

リウ君に、チップを渡して外に促す。

二人が外に出たので俺も出る。

「シルヴァさんも出るんですか?まさか、煙の方に?」
リウ君が心配げに聞いてくれる。

違うから安心してくれ。

「兄ちゃん、悪いことは言わないからよしとけよ。見た感じ、魔物が集まってはいないから魔物寄せの香じゃないんだろうが危険なことに変わりはねぇよ」

行かないって。
ただ、水汲みに行くだけだから。

そう伝えると二人は目を丸くした。
「今までどうやって生きてきたんですか?」

あれ、今リウ君にナチュラルにディスられた?
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