人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ

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第50話 小鳥さんが、ぼくを連れてく

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「ふぁぁ……これも……これも、ぜんぶ読んじゃったなぁ」

侍女さんは3人そろって用事に行っちゃった。絵本はぜーんぶ3回ずつ読んだし、まだおやつの時間じゃない。

「なぁにしようかなぁ……」

ソファから足をブラブラさせて、お外をながめてぼんやり。

「もー、窓の外もずーっと同じ! 雲の形しか同じじゃないとこないくらい」
昨日も一昨日も、雨がふりそぅってお外禁止になったし、ファランさまは忙しくてハロルドさまもお勉強があって会えないし、ちょっと退屈。

「あーん、今日はお散歩ダメかなぁ? お花さいてるの、見に行きたいなぁ。ちょうちょもいるかもぉ、だし」

じーーっと窓の向こうを見てると、何かが横切って――

「あっ、ことりさん……!!」

ぼくは思わず、ひた、とガラスに張り付く。

「うゎぁ、ふわふわ! ちいさい、かわいい!」

小鳥は、中庭の木の枝にちょこん。ふさふさの白い羽根、やわらかそぉぉ……!

「あーん、どんな羽根なのかなあ?」
羽根をぱたた、と動かしてなにか言ってる。

「ことりさん、なんて鳴くんだろぉ?」
ピピピ、かな。チロロ、かな。

「あーん、ちかくで見てみたいぃ」
でも、侍女さんたちは、すぐ戻りますから絵本の続き、読んでてくださいねって。

「絵本、読んでしまったから。ちがうことしてもいぃかなぁ?」
ちょっとだけ、ちょっとだけお外にでて、鳥さんをみてみたい。

「ちょっとなら……いいよね。すぐそこだし」
部屋から見える、すぐそこの庭だし。どこか行ったことにはならないよね!

「きまり!」
そう決めてしまえば、もうじっとはしてられない。

「えっとえっと……」

中庭に行くドアの開け方は……たぶんこう。

――えいっ!

「開いたっ!」

お散歩用の靴はないけど……ちょっとそこまでようの靴があるから、おっけー!

よいしょ、と靴をはいて、しずかーに足を進める。

「ことりさん、まだいるー?」

さっきの木の枝をみると、白いころんとしたふわふわが、羽根を閉じてピル、と頭をかしげた。

「かゎぃぃ……」

ことりさんビックリしないようにそーっっと、そーーっと、行かないとね。

「チチ……」

「きゃあ」
チチ、って鳴いたぁ!

「チチ、チロロ……」

チロロ、も言ったぁ! かわいぃぃ。ずっと頭、ピルピルしてる。
どんな顔なのかなぁ。もうちょっと近くでみたいなー。

ことりさん、どこにもいかないでねー? ちょっとだけ、ぼくにお顔見せてね。
そーっと、そーっと、そ――

「あっ!」

ぼくが2歩3歩あるいたところで、小鳥さんは羽根をぱたた、とていってしまう。

「ま、まってーー!」

「チロロ」

あれ! ことりさん聞こえたのかな?
近くの枝に止まってまた、鳴いてるぅ。

「よーし、今度こそ……」

そーーっと、そぉぉぉ……っと――

「――あっ!」

近づいたのに、またぱたた、と飛んで、ちょっと向こうの木に。
ちょっとも、じっとしててくれないぃぃ。

「あーん。追いかけっこは、ぼく負けちゃうよー。待ってー」

お庭の土は柔らかくて、歩くと少しふかふかしてる。これなら、追いかけっこしても、ぜんぜん疲れなさそう。

「あっ、向こうの木にいるー!」

あんまりびっくりさせないように、そっと近づいて……と。

「あれ? あそこ――」

なんか白くてキラキラしたのが落ちてるっ!

「なんだろー?」

しゃがんでよーく見てみると、なんかの白いフワフワだった。

「あっ! これ、もしかしてことりさんの羽根!?」

日にかざすと、もっときらきらしてて、なにもないみたいに軽い。

「たいへん! 持ってたらなくしちゃうかも!」

えーっと、しまうとこしまうとこ。……あった!

そーっと上着のポケットにしまって。

「あ、ことりさんは!?」

顔を上げると、もうことりさんはどこにもいない。

「えええ……どこぉぉ……」

きらきらでフワフワの白い羽根を見ちゃったら、さっきよりことりさんを見たくなっちゃう。

「えー、どっちかなぁ……」

ことりさんを探して、キョロキョロしてると――

――チチ、チロロ……


どこか遠くから聞こえてくる。


「……あっちだ!」

今度はそっとじゃなくて、急いで急いで。ことりさんが遠くに行っちゃう前に。

「――チチ、チロロ」

さっきより、少しだけはっきり聞こえてくる。

「こっち!」

どんどん進んで、石のかいだんをぴょん、ぴょん、とおりて。

――チチ、チロロロ

「あっちだ!」

お花のトンネルのなかをくぐって……

――チチ

「あっち、かな?」

そのさきの、小道。

「……あれ? どこかな?」

チチって、チロロって、もう聞こえない。

「ことりさーん?」

どこだろ? どこいっちゃったの?

「んんー、あっち? ううん、こっちかも」

白いフワフワの姿を探して、あちこちキョロキョロ。

「……あれ? なあにぃ?」
キョロキョロの眼の前に、なにかヒラッと落ちてくる。

「えい」

上手に捕まえたそれは――


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