人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ

文字の大きさ
58 / 86

第58話 失敗はおいしいのもと!?

しおりを挟む
「あ、あれ?」
こげクッキーのにおいをくんくんして、料理人さんがあれれ?となる。

「ね? なんかおいしそうなにおいするでしょ?」
「はい。なんでだろう。こんなに焦げてるのに……」

「なんかこれ、焦がしバターみたいなにおいする。バター塗ったの?」
「あ、よくわかりますね! レモンバターを塗ったんです。おいしくなるかなと思って」
「レモンバター! おいしそうすぎるねっ!?」
「はい。でも、焦げてしまって」

「なるほどぉ。バターは焦げやすいからねぇ」
「え、そうなんですか? ぼくより詳しいですね!?」
「えっへん」

えらそーな顔したけど、実は前世の何処かで聞きかじった話とはいえない。

「でもねぇ、バターは焦げてもおいしいかもよぉ? いいにおいだしぃ」
「え……そうなんですけかねぇ?」

めっっちゃ心配な顔するじゃん。だいじょうぶよぉ? 焦がしバターしらないかんじぃ?

「ちょっと食べてみていい?」
「えっ、苦いですよ、きっと」
「へーきへーき。ちょっとだから」

止めるのも待たないで、コゲコゲクッキーのはしっこをカリッ。

「もぐもぐ――」
「ど、どうですか……? だいじょうぶですか? 無理に食べなくても――」

んんんん!?

「こ、これは……」
「ど、どうしましたか? にが、苦いですか? やっぱりそうですよね。あわわ――」

バターさん、なんかアワアワ、ジタバタしてるけど、ぼくはそれどこじゃない。

だって、これ――

「おいしいっ!」
「えっ!?」

もう一口、ザクッとパクっと。
ザクザクかむと、ほろ、からのジュワ~で、ちょっぴりなレモンのかおりと濃いバターの風味。

「これは、ほんとに、おいしい!」
「そ、そうなんですか!? え?」
「ほらほら、食べて食べて!」

えいえい、と皿を押しやると、バターは、目をパチパチしながらクッキーを手に取る。

「どう? どうどう?」
バターさんは、ザクとかじって、んん?という顔。

「こ……これは――」
うそだろ、みたいな顔でクッキーを見てる。わかる、そうよね?

「おいしいっ!」
「でしょーー?」
「作ろうと思ってたのより、2.5倍おいしい!」
「2.5倍……なぞにリアルな数字」
「まさか、焦げたクッキーがおいしいなんで……」
「ちがうのよ、これ。よくみて? クッキーはこげてないの。バターだけこげてるの」
「え? あ、そうですね……じゃあ、本当にバターは焦げやすいんですね」
「そう。でも、焦がしバターはおいしいから、これでせいかいなの」
「わぁ……これ、いけますかね?」
「いけるいける! ぼくのおやつにしたいもん」
「わあ!」
バターさんは、わあ!っていいながら、わあ!の顔でぼくを見た。
「ありがとうございます! 料理長に相談してみますっ!」
「それがいいね。失敗したって言わなくていいよ。焦がしレモンバターのクッキーです、って言うのよ?」
「あ、そうですね。はい!」

うんうん。焦がしバターは失敗じゃないからね。

「じゃあ、がんばってね!」
「はい、ありがとうございます! たすかりました! ほんとにっ!」
「うふふー。ばいばーい!」

バターさんと、クッキーと、いい匂いの工房にバイバイして、外に出る。

「うーーん、まだいい匂い。今日のおやつ、なにかなぁ……」

おやつの時間まで、次はどこにお散歩行こっかなぁ。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

【読切短編】転生したら辺境伯家の三男でした ~のんびり暮らしたいのに、なぜか領地が発展していく~

Lihito
ファンタジー
過労死したシステムエンジニアは、異世界の辺境伯家に転生した。 三男。継承権は遠い。期待もされない。 ——最高じゃないか。 「今度こそ、のんびり生きよう」 兄たちの継承争いに巻き込まれないよう、誰も欲しがらない荒れ地を引き受けた。 静かに暮らすつもりだった。 だが、彼には「構造把握」という能力があった。 物事の問題点が、図解のように見える力。 井戸が枯れた。見て見ぬふりができなかった。 作物が育たない。見て見ぬふりができなかった。 気づけば——領地が勝手に発展していた。 「俺ののんびりライフ、どこ行った……」 これは、静かに暮らしたかった男が、なぜか成り上がっていく物語。

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

気弱令嬢の悪役令嬢化計画

みおな
ファンタジー
 事故で死んだ私が転生した先は、前世の小説の世界?  しかも、婚約者に不当に扱われても、家族から冷たくされても、反論ひとつ出来ない気弱令嬢?  いやいやいや。 そんなことだから、冤罪で処刑されるんでしょ!  せっかく生まれ変わったんだから、処刑ルートなんて真っ平ごめん。  屑な婚約者も冷たい家族も要らないと思っていたのに・・・?

ヒロインの味方のモブ令嬢は、ヒロインを見捨てる

mios
恋愛
ヒロインの味方をずっとしておりました。前世の推しであり、やっと出会えたのですから。でもね、ちょっとゲームと雰囲気が違います。 どうやらヒロインに利用されていただけのようです。婚約者?熨斗つけてお渡ししますわ。 金の切れ目は縁の切れ目。私、鞍替え致します。 ヒロインの味方のモブ令嬢が、ヒロインにいいように利用されて、悪役令嬢に助けを求めたら、幸せが待っていた話。

スキルなし、聖女でもない。ただの「聞き上手」な私が異世界で幸せを探して旅に出ます~気づけば氷雪の騎士様に溺愛されています~

咲月ねむと
恋愛
ブラック企業で心身ともに疲弊していた元OL・神童エマ(26)は、ある日突然、異世界の草原で目覚めた。 ​神様からのチート能力もなければ、聖女のような魔法の才能もない。 あるのは「人の話をじっくり聞く忍耐力」と「美味しいものを美味しく食べる才能」、そして「ちょっとした気遣い」だけ。 ​「私の武器は、ハンカチと笑顔と、一杯の温かい紅茶です」 ​途方に暮れる彼女が出会ったのは、寂れたパン屋の頑固なお婆さんと、国一番の強さを誇るが故に人々から恐れられる『氷の騎士』ジークフリート。 ​特別な力はないけれど、現代日本の感性で人々の悩みを聞き、心を解きほぐしていくエマ。そんな彼女に救われた不器用な騎士様は、あろうことか地位も名誉も投げ打って、彼女の旅の「荷物持ち」になることを宣言し――!? ​「エマ、お前が笑うと、俺の呪いが溶けていく気がするんだ」 「あの……距離が近くないですか、騎士様?」 ​無自覚な聞き上手ヒロイン×強面だけど超一途な溺愛騎士。美味しいパンと、温かいスープ、そして時々トラブル。 幸せを探して旅する二人の心温まる異世界スローライフ。 これはスキルがない一般人が贈る、涙と笑顔と溺愛の旅。

婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。

桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。 「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」 「はい、喜んで!」  ……えっ? 喜んじゃうの? ※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。 ※1ページの文字数は少な目です。 ☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」  セルビオとミュリアの出会いの物語。 ※10/1から連載し、10/7に完結します。 ※1日おきの更新です。 ※1ページの文字数は少な目です。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年12月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

処理中です...