21 / 30
第7話 撃退と、その後のクロードの行動(1)
しおりを挟む
「ディオンさん、ありがとうございました……っ。それと……っ。あんなにも想ってくださっていて、嬉しいです。幸せです……!」
ロウズナ家の馬車が去ってすぐ。私はぎゅっと抱き付き、安心感のあるお胸に顔を埋(うず)めさせてもらいました。
これまでも沢山の愛を頂いていると感じていましたが、実際はもっともっとでした。それが、幸せ幸せで。また独りでに、嬉し涙がこぼれてきてしまいます。
「あの時助けてもらって、プロポーズまでしてもらえて……っ。それだけでも充分幸せなのに、それ以外にもあって……っ。………駄目、です……っ。幸せで幸せで……っ。幸せ以外の言葉が、浮かんでこなくなってしまいました……っ」
「そうなってしまうくらいに喜んでもらえて、光栄だよ。準備していたものが役に立ってよかった」
私の背中にもそっと腕が回って、抱き締められつつ柔らかな声が耳をくすぐりました。
包み込まれる感覚や、安心できる声。それは今でも一番好きなものでして、無条件で顔が綻んでしまいます。
「クロード・ロウズナという男は、自己中心的でありプライドの塊のような人間だ。ああしておいたら、二度と君の前に現れることはない。もう安心だよ」
「そうですね、ディオン殿。惚れ惚れしてしまう、見事な追撃でした」
その際のクロードは、悔しさと羞恥で我を失いかけていました。彼に対抗する手段はありませんし、もうあのように押しかけてはこれませんね。
(恐縮です、エリナス卿。しかし――。出しゃばってしまい、申し訳ございませんでした)
(いえいえ、わたしは嬉しいですよ。娘の為に更に怒(いか)り、撃退してくれた。父親として、こんなにも幸せな事はありませんよ)
(有難いお言葉、感謝いたします。……ただ、ああ言いましたが)
(あの男の性格を鑑みると、これで終わりはないでしょうね。もうひと騒動、あるはずです)
「??? ディオンさん? お父様? どうかされましたか?」
ディオンさんがお父様に頭を下げた後、ヒソヒソ話が始まりました。
お二人は……。なにを仰っているのでしょうか……?
「ううん、なんでもないよ。……余計な来客は去ったことだし、お喋りをしながらお茶をしようか。今日は、最近人気のお茶菓子を持ってきたんだ」
「ディオンさんのお土産はとても美味しいので、楽しみです……っ。私も美味しい茶葉を用意していますので、楽しみにしていてくださいね」
ディオンさんが好む、アールグレイ。一昨日友人から教えてもらったお店を訪ね、試飲を行い、ディオンさん好みのものを買ってきています。
購入した時から召し上がってもらう時が楽しみだったので、私は声を弾ませて支度を行う。キッチンスペースでお湯を沸かして、ポットやソーサーを準備して、
「ありがとうクリステル。部屋へは俺が持っていくよ」
「ディオン殿、クリステル。よい時間を」
いつものようにディオンさんがトレーを運んでくれて、エドガーお父様に見送られて、お部屋に着くと楽しい時間の始まり。リーフパイとアールグレイを味わいながらお喋りをたっぷり行って、私は素敵な時を過ごしたのでした……っ。
ロウズナ家の馬車が去ってすぐ。私はぎゅっと抱き付き、安心感のあるお胸に顔を埋(うず)めさせてもらいました。
これまでも沢山の愛を頂いていると感じていましたが、実際はもっともっとでした。それが、幸せ幸せで。また独りでに、嬉し涙がこぼれてきてしまいます。
「あの時助けてもらって、プロポーズまでしてもらえて……っ。それだけでも充分幸せなのに、それ以外にもあって……っ。………駄目、です……っ。幸せで幸せで……っ。幸せ以外の言葉が、浮かんでこなくなってしまいました……っ」
「そうなってしまうくらいに喜んでもらえて、光栄だよ。準備していたものが役に立ってよかった」
私の背中にもそっと腕が回って、抱き締められつつ柔らかな声が耳をくすぐりました。
包み込まれる感覚や、安心できる声。それは今でも一番好きなものでして、無条件で顔が綻んでしまいます。
「クロード・ロウズナという男は、自己中心的でありプライドの塊のような人間だ。ああしておいたら、二度と君の前に現れることはない。もう安心だよ」
「そうですね、ディオン殿。惚れ惚れしてしまう、見事な追撃でした」
その際のクロードは、悔しさと羞恥で我を失いかけていました。彼に対抗する手段はありませんし、もうあのように押しかけてはこれませんね。
(恐縮です、エリナス卿。しかし――。出しゃばってしまい、申し訳ございませんでした)
(いえいえ、わたしは嬉しいですよ。娘の為に更に怒(いか)り、撃退してくれた。父親として、こんなにも幸せな事はありませんよ)
(有難いお言葉、感謝いたします。……ただ、ああ言いましたが)
(あの男の性格を鑑みると、これで終わりはないでしょうね。もうひと騒動、あるはずです)
「??? ディオンさん? お父様? どうかされましたか?」
ディオンさんがお父様に頭を下げた後、ヒソヒソ話が始まりました。
お二人は……。なにを仰っているのでしょうか……?
「ううん、なんでもないよ。……余計な来客は去ったことだし、お喋りをしながらお茶をしようか。今日は、最近人気のお茶菓子を持ってきたんだ」
「ディオンさんのお土産はとても美味しいので、楽しみです……っ。私も美味しい茶葉を用意していますので、楽しみにしていてくださいね」
ディオンさんが好む、アールグレイ。一昨日友人から教えてもらったお店を訪ね、試飲を行い、ディオンさん好みのものを買ってきています。
購入した時から召し上がってもらう時が楽しみだったので、私は声を弾ませて支度を行う。キッチンスペースでお湯を沸かして、ポットやソーサーを準備して、
「ありがとうクリステル。部屋へは俺が持っていくよ」
「ディオン殿、クリステル。よい時間を」
いつものようにディオンさんがトレーを運んでくれて、エドガーお父様に見送られて、お部屋に着くと楽しい時間の始まり。リーフパイとアールグレイを味わいながらお喋りをたっぷり行って、私は素敵な時を過ごしたのでした……っ。
28
あなたにおすすめの小説
【完結】22皇太子妃として必要ありませんね。なら、もう、、。
華蓮
恋愛
皇太子妃として、3ヶ月が経ったある日、皇太子の部屋に呼ばれて行くと隣には、女の人が、座っていた。
嫌な予感がした、、、、
皇太子妃の運命は、どうなるのでしょう?
指導係、教育係編Part1
【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ
リリス
恋愛
公爵令嬢ヤスミーンには侯爵家三男のエグモントと言う婚約者がいた。
先日不慮の事故によりヤスミーンの両親が他界し女公爵として相続を前にエグモントと結婚式を三ヶ月後に控え前倒しで共に住む事となる。
エグモントが公爵家へ引越しした当日何故か彼の隣で、彼の腕に絡みつく様に引っ付いている女が一匹?
「僕の幼馴染で従妹なんだ。身体も弱くて余り外にも出られないんだ。今度僕が公爵になるって言えばね、是が非とも住んでいる所を見てみたいって言うから連れてきたんだよ。いいよねヤスミーンは僕の妻で公爵夫人なのだもん。公爵夫人ともなれば心は海の様に広い人でなければいけないよ」
はて、そこでヤスミーンは思案する。
何時から私が公爵夫人でエグモンドが公爵なのだろうかと。
また病気がちと言う従妹はヤスミーンの許可も取らず堂々と公爵邸で好き勝手に暮らし始める。
最初の間ヤスミーンは静かにその様子を見守っていた。
するとある変化が……。
ゆるふわ設定ざまああり?です。
婚約破棄させたいですか? いやいや、私は愛されていますので、無理ですね。
百谷シカ
恋愛
私はリュシアン伯爵令嬢ヴィクトリヤ・ブリノヴァ。
半年前にエクトル伯爵令息ウスターシュ・マラチエと婚約した。
のだけど、ちょっと問題が……
「まあまあ、ヴィクトリヤ! 黄色のドレスなんて着るの!?」
「おかしいわよね、お母様!」
「黄色なんて駄目よ。ドレスはやっぱり菫色!」
「本当にこんな変わった方が婚約者なんて、ウスターシュもがっかりね!」
という具合に、めんどくさい家族が。
「本当にすまない、ヴィクトリヤ。君に迷惑はかけないように言うよ」
「よく、言い聞かせてね」
私たちは気が合うし、仲もいいんだけど……
「ウスターシュを洗脳したわね! 絶対に結婚はさせないわよ!!」
この婚約、どうなっちゃうの?
妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます
tartan321
恋愛
最後の結末は??????
本編は完結いたしました。お読み頂きましてありがとうございます。一度完結といたします。これからは、後日談を書いていきます。
【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った
冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。
「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。
※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。
平手打ちされたので、婚約破棄宣言に拳でお答えしました
Megumi
恋愛
婚約破棄を告げられ、婚約者に平手打ちされた——その瞬間。
伯爵令嬢イヴの拳が炸裂した。
理不尽に耐える淑女の時代は、もう終わり。
これは“我慢しない令嬢”が、これまでの常識を覆す話。
【完結】いつも私をバカにしてくる彼女が恋をしたようです。〜お相手は私の旦那様のようですが間違いはございませんでしょうか?〜
珊瑚
恋愛
「ねぇセシル。私、好きな人が出来たの。」
「……え?」
幼い頃から何かにつけてセシリアを馬鹿にしていたモニカ。そんな彼女が一目惚れをしたようだ。
うっとりと相手について語るモニカ。
でもちょっと待って、それって私の旦那様じゃない……?
ざまぁというか、微ざまぁくらいかもしれないです
平凡令嬢は婚約者を完璧な妹に譲ることにした
カレイ
恋愛
「平凡なお前ではなくカレンが姉だったらどんなに良かったか」
それが両親の口癖でした。
ええ、ええ、確かに私は容姿も学力も裁縫もダンスも全て人並み程度のただの凡人です。体は弱いが何でも器用にこなす美しい妹と比べるとその差は歴然。
ただ少しばかり先に生まれただけなのに、王太子の婚約者にもなってしまうし。彼も妹の方が良かったといつも嘆いております。
ですから私決めました!
王太子の婚約者という席を妹に譲ることを。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる