私との婚約は、選択ミスだったらしい

柚木ゆず

文字の大きさ
9 / 42

第4話 おかしな買い物をした理由~結婚前に父から頼まれていたこと~ケヴィン視点(1)

しおりを挟む
「えっ!? 婚約や結婚に関わる費用は、全部俺が負担しなければならない!?」

 エマの家で婚約撤回を取り付け、リナスのもとに大ニュースを届けたあとのこと。我が家に戻ると執務室に呼ばれ、そこにいた父さんから予想外のことを言われた。
 婚約発表のパーティー、招待状の作成と送付、式場やスタッフの手配、ウェディングドレスなどなど。その全ての金を、俺一人で出さないといけないだって……!?

「そんな話は聞いたことがない! エマと円満に別れられたのは父さんも知っているし、父さんもリナスを歓迎していたじゃないか!? どうして罰じみた仕打ちを受けなけばならないんだ!?」
「……前当主――わたしの父、お前の祖父からの命令だ。円滑な解消であっても、自身の都合で先方など多くの人間に迷惑をかけてしまった。その罰として一切を支払わせよ、とのことなんだよ」

 じい様は筋の通った人間物分かりが悪い昔思考の人間で、厄介なことに一線を退いてもなお、家内で一番の発言権を持っている。
 ……くぅ……。エマなんかに興味を持ってしまったせいで……。リナスを泣かせるだけではなく、こんなところにまで悪影響が出てしまったのか……っ。

「わたしとしてもコッソリ出してあげたいのだが、父上はその件に関して金の動きを監視すると仰られているんだ。残念ながら、どうにもできないのだよ」
「……父さんは、現当主だ。めでたい出来事に水を差すなと、言い返す事は――」
「無理だ。父上に下手に逆らうと、最悪当主の座が弟達へと移行してしまうからな。さっき言ったようにコッソリ支払うことも、後日その分の金を渡したりすることさえも、できないんだよ」

 当面、父さんから――家から俺への支援は禁止する。金の動きは全て記録させ、じい様のもとへと送る。それは、決定事項……。

「所謂謹慎期間が解けたら、すぐに何らかの形で補填してやろう。それまで耐えてくれ」

 そうして俺は祖父を怨みつつ、仕方がないので全てのアレコレを自力で行うことにした。
 幸い俺には、そういった作業をやり遂げるだけの財はある。
 そこでこれまで稼いだ金を使い、もちろん――。余計な不安を与えてしまうため、この件はリナスには内緒。家の協力を得ていると嘯いて独りでセッティングを行い、必死に動いたかいあって、2人の結婚式は無事に成功。
 一生の思い出となる最高の式となり、俺の優れた観察眼・・・・・・によって、ハネムーンも新婚生活も完璧。リナスは密かに想っていた俺と毎日居られて、俺は真に愛する人の笑顔を毎日見られて、全てが順調に進んでいた――のだが……。それから、2か月後。その日も愛する人を喜ばせるために動こうとしていた俺は、痛恨のミスを犯していたと気付くのだった。

しおりを挟む
感想 216

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします

たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。 荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。 「この猫に構うな。人間嫌いだから」 冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。 猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。

虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜

ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」 あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。 「セレス様、行きましょう」 「ありがとう、リリ」 私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。 ある日精霊たちはいった。 「あの方が迎えに来る」 カクヨム/なろう様でも連載させていただいております

公爵令嬢は運命の相手を間違える

あおくん
恋愛
エリーナ公爵令嬢は、幼い頃に決められた婚約者であるアルベルト王子殿下と仲睦まじく過ごしていた。 だが、学園へ通うようになるとアルベルト王子に一人の令嬢が近づくようになる。 アルベルト王子を誑し込もうとする令嬢と、そんな令嬢を許すアルベルト王子にエリーナは自分の心が離れていくのを感じた。 だがエリーナは既に次期王妃の座が確約している状態。 今更婚約を解消することなど出来るはずもなく、そんなエリーナは女に現を抜かすアルベルト王子の代わりに帝王学を学び始める。 そんなエリーナの前に一人の男性が現れた。 そんな感じのお話です。

捨てられた私は遠くで幸せになります

高坂ナツキ
恋愛
ペルヴィス子爵家の娘であるマリー・ド・ペルヴィスは来る日も来る日もポーションづくりに明け暮れている。 父親であるペルヴィス子爵はマリーの作ったポーションや美容品を王都の貴族に売りつけて大金を稼いでいるからだ。 そんな苦しい生活をしていたマリーは、義家族の企みによって家から追い出されることに。 本当に家から出られるの? だったら、この機会を逃すわけにはいかない! これは強制的にポーションを作らせられていた少女が、家族から逃げて幸せを探す物語。 8/9~11は7:00と17:00の2回投稿。8/12~26は毎日7:00に投稿。全21話予約投稿済みです。

【完結】地味令嬢の願いが叶う刻

白雨 音
恋愛
男爵令嬢クラリスは、地味で平凡な娘だ。 幼い頃より、両親から溺愛される、美しい姉ディオールと後継ぎである弟フィリップを羨ましく思っていた。 家族から愛されたい、認められたいと努めるも、都合良く使われるだけで、 いつしか、「家を出て愛する人と家庭を持ちたい」と願うようになっていた。 ある夜、伯爵家のパーティに出席する事が認められたが、意地悪な姉に笑い者にされてしまう。 庭でパーティが終わるのを待つクラリスに、思い掛けず、素敵な出会いがあった。 レオナール=ヴェルレーヌ伯爵子息___一目で恋に落ちるも、分不相応と諦めるしか無かった。 だが、一月後、驚く事に彼の方からクラリスに縁談の打診が来た。 喜ぶクラリスだったが、姉は「自分の方が相応しい」と言い出して…  異世界恋愛:短編(全16話) ※魔法要素無し。  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆ 

僕の婚約者は今日も麗しい

蒼あかり
恋愛
公爵家嫡男のクラウスは王命により、隣国の王女と婚約を結ぶことになった。王家の血を引く者として、政略結婚も厭わないと覚悟を決めていたのに、それなのに。まさか相手が子供だとは......。 婚約相手の王女ローザもまた、国の安定のためにその身を使う事を使命としていたが、早い婚約に戸惑っていた。 そんなふたりが色々あって、少しづつ関係を深めていく。そんなお話。 変わり者の作者が、頑張ってハッピーエンドを目指します。 たぶん。きっと。幸せにしたい、です。 ※予想外に多くの皆様に読んでいただき、驚いております。 心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。 ご覧いただいた皆様に幸せの光が降り注ぎますように。 ありがとうございました。

虐げられ続けてきたお嬢様、全てを踏み台に幸せになることにしました。

ラディ
恋愛
 一つ違いの姉と比べられる為に、愚かであることを強制され矯正されて育った妹。  家族からだけではなく、侍女や使用人からも虐げられ弄ばれ続けてきた。  劣悪こそが彼女と標準となっていたある日。  一人の男が現れる。  彼女の人生は彼の登場により一変する。  この機を逃さぬよう、彼女は。  幸せになることに、決めた。 ■完結しました! 現在はルビ振りを調整中です! ■第14回恋愛小説大賞99位でした! 応援ありがとうございました! ■感想や御要望などお気軽にどうぞ! ■エールやいいねも励みになります! ■こちらの他にいくつか話を書いてますのでよろしければ、登録コンテンツから是非に。 ※一部サブタイトルが文字化けで表示されているのは演出上の仕様です。お使いの端末、表示されているページは正常です。

ある公爵令嬢の死に様

鈴木 桜
恋愛
彼女は生まれた時から死ぬことが決まっていた。 まもなく迎える18歳の誕生日、国を守るために神にささげられる生贄となる。 だが、彼女は言った。 「私は、死にたくないの。 ──悪いけど、付き合ってもらうわよ」 かくして始まった、強引で無茶な逃亡劇。 生真面目な騎士と、死にたくない令嬢が、少しずつ心を通わせながら 自分たちの運命と世界の秘密に向き合っていく──。

処理中です...