私との婚約は、選択ミスだったらしい

柚木ゆず

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第7話 あの日から3か月後~愉しい日々は、突然終わりを告げる~ リナス視点(2)

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「ケヴィン様、どうかされましたか? どこか、具合が悪いのですか?」

 彼のエスコートを受けて馬車から降りたわたしは、可愛らしく首を傾げてみせた。
 出発前は――5時間前までは、普通だったのに。どうしたのかしら?

「………………………………」
「? け、ケヴィン様?」

 わたしが話しかけると普段はすぐ顔を綻ばせるのに、今は青ざめたまま。心なしか痩せたようにも見えるし……。なんなの…………?

「ケヴィン様、あの。わたしの声が、届いていますか? どうされたのですか?」
「……………………あ、ああ、うん。君の声は、ちゃんと届いているよ。……………………こ、ここで立ち話もなんだから……。なかで、理由を説明するよ」

 たぶん、二十秒くらいあったと思う。長い沈黙のあと彼は力なく返事をして、よろよろと歩き出す。
 わたしの右手を取る手も、歩き方にも、まったく覇気がない。まるで生きる屍のよう。

((たった5時間で、こんなにも変わるだなんて……。ロバンおじ様に何かあったのかしら……? 急病、かしら……?))

 そんな予想をしてみたけど、それはハズレ。邸内にいる使用人はいつも通りに動いていて、彼女達によると、おじ様は4時間ほど前に前当主――物分かりの悪い老いぼれのところに行って、1時間前に帰ってきて自室に居るみたい。
 となると……。理由はなに……?

((………………情報が、少なすぎる。推測は無理ね))

 それにどうせ、もうすぐケヴィンの口から発表されるんだもの。あれやこれやと考えるのはヤメ。
 なので推理を中止して階段を上り、廊下を進んで2つ目の部屋――ケヴィンの自室に入って、その中央付近にあるイスに座って向かい合った。

「…………………………………………。ははは、ははははは……。ごめんよ、リナス」
「えっ!? ケヴィン様っ!?」

 ごめんって……。いきなりなに!?
 わたし、これから何を言われるの!?

「あのね、リナス……。………………………………………………………………実はね……」

 今日一番長い、1分以上にも及ぶ沈黙。そんなものを経て、彼は頭を抱えながら――


「俺は、借金まみれになってしまった。どう足掻いても返済できないほどの負債をかかえてしまったんだ……」


 わたしも頭を抱えたくなることを、口にした。

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