私との婚約は、選択ミスだったらしい

柚木ゆず

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第7話 あの日から3か月後~愉しい日々は、突然終わりを告げる~ リナス視点(1)

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『リナス様、ごきげんよう。本日もお綺麗ですわね』

『あらリナス様、カップが空になっておりますわ。わたくしが、新しい紅茶をお注ぎしますわ』

『本日はリナス様に、プレゼントをお持ちいたしましたの。よろしければお受け取りください』

 欲しいものは何でもケヴィンに貰える――。そんな毎日はしばらく休止となってしまったけれど、今の毎日もとても愉しい。
 伯爵家嬢の、サロン、シレーヌ、チエラ。今までわたしを内心見下し小馬鹿にしていた女達が、みーんなペコペコ。必死になって、そんなわたしのご機嫌を取ろうとする。

((こんな姿を見るのは最高だし、そんなことをしているのはわたしを舐めていた人間達。だから、))


(少し前まで子爵家の子どもだったくせに……っ)
(どうして私がこんなヤツに……っ)
(この前までは、わたくしが物をもらう立場だったのに……っ)


 などなど。心の中では100%こういったことを考えていて、舌打ちをしている。

 わたし的には、それが最高のスパイス。

 本心とは真逆の事を、悔しがりながら行う。こんなに面白い、愉快なショーは他にないわ……っ。

「リナス様のおかげで、素敵なお時間を過ごせましたわ」
「来月のこの時間が、楽しみですわ」
「ランドル様にも、よろしくお伝えくださいませ」
「はい。わたしも、皆さんのおかげで楽しかったです。ではまた」

 3令嬢によるショーをたっぷり楽しんだあとは丁寧なお見送りが待っていて、私は上機嫌でファスル子爵家――ではなく、ランドル侯爵家の馬車に乗り込む。
 なぜなら。今のわたしは、次期侯爵夫人だから。

((ふふふふふ。馬車は広々、参加者はペコペコ。ケヴィンと結婚してから、良い事ばかりだわ))

 ずっと唾をついておいてよかった――。上手い具合に、エマとの縁を切らせる事が出来てよかった――。
 そんなことを考えている間に馬車は家に着き、そうすれば、いつものようにケヴィンが迎えに来てくれて――???

((あら……?))

 迎えに来てくれたんだけど、やけに顔色が悪い。どうしたのかしら……?

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