私との婚約は、選択ミスだったらしい

柚木ゆず

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第6・5話 ルシアン・レインズ様 エマ視点(3)

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 ――『一目惚れ』――。
 それはあの人、ケヴィン・ランドルと同じ理由。ああいった出来事が発生する、その切っ掛けとなったもの。

『エマっ。君が大好きだ!!』
『君以外あり得ないんだよっ!』
『君を生涯幸せにする! 誓うよ!』

 かつてあの人は確かに、私だけを見つめていた。なのに、

『エマ。俺と別れて欲しい』
『俺は、リナスと婚約、結婚をすることにした。だから、君との関係を解消したいんだ』
『エマ。今の俺は、リナスしか愛するつもりがないんだ。この選択ミス・・・・を、どうにかしたいんだ。だから、すまないな。同意をしてくれ』

 突然その心が変わり、私は呆れて即婚約を解消した。
 なので。一目惚れは、どうしても信用できない理由。疑心を覚えざるを得ないものとなっている。


((でも))


 この『一目惚れ』は、そうじゃない。違う。
 レインズ様のソレは、容姿ではなく私の行動が切っ掛け。容姿で気になり、やがて中身も気に入ってくれた――のではなく、最初から中身を気に入ってくれていた。最初にご挨拶を行った際は何とも感じていなくて、あの行動のあとに、そう感じるようになってくれている。

((それに、もう一つ。なにより……))

 レインズ様の、瞳。初めて、間近でじっくりと感じることができた、その眼差し。
 それはとても温かくて心地よく、

((……この感じ……。きっと、そうなんだ))

 この不思議な温かさには、覚えがあったから。あの時部屋で感じたぬくもりに、そっくりだったから。あの夜の感覚は勘違いではないと、確信することができたから。
 私は、確かな嬉しさを感じていた。


 だから――。


「エマ・サーレル様。わたしは貴方を、愛しています」

「今後も、俺との時間を作ってはいただけないでしょうか?」

「俺に、チャンスをいただけないでしょうか?」


 こういったお言葉をいただけることも、嬉しくって――ううん。とても、嬉しくって。


 だから――。


「はい、喜んで……っ。私は今、レインズ様の事をもっとよく知りたいと思っております」

 私は片膝立ちで差し出されたその手を取り、こうしてレインズ様との交際が始まったのでした――。

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