17 / 42
第6・5話 ルシアン・レインズ様 エマ視点(3)
しおりを挟む
――『一目惚れ』――。
それはあの人、ケヴィン・ランドルと同じ理由。ああいった出来事が発生する、その切っ掛けとなったもの。
『エマっ。君が大好きだ!!』
『君以外あり得ないんだよっ!』
『君を生涯幸せにする! 誓うよ!』
かつてあの人は確かに、私だけを見つめていた。なのに、
『エマ。俺と別れて欲しい』
『俺は、リナスと婚約、結婚をすることにした。だから、君との関係を解消したいんだ』
『エマ。今の俺は、リナスしか愛するつもりがないんだ。この選択ミスを、どうにかしたいんだ。だから、すまないな。同意をしてくれ』
突然その心が変わり、私は呆れて即婚約を解消した。
なので。一目惚れは、どうしても信用できない理由。疑心を覚えざるを得ないものとなっている。
((でも))
この『一目惚れ』は、そうじゃない。違う。
レインズ様のソレは、容姿ではなく私の行動が切っ掛け。容姿で気になり、やがて中身も気に入ってくれた――のではなく、最初から中身を気に入ってくれていた。最初にご挨拶を行った際は何とも感じていなくて、あの行動のあとに、そう感じるようになってくれている。
((それに、もう一つ。なにより……))
レインズ様の、瞳。初めて、間近でじっくりと感じることができた、その眼差し。
それはとても温かくて心地よく、
((……この感じ……。きっと、そうなんだ))
この不思議な温かさには、覚えがあったから。あの時部屋で感じたぬくもりに、そっくりだったから。あの夜の感覚は勘違いではないと、確信することができたから。
私は、確かな嬉しさを感じていた。
だから――。
「エマ・サーレル様。わたしは貴方を、愛しています」
「今後も、俺との時間を作ってはいただけないでしょうか?」
「俺に、チャンスをいただけないでしょうか?」
こういったお言葉をいただけることも、嬉しくって――ううん。とても、嬉しくって。
だから――。
「はい、喜んで……っ。私は今、レインズ様の事をもっとよく知りたいと思っております」
私は片膝立ちで差し出されたその手を取り、こうしてレインズ様との交際が始まったのでした――。
それはあの人、ケヴィン・ランドルと同じ理由。ああいった出来事が発生する、その切っ掛けとなったもの。
『エマっ。君が大好きだ!!』
『君以外あり得ないんだよっ!』
『君を生涯幸せにする! 誓うよ!』
かつてあの人は確かに、私だけを見つめていた。なのに、
『エマ。俺と別れて欲しい』
『俺は、リナスと婚約、結婚をすることにした。だから、君との関係を解消したいんだ』
『エマ。今の俺は、リナスしか愛するつもりがないんだ。この選択ミスを、どうにかしたいんだ。だから、すまないな。同意をしてくれ』
突然その心が変わり、私は呆れて即婚約を解消した。
なので。一目惚れは、どうしても信用できない理由。疑心を覚えざるを得ないものとなっている。
((でも))
この『一目惚れ』は、そうじゃない。違う。
レインズ様のソレは、容姿ではなく私の行動が切っ掛け。容姿で気になり、やがて中身も気に入ってくれた――のではなく、最初から中身を気に入ってくれていた。最初にご挨拶を行った際は何とも感じていなくて、あの行動のあとに、そう感じるようになってくれている。
((それに、もう一つ。なにより……))
レインズ様の、瞳。初めて、間近でじっくりと感じることができた、その眼差し。
それはとても温かくて心地よく、
((……この感じ……。きっと、そうなんだ))
この不思議な温かさには、覚えがあったから。あの時部屋で感じたぬくもりに、そっくりだったから。あの夜の感覚は勘違いではないと、確信することができたから。
私は、確かな嬉しさを感じていた。
だから――。
「エマ・サーレル様。わたしは貴方を、愛しています」
「今後も、俺との時間を作ってはいただけないでしょうか?」
「俺に、チャンスをいただけないでしょうか?」
こういったお言葉をいただけることも、嬉しくって――ううん。とても、嬉しくって。
だから――。
「はい、喜んで……っ。私は今、レインズ様の事をもっとよく知りたいと思っております」
私は片膝立ちで差し出されたその手を取り、こうしてレインズ様との交際が始まったのでした――。
20
あなたにおすすめの小説
白い仮面の結婚を捨てた私が、裁かれない場所を作るまで
ふわふわ
恋愛
誰もが羨む、名門貴族との理想の結婚。
そう囁かれていたジェシカの結婚は、完璧な仮面で塗り固められた**「白い誓約」**だった。
愛のない夫。
見ないふりをする一族。
そして、妻として“正しく在ること”だけを求められる日々。
裏切りを知ったとき、ジェシカは泣き叫ぶことも、復讐を誓うこともしなかった。
彼女が選んだのは――沈黙と、準備。
名を問われず、理由も裁きもない。
ただ「何者でもなくいられる時間」が流れる、不思議な場所。
そこに人が集まり始めたとき、
秩序は静かに軋み、
制度は“裁けないもの”を前に立ち尽くす。
これは、声高な革命の物語ではない。
ざまぁを叫ぶ復讐譚でもない。
白い仮面を外したひとりの女性が、
名を持たずに立ち続けた結果、世界のほうが変わってしまった――
そんな、静かで確かな再生の物語。
出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です
流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。
父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。
無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。
純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。
【完結】気味が悪いと見放された令嬢ですので ~殿下、無理に愛さなくていいのでお構いなく~
Rohdea
恋愛
───私に嘘は通じない。
だから私は知っている。あなたは私のことなんて本当は愛していないのだと──
公爵家の令嬢という身分と魔力の強さによって、
幼い頃に自国の王子、イライアスの婚約者に選ばれていた公爵令嬢リリーベル。
二人は幼馴染としても仲良く過ごしていた。
しかし、リリーベル十歳の誕生日。
嘘を見抜ける力 “真実の瞳”という能力に目覚めたことで、
リリーベルを取り巻く環境は一変する。
リリーベルの目覚めた真実の瞳の能力は、巷で言われている能力と違っていて少々特殊だった。
そのことから更に気味が悪いと親に見放されたリリーベル。
唯一、味方となってくれたのは八歳年上の兄、トラヴィスだけだった。
そして、婚約者のイライアスとも段々と距離が出来てしまう……
そんな“真実の瞳”で視てしまった彼の心の中は───
※『可愛い妹に全てを奪われましたので ~あなた達への未練は捨てたのでお構いなく~』
こちらの作品のヒーローの妹が主人公となる話です。
めちゃくちゃチートを発揮しています……
【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」
婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からなくなっていました。
婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/10/01 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過
2022/07/29 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過
2022/02/15 小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位
2022/02/12 完結
2021/11/30 小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位
2021/11/29 アルファポリス HOT2位
2021/12/03 カクヨム 恋愛(週間)6位
旦那様、政略結婚ですので離婚しましょう
おてんば松尾
恋愛
王命により政略結婚したアイリス。
本来ならば皆に祝福され幸せの絶頂を味わっているはずなのにそうはならなかった。
初夜の場で夫の公爵であるスノウに「今日は疲れただろう。もう少し互いの事を知って、納得した上で夫婦として閨を共にするべきだ」と言われ寝室に一人残されてしまった。
翌日から夫は仕事で屋敷には帰ってこなくなり使用人たちには冷たく扱われてしまうアイリス……
(※この物語はフィクションです。実在の人物や事件とは関係ありません。)
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
【完結】殿下は私を溺愛してくれますが、あなたの“真実の愛”の相手は私ではありません
Rohdea
恋愛
──私は“彼女”の身代わり。
彼が今も愛しているのは亡くなった元婚約者の王女様だけだから──……
公爵令嬢のユディットは、王太子バーナードの婚約者。
しかし、それは殿下の婚約者だった隣国の王女が亡くなってしまい、
国内の令嬢の中から一番身分が高い……それだけの理由で新たに選ばれただけ。
バーナード殿下はユディットの事をいつも優しく、大切にしてくれる。
だけど、その度にユディットの心は苦しくなっていく。
こんな自分が彼の婚約者でいていいのか。
自分のような理由で互いの気持ちを無視して決められた婚約者は、
バーナードが再び心惹かれる“真実の愛”の相手を見つける邪魔になっているだけなのでは?
そんな心揺れる日々の中、
二人の前に、亡くなった王女とそっくりの女性が現れる。
実は、王女は襲撃の日、こっそり逃がされていて実は生きている……
なんて噂もあって────
【完結】愛しい人、妹が好きなら私は身を引きます。
王冠
恋愛
幼馴染のリュダールと八年前に婚約したティアラ。
友達の延長線だと思っていたけど、それは恋に変化した。
仲睦まじく過ごし、未来を描いて日々幸せに暮らしていた矢先、リュダールと妹のアリーシャの密会現場を発見してしまい…。
書きながらなので、亀更新です。
どうにか完結に持って行きたい。
ゆるふわ設定につき、我慢がならない場合はそっとページをお閉じ下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる