私との婚約は、選択ミスだったらしい

柚木ゆず

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リナス編 リナスのその後~運命的な出会い~ 俯瞰視点(4)

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「俺は、まんまと騙されてしまって……。ソイツを誰よりも愛するようになって……。結婚、したんだよ……。持てる全てを、注いだんだよ……。…………ぁ、ごめん。俺、離婚してるんだよ」
「わたしは、過去は気にしませんよ。どうぞ続けてください」

 リナスにとって、目の前にいる男は一時的な存在です。以前どうであろうと関係がないため、にこやかに促しました。

「……ありがとう。でさ、俺はソイツのために、一生懸命やってたんだよ……。資産運用で稼いだ金を使って高い指輪やアクセサリーを買ってやったり、新婚旅行は行きたがってたロンダースにしてやったりしたんだよ……」
「……お兄さん。一生懸命、されてたんですね……」

 資産運用、ロンダースってことは、相当に金を持っていたみたいね。どう見ても下級平民みたいだけど、昔は貴族級の財力が――ん……? あら……?
 引っかかる部分がありましたが、話を聞いている最中です。集中していないと上手く相槌を打てないので、リナスは余所見をやめました。

「なのに、それは計算尽くで……。ソイツは俺がそうしたくなるように、ずっと動いていたんだよ……。十二年間も……」
「へ、へぇ……。ひ、酷い人、ですね……」

 じゅ、じゅうにって。え……? え……っ?
 リナスは余所見をやめましたが、更に引っかかる部分が出てきました。そのため無意識的に身を乗り出して、ケヴィンの話を聞くようになりました。

「……そんなにも、親身に聞いてくれるだなんて……。ありがとう」
「い、いえ。お、お兄さん。続けてください」
「ああ、そうするよ。……おまけに、さ……。お茶会では俺の妻という地位を使って、好き勝手振舞っていたんだ……」
「…………お、お茶会……。地位……」
「ソイツは自分じゃ買えなかったものを手に入れたり、我慢してたことをできるようにするために……。俺と結婚していた……。だから……。だから…………っ。ソイツのせいで、俺は家を追放されたのに……。俺は君を幸せにすると、約束したのに……。あっさりと俺を捨て、おまけに写真を使って脅迫してきたんだ……」
「………………………………」

 資産運用。ロンダース。十二年。お茶会。約束。脅迫。それらを知り、リナスはようやく、認識しました。
 今話題になっているソイツとは、自分のこと。目の前にいるのは、ケヴィンなのだと。




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